第26話 s-24

 ゴードンに捨てられた俺は、馬車道で『金貨ジャグリング』をし続けた。そして、何日かが経ったある日。


 キレ長の目をした、一人の吟遊詩人らしき男が通りかかった。


 「金貨とブリーフ? なぜ、道に落ちているんだ?」


 俺は、その吟遊詩人に拾われたのだった。


 ……


 その吟遊詩人の名前はアルベルトと言った。


 何というか、考えていることがつかみにくい、所謂『イケメン』野郎だった。ゴードンとは異なり清潔な部類に入るだろう。アルベルトは新しい所有者として申し分ないように思えた。


 ――しかし、神様はまたしてもダイスをポケットに入れてしまったようだ。


 アルベルトは『スケコマシ』だったのだ。


 毎晩毎晩、うら若き乙女をとっかえひっかえ。悩ましい声が鳴り止まないせいで、安眠妨害をさせられ続けた。


 ――もっとも、パンツである俺に睡眠は不要なのではあるが。


 まさに女の天敵のような男であった。


 ――これは、天誅が必要だな……。


 ……


 アルベルトはイケメンの吟遊詩人だ。いつものように、酒場でリュートを静かに鳴らす。


 「今日はあの子にしようかな……」


 抜け目なく物色するアルベルト。それと同時に、屹立する巨塔。


 ふ……。ついに意趣返しの時が来たようだ。


 アイアンメイデン発動!


 バキーン! 俺は金属化し、巨大な邪竜が巣食う巨塔は、神の裁きを受けるに至った。


 「……っ!!!」


 リュートを取り落とし、悶絶するアルベルト。


 それまで、うっとりしながらアルベルトに見とれていた、うら若き乙女たちがザワつく。


 しかし、何事もなかったかのように、リュートを拾い再び、詩を奏でるアルベルト。そして、再びうっとりしだす乙女たち。そのたくましい根性には、感服するばかりである。


 ……こうなったら、最終手段に出るしかないか。


 秘奥義、フラッシュ発動!


 ピカアアア


 アルベルトの股間から、眩いばかりの光が放たれる。

 ドン引きする乙女たち。ザーっと波のように、気持ちが離れていく音が聞こえそうなほどだった。


 そして、アルベルトの前からは誰もいなくなった。


 ――今日は安眠できそうだ。


 俺は、アルベルトの股間を発光させながら、そんなことを考えていた。

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かみさまあんまりです 餡乃雲 @unknown5222

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