第4話 s-3

 ――ある時、アルフォンスは一人でダンジョンに向かった。


 たまたま俺をはいていたのがアルフォンスの運の尽きだった。


 ズボン越しに【透視】で観察していると、アルフォンスの戦闘能力はゴブリン相手に1対1でようやく勝てるという程度。


 まだまだ駆け出しの冒険者というところのようだ。


 アルフォンスが、ダンジョンを探索していると、バルディア・ゴブリン3体にエンカウントした。鑑定したところ、そう名前が出た。バルディア・ダンジョンだからだろうか。


 これは分が悪い。俺は加勢することにした。


 ゴブリン一匹がアルフォンスに飛び掛り、つばぜり合いとなる。俺はファイアーを放つ。


 ボッ。


 炎上する、アルフォンスのズボン。


「ぎゃああああ」


 アルフォンスが絶叫をあげた。


 焦る俺。間違ってズボンに放火してしまった。急いで、【空間収納】で燃えるズボンを収納する。パンツ一丁になるアルフォンス。


 びっくりしたのは敵も同じようで、逃げていった。


 アルフォンスは困惑していた。原因は俺なのは明らかで、かつズボンが消えていたのだから。


「パンツ君、君がやったのかい。ところで僕のズボンどこにいったのかな」


 俺は空間収納から、燃えたズボンを出す。異空間なのか、時間があまり経過していないようだった。それが証拠にズボンの炎が燃え広がっていない。


 アルフォンスはズボンの火を消すと


「君は空間系の魔法を使えるようだね、あと炎か。それなら、僕の戦闘を手伝ってくれないかな」


 俺は感動のあまりに涙した。否、涙は出ないけれども。俺だったら、こんなパンツ、ダンジョンに投げ捨てる。


 ……


 アルフォンスはレザーーメイルにレッグガード、ショートソードそしてパンツという変態の格好になった。


 スケルトンが現れた。腰に手を当て股間を突き出すアルフォンス。股間からファイアー。


 アルフォンスはスケルトンを倒した。


 ……


 こんな恥ずかしい攻撃で倒れされるスケルトンが不憫でならない。

 スケルトンが装備していたウッドシールドとショートソードを【空間収納】で回収する。


 例えばアルフォンスが、今のスケルトンに倒されたとしよう。おそらく、俺はスケルトンに装備されるか、このダンジョン内に死体のアルフォンスに装備されたまま置き去りになる可能性が高い。


 そのような事態だけは、絶対に避けねばなるまい。


 ……


 それから俺とアルフォンスは、バルディア・ダンジョンでの戦闘を続けた。案の定、アルフォンスはギルド内では笑いの種になっているらしい。


 ついた二つ名は、『股間火事戦士』であった。


 ――俺は、このとき彼が何と罵られようとも、この男を精一杯サポートする。俺は、そう心に誓った。

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