第16話 s-15

 大金を得たアルフォンスがまず行ったことは、孤児院への寄付だった。

 実はアルフォンスも戦災孤児で孤児院で世話になっていたそうだ。その恩返しというわけ。


 「久しぶりねアルフォンス。元気してたかしら?」

  孤児院の院長は優しげなお婆さんだった。

 「ご無沙汰してます。イザンナさん。俺、最近結構活躍してるんですよ?」


 「知っているわ。この間モンスターが攻めてきた時なんて、あなた大活躍だったって話を聞いたわ。うちの子たちも、あなたに助けられたって言っていたもの」


 「ゴブリンに囚われていた子供たちは元気ですか? 」


 「ええ。最初は不眠症に悩まされていたようだけど、今はもうすっかり元気よ」


 「そうですか、良かった。俺も助けた身として嬉しいです。今回こちらに来たのは、冒険で大金が入ったので、寄付をしようと思います。これと、後から荷馬車で食料が来ると思うので受け取って頂けますか? 一応世話になった恩返しのつもりです」


 そう言って、アルフォンスは金貨10枚をテーブルの上に置いた。


 「素晴らしいわアルフォンス。大丈夫なようなら、あの子たちのために使わせてもらうわ。遊具を買ったり。本当にありがとう」


 「いえ。これからも、もし余裕があれば協力させて下さい」


 そう言ってアルフォンスは子供たちに見送られながら、孤児院を後にした。

 例の怖がらせてしまった、子供のアルフォンスを見る目も、大分やわらかくなったようだ。


 アルフォンスは俺のせいで変態扱いされてるけど、こんなに良いやつは、前世でもなかなか見なかったほどだ。


 ……


 孤児院では捨てられたような孤児だけではなく、児童虐待、育児放棄を受けた子供たちも沢山預かっているそうだ。そのような子供たちにはメンタル的なケアや、その後の子供自立のためにしなければいけないことは色々あるのに、十分な支援はできていない。


 街は一握りの貴族が牛耳っており、貴族に陳情をしても十分な援助を受けられるはずもなく、結局はアルフォンスがしたような寄付により運営しているのが現状とのこと。


 「まあ、仕方ないさ。俺たちが頑張るしかない」


 アルフォンスもひもじい思いをした者の一人として、思うところがあるのだろう。どこか、少し遠い目をしていた。

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