第22話 s-21

 『だれかこのこをひろってあげてください』


 寒風吹きすさぶ街中、そのダンボールはポツンと路上に置かれていた。


 猫が入っていると普通は思うだろう。しかし、入っているのはブリーフ……すなわち俺だった。


 俺の目に涙がキラリと光った……ような気がした。


 ……


 ――時を遡ること数時間前。


 「ジャアごめんよ……。俺、アフロにされたのは流石に許せないというか。もう駄目なんだ。別れよう……」


 まるで、『恋人に言う別れ』のようなテンションで言葉を紡ぐアルフォンス。


 アルフォンスの目にはキラリと涙が光る。


 そして、アルフォンスは去っていった。


 俺の脳内には、何となくスピッツの『君が思い出になる前に』が流れていた。

 これで、俺が女性であれば絵になったのかもしれない。だが俺はパンツだ。アルフォンスとパンツである俺たちの別れの背景に、『君が思い出になる前に』が流れている……。


 もはや、ギャグでしかない。


 ……


 猫が捨てられているかと思って、ダンボールの中を覗き込む心優しい人たち。


 しかしそれがブリーフだと解かると、皆一様に「ゲッ」という表情をして去っていった。


 仕方ない……金で釣るしかないか……。


 俺は、空間収納スキルで金貨を空中に出しては仕舞うという大道芸、『金貨ジャグリング』を披露した。結構人に注目されている気がする。


 すると……。


 「げっへっへっへ。お頭あ……! あそこに金貨がありやすぜ!」


 「よし、お前らあれが何か確認してこい! おい、てめえら! これは見せもんじゃねえ。散った散った」


 下卑た声をした奴らが、善良な一般人を威嚇しながら俺に近づく。


 ――そして、次の俺の持ち主は『山賊』となった。


 × × ×


名前:榊 弘明

種族:マジックブリーフ

Lv:14/20

ステータス:HP91 MP167 力58 魔法力141 素早さ34 器用さ39

スキル:

言語理解Lv4、鑑定Lv4 空間収納Lv5 透視Lv3 ファイアーLv8、熱光線Lv6、フラッシュLv5、MP自動回復Lv6、金属化Lv5、コンフューズLv3、鑑定阻害Lv1、アイスブリットLv1、ウォーターLv1、

称号:成長する魔道具

所有者:山賊の頭領ゴードン


※名前は命名者に捨てられたことにより、人間であった頃の名前に戻った。

※名前が変わったことにより素早さの3倍補正がなくなった。

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