第57話 2019/12/10 停戦とか

 本日は10時起き。まあ自分で言うのも何だが、昨日は頑張った。かなり頑張った。おかげで頭がヘトヘトである。今日は書けるんだろうか、これ。


 アニメ『装甲騎兵ボトムズ』の第1話サブタイトルは「終戦」。何かの終わりはすべての完結ではなく、常にただ別の何かの始まりである訳だが、第1話にこのサブタイトルを持ってくるセンスは格好良い。言霊に振り回されるこの国で、縁起が悪いとか言われなかったのだろうか。

 言葉の順序として終戦の前には停戦がある。その文字通り戦闘が停まる事。しかし停まってもそれで終わりではない。あるいは何も終わっていないとも言える。戦場で実際に血を流して戦う人間がいる事を考えると、なかなかシビアな言葉である。

 だがそれでも、停戦はないよりあった方が良い。昨日また1つ、戦いが停まった。

 9日フランスのパリにロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、そして仲介役としてドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領の4人が顔を合わせた。ウクライナ東部で起きているロシアとの紛争を解決するための首脳会談である。

 結果としては年内に完全で包括的な停戦を履行する事で一致した。他には来年3月末までに紛争地域の3地点で兵力を引き離す事を確認、ウクライナと親ロシア派の捕虜交換を年末までに行う事や次回の4カ国首脳会談の4カ月以内の実施でも合意している。

 停戦はまことに良い事だ。このまま終戦へと進んで平和になってもらいたい。ただし。このニュースを報じる各メディアのどの記事を読んでも、事実上ロシアが武力で奪ったウクライナ東部を返すという言葉は見当たらない。という事は、つまりそういう事。ロシアが強奪した土地に関しては、現状の宙ぶらりんのままなのである。それはウクライナにとっては困った事だが、ロシアにとってはそうではない。

 この結果を見て「ゼレンスキーは親ロシア派だ」と非難する声がある。だがそれは違うだろう。彼はただ政治家としての能力に欠けているだけだ。プーチン大統領を向こうに回して交渉ができるだけの技術もセンスも持ち合わせていない、ただの素人なのだから。

 会談の後、ゼレンスキー大統領はこう言った。

「いくつもの問題について話し合い、他の首脳らは初会談としては非常に良い結果を得たと述べていた。しかし率直に言えば、達成できたことはごくわずかだった。私はもっと多くの問題を解決したかった」(AFP)

 これは嘘偽りのない感想ではないか。つまり何もさせてもらえなかったのだ。野球で言えば完封コールド負けを喫したようなものかも知れない。ゼレンスキー大統領としては、ドイツとフランスは味方だと思っていただろう。だが彼らは良く言えば中立の立場だ。悪く言えば、国際問題の仲裁をしたという政治的実績だけを求めるハイエナのような存在である。ウクライナの利益のために骨を折ってはくれない。

 産経新聞によれば、2015年2月にウクライナと東部の親ロシア派、そしてロシアとの間で結ばれた『ミンスク合意』では、

(1)停戦後に東部で選挙を行う

(2)選挙後にウクライナは東部に高度な自治権など「特別な地位」を与える

(3)東部とロシア間の国境の管理権をウクライナに回復させる

 と規定されているという。しかし選挙を行えばロシアが影響力を行使するのは目に見えているし、東部に自治権を与えれば独立し、ロシアに編入されるのもわかり切っている。この合意の履行をゼレンスキー大統領は拒んだ。その点は彼のファインプレーではなかったか。これ以上を期待するのは酷ではないかと思う。

 浜の真砂は尽きるとも、ではないが、世に紛争の種は尽きない。日本も他人事ではないのだ。北方領土や竹島はもちろん、尖閣諸島だって危ない。中国やロシアが拡大政策を取る限り、いつ紛争に巻き込まれないとも限らない。危機への備えは万全にしてもらいたいと願うところ。


 ロシア関連でもう一つ。世界反ドーピング機関(WADA)は9日、ロシアを4年間、国際的な主要大会から除外する事を決定した。2015年にロシアの国家ぐるみの薬物使用が発覚して以来、現在に至るまで改善が見られていない。

 2016年のリオデジャネイロオリンピックでは条件付き参加が認められたが、2018年の平昌オリンピックでは個人参加しか認められなかった。その後処分は解除されたものの、今年9月にデータの改竄が発覚、今回の決定に至る。これにより東京オリンピックでもドーピング検査に合格した選手のみ個人参加が認められ、ロシアの国旗も国歌もオリンピックでは使用が禁止される。

 ロシアはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する構えだが、東京オリンピックへの参加が認められる可能性は極めて低いだろう。て言うか、いまどき金メダルで国威発揚というのも古くないか。そんなところに注力せず、もっと有意義な金の使い方をすれば良いのにと思わずにはいられない。


 安倍首相は9日、臨時国会の閉会を受けて記者会見を行い、

「国会議員として国民的意識の高まりを無視することはできない」

「憲法改正は決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」

「国民生活に直結するような大きな政策については国民の信を問うべきだ」

「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇はない」(以上ロイター)

 などと述べたそうだ。

 虫けらは改憲派である。あるが、安倍首相には期待していない。「時が来たと考えれば」って、その時はいつ来るのか。タイミングとしてはもう遅いくらいではないのか。そもそも前回の憲法草案を出したとき、あのときマトモな草案が出せていれば、もう憲法改正も無事済んでいた可能性だってなくはない。彼のリーダーシップには疑問がある。

 また、中国の習近平国家主席を国賓として招く事については、

「日中両国はアジアや世界の平和・安定・繁栄にともに大きな責任を有している」

「責任を果たすべきとの認識を習近平主席と共有し、責任を果たすとの意識を明確に示していくことが、アジアや国際社会からも求められている」

「引き続き主張すべきはしっかりと主張し、中国の前向きな対応を強く求めていく」(以上ロイター)

 とのこと。話している内容は理解できるが、胡散臭い。そもそも中国に責任を果たすつもりなどあるとは思えない。前向きな対応ができる国かどうかくらい、考えればわかるだろう。日中友好は結構な事であるが、おべんちゃらで持ち上げる必要があるのか。

 いま日本の政界は人材不足である。ポスト安倍が見つからないのは事実だろう。しかしいつまでも彼に政権をまかせていたら、少なくとも憲法改正は前に進まない。拉致被害者も戻ってこないだろう。多少の痛みはあっても、前に進められる人材を誰か探して、日本の国を挙げて前進する必要があるのではないか。何とかならんものかと思うところ。

 

 首相といえば、フィンランドでは34歳のサンナ・マリン氏が首相に就任する見通しだそうだ。彼女が有能かどうかはわからない。しかしこの年代に国家のリーダー候補が居るというのは素直に羨ましい。正直、もう爺さん婆さんには隠居してもらいたいと考える次第。


 昨日は2作品合わせて4000文字ほど書けた。だがその反動が来るかも知れない。ま、今日は無理なくそこそこ書ければ良いか。また明日に期待する。

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