第46話 公式番組 終わりに
「さて、もとの場所に戻ってきましたが、まだまだ発表がありますよ皆さん!」
実は、直前に決まった告知がまだ少しあった。公式番組の放送はまだ終わらない。
【お!】
【新情報が盛り沢山だ】
【運営が本気を出した!?】
【期待!】
「新しい装備の発表です」
言葉と共に、私の今着ている服装が瞬時に切り替わった変わった。今まで着ていた装備である、魔法使いっぽいシンプルなローブとは違った感じの衣装だ。
胸元に真っ赤なリボンを付けたローブ、ローブの下にはベストを着ていて、左胸には白いカトレアの花の校章がついている。ボトムには赤チェック柄のスカート。そうこれは魔法学校の制服だった。
「かわいい」
【エリノルに同意かわいい】
【男性用の制服はありますか?】
【魔法使いをどんどん増えそう】
【自分は戦士だけど関係ない、魔法使いの制服を着させていただきますね!】
今まで着ていた古い感じのある格好に比べると、今の格好は色が明るく学生服というだけあって若い感じがある。見た目だったら直前に着ていた装備のほうが魔法使いとして強そうに見えるけど。
【魔法使い優遇されすぎじゃね?】
【運営のお気に入りなのか】
【うわ、キャラ作り直そうかな】
「視聴者の皆さん安心して下さい。まだまだ新装備の発表は終わってませんよ。ね、エリノル」
「それじゃあ、私も着替えちゃおっかな」
エリノルの格好も変化した。青紫色に輝く、表面に波型模様が施された華やかな鎧装備だった。肩や足、胴回りが角張って強く硬そうな見た目をしているのに、各部は綺麗にまとまっていて、機能的なのが鎧なのに美しい。
【うわッ良い】
【単純に強そう】
【鎧装備か。素晴らしい】
【たた動きづらそう】
「見た目は重そうですけど意外と動けるんですよ、これ」
エリノルは立ち上がって、剣を振る動作を見せたり、その場でジャンプをして性能を確認している。動きは軽快で、戦うのに問題はなさそうだった。現実なら身につけるだけで動けなくなりそうだけど、ゲームの世界だから大丈夫なのだ。
【そうそう。他の装備もそうなんだけど見た目が重そうでも
実際は全然大丈夫なんだよね】
【そうなんだ。動きが阻害されそうって思ってて、今まで敬遠してきたよ】
【なんでも一度は試してみたほうが良いよ。現実とは違うから】
【なるほどね】
「これだけでなく、他にもどんどんと新装備が追加されていく予定です」
「リフゼロって、装備の数が豊富なんですよね。選びきれないぐらいに沢山ある」
【へぇー、楽しみ】
【賢者の装備をお願いします】
【武器は? 増えないのかな?】
【防具よりも武器を増やしてほしいかな】
【でも、見た目も大事よ】
「ということで、最後の発表に移りますよ」
【え、もう最後か】
【まだ発表が有るんですか!?】
【新情報が豊富すぎて消化しきれないよ】
【最後は何かな?】
【新ダンジョン?】
【新マップでもいいよ】
次の発表が何なのか、視聴者達の期待と予想で盛り上がる中で私は口を開いた。
「イベントの開催告知です。今回は、ダンジョンRTA大会が行われますよ」
「どれだけ早く、ダンジョンを攻略できるのかを競い合う大会です。上位入賞者には豪華な景品も用意されています」
【公式イベント、キタ!】
【景品は何だろう何が貰える?】
【公式のRTAか】
【上位入賞を目指すから詳しくイベントの情報を教えてくれ】
「参加方法や日程、詳しい内容やレギュレーションについては冒険者ギルドにて発表されるので、興味の有る方は確認してみて下さい!」
「ちなみに我々も参加しますよ! 皆さんも是非、参加してみて下さい」
【了解】
【さっそく聞きに行ってきます】
【俺は公認プレイヤーを超えてやるぜ】
【パーティーで参加するの?】
【詳しくはゲーム内の冒険者ギルドに行けってさ】
「本日の発表はこれで以上となります。ということで、お送りしてまいりましたリフゼロ公式番組、お別れの時間となってしまいました。どうでしたか、エリノル?」
全ての発表が無事に終わって、番組の終了時間も迫ってきていたので私達は番組の締めの挨拶に入る。
「次々と新要素の発表があって、アタシも発表しながらリフゼロが凄い進化していくなぁ、と感じていました」
【そうだよね】
【なるほど】
【サービス開始してから暫く経ってダメかと思ったけど見事に盛り返してきたね】
「番組の第一回に出演者させてもらって、本当に光栄でした。番組を見てくださった皆さんも、ご視聴ありがとうございます」
【お疲れ様】
【楽しかった】
【おつです】
視聴者からメッセージで労いの言葉が次々に流れてくる。そして、今度は私が感想を言う番か。
「フォルトゥナ様はどうだった?」
「番組なんて初めてだったので凄く緊張してたんですが、視聴者の皆さんの反応が良くて、とても楽しく出来ました。リフゼロの世界も、どんどん発展していくのを見るのもワクワクして、今日だけでなく今後が非常に楽しみです。ありがとうございました」
【進行が上手かったよ】
【本当にリフゼロが好きなのが伝わった】
【楽しめたのなら良かった】
【まこの2人組の公式番組ならまた見たいな】
2人の感想も終わって番組も終了という直前になって突然、指示が飛んできた。
「おっと! ここで突然ですが番組の最後にもう一度、オープニングを流すという事になりました」
「要望が多かったみたいなので、進行には無かったんですが急遽予定を変更します。最後まで楽しんでください」
【やったぜ。もう一度見せてくれるの?】
【最初を見逃しちゃったから助かる】
【要望出した奴ら、ナイス】
「では視聴者の皆様、番組最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。それでは最後にもう一度、オープニングのアニメを見てもらってお別れとなります。バイバイ」
「さよなら~」
【楽しかった】
【おつかれ】
【パチパチパチ(拍手)】
【リフゼロ知らなかったけどプレイしてみようと思った】
目の前を流れるメッセージを眺めながら、私は手を振る。そして、番組スタート時に再生したオープニングアニメを、もう一度繰り返し再生する。それほど視聴者の評価が良かったのだろう。
もう一度、改めて私もアニメーションを見てみる。さっきは、サプライズで驚いていたから、しっかりと見れずに見逃した部分も多かったし今度は落ち着いて見よう。
こうして、番組はようやく無事に終了した。
「ふぅ」
「お疲れフォルトゥナ様。それと、ごめんね。アタシが色々とミスしちゃって」
終わると同時にエリノルから謝られてしまった。スタートした直後は確かに少し焦ったけれど、他は問題なかったから謝るほどのことでもないのに。
「いえ、全然大丈夫ですよ。後半は私も色々と補助してもらったので助かりました」
「本当にありがとう、また泣きそうになっちゃった」
「もう番組も終わったんで、大丈夫ですよ泣いても」
「いいや、我慢する」
我慢すると言いつつも、もう泣いているような顔になっている。指摘は、しないでおいておこう。
エリノルは意外と感動に弱かったり、涙もろい人だったのか。今日、初めて知った事実だ。
「お二人とも、お疲れさまです。番組は大成功ですよ」
頭上から興奮した伊田さんの声が聞こえてくる。
「ログアウトしてきて下さい。スタッフたちと皆で打ち上げをしましょう」
「はい、すぐに戻ります」
「了解です」
そして現実世界に戻った私達は、番組が無事に成功した事を喜び合い、スタッフ達も含めた皆で夕食会という名の打ち上げを楽しんだ。
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