第6話 s-5

 ――春眠暁を覚えず。


 宿屋の窓から吹き込む、涼しげなそよ風が、ブリーフである俺を優しく揺らす。春の陽気に包まれた、太陽の匂いが心地良い。


 宿屋に戻ると、アルフォンスは俺を脱ぎ、すぐに洗濯して上で干してくれた。

 この何にも縛られない、自由という感覚っていうのかな。俺は何者にも縛られない、いつかはそんな存在になりたい。


 「なあ、パンツ君。この稼いだ金で俺の装備を整えようと思うんだけど良いかな?」


 俺はフラッシュを発動。

 チカッ!


 「ああ、君また何か新しいスキルを覚えたんだね!じゃあ、イエスなら2回、ノーなら3回光ってもらっても良い?」

 チカッ! チカッ!


 「良いんだね! ありがとうパンツ君。そういえば、名前を付けてあげた方が良いよね!  パートナーなんだし!」

 チカッ! チカッ!


 「よしよし、オッケー。……うーんじゃあベアトリス!」

 チカッ! チカッ! チカッ!


 「嫌か……。じゃあエリザベス!」


 なんで女の名前なんだよ!

 チカッ! チカッ! チカッ!


 「そうだな、もしかして男の子なのかな? ナポレオン!」

 皇帝かよ。

 チカッ! チカッ! チカッ!


 「赤い炊飯ジャア!」

 チカッ! チカッ! チカッ!


 「仕方ないな……。じゃあ無難にフリードリヒなんてどう?」

 無難が一番だ。

 チカッ! チカッ!


 「うーん。でも名前にはユーモアが必要だよね! やっぱり君は、『赤い炊飯ジャア』で決まり!」


 × × ×


名前:赤い炊飯ジャア

種族:マジックブリーフ

Lv:5/20

ステータス:HP32 MP76 力14 魔法力55 素早さ36(3倍補正) 器用さ15

スキル:

言語理解Lv2、鑑定Lv1 空間収納Lv2 透視Lv1 ファイアーLv3、熱光線Lv1、フラッシュLv2、MP自動回復Lv2

称号:成長する魔道具

所有者:アルフォンス


 × × ×


 名前など、今の俺が置かれた状況において些細な問題にすない。もう、何とでも呼ぶがいい。


 ――だが俺の名前は、榊 弘明(さかき ひろあき)だ。


 決して炊飯器でもなければ、某Gダムの敵役の名前でもないので、その辺はわかっていてもらえるとありがたい。

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