第103話 アラン側のお茶会と襲撃

 なにか、ここしばらくみんなの態度がおかしくて。

 相変わらず、わたしには何も言ってくれなくて……。

 私は私で、イヤな予感ばかりしてて、ジークフリートから預かった手紙に私が書いた手紙をくっつけて持ち歩いてた。



 今日は、アラン側のお茶会だ。

 フイリッシアのたっての願いで帯刀している。

 指令官の礼服での帯刀なんてでは珍しいから、他のお茶会でも請われればそうして出てたので、違和感は無かった。


 参加メンバーは、フイリッシアとアラン、なんとフイリッシアの横にレイモンドがくっついて来ていた。アランと私は、テーブルを挟んで丁度真向かいにいる。


「なんか、愛玩動物っぽいな」

 レイモンドがボソッと言う。

 いや、自分でもさ。最近、なんかそんな気がしてきてたけど……何で、ハッキリ言うかな。

 でも、まぁ、フイリッシアと仲良さげになって良かった。

「まぁ、もともと幼いからねぇ、リナは」

 アランが笑ってる。どういう意味だ。

「でも、これで私だけが見てないって事は無くなったわ。ねっリナ様」

 フイリッシアは、友達にするように手を取って同意を求める。

「そうですね」

 私は、にっこり笑って同意した。

 しばらくは、そんな感じで歓談してたんだと思う。


 なんか、変な気配がしてフイリッシア以外の、護衛の近衛を含めたみんなが反応した。

 レイモンドがフイリッシアを抱き込んでる。

 何とか近衛で止めて貰わなきゃ、こっちは私以外丸腰だ。


「リナ。借りるよ」

 アランが私の剣を引き抜いたかと思ったら、私を自分の方に乱暴に引き寄せ。斬りかかってきた兵士を斬りつけた。

 どこの兵士だろう。なんでここに入ってこれてる?

 アランは私を抱き寄せたまま、戦っていた。

 いや、逆でしょう? なんで、司令官が王子様に庇われてるのよ。


「わ……私も戦えます」

「ダメだよ。リナは」

 女の子なんだからねって小さく聞こえた。


 そのうちに、配置されてた近衛以外の近衛騎士がわらわらとやってくる。アランが斬りつけた兵士も捕縛されて連れて行かれる。

 そのうちセドリックもやってくるだろう。その前に……。

 懐から2通をくっつけた手紙を出した。

 ジークフリートから預かった手紙と私が書いたもの。


「アラン様。これを王様に渡して下さい。中は王様と一緒に」

 とだけ言って、押しつけた。第二王子派の中心に居ながら実は自身は王太子派というアラン様なら、ちゃんと動いてくれるだろう。

 セドリックが各部署に指示を出しながら、こっちにやってくる。

 サイラスも来てるって事は、騎士団も動いてるって事? いや、早くない?

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