第15話 リナのデビュタント 魔法物リーン・ポート
王様は、父と宰相を先に部屋から出して、私にそばに来るように言った。
まだ、無礼云々は有効かなって思いつつ、のこのこそばに寄ると。王様の右手から金色の粉のようなものがファッと舞う。
それが私の首に巻き付いたかと思うと、金色の細い鎖に小さい金の板が付いたネックレスになった。
よく見るとその金の板には魔方陣らしきものが浮かんでいる。
「古代の魔法物でな。それは、持ち主を選ぶのだ」
「何か……魔法を使えるようになるとかですか?」
ちょっと期待を込めて言ってみた。だって、魔方陣付いてるし。
「いや。そういった話は、聞いたこと無いな」
期待させといて、まさかの魔法無し。困ったときの換金アイテム?
「売らないように」
なぜ分かった。
「持ち主を選ぶと言ったであろう。それはもう、死ぬまでそなたから離れぬからな。それの保持者は、王族と同等かそれ以上の立場と権利が与えられる。この王宮内の全て、王の執務室ですら入り放題だ。どうだ、嬉しいだろう」
「返品したいです」
面倒くさい、そんな立場……。
「まぁまぁ、魔法が使えるかもしれないし」
前例無いって言ったのに……。ジト目で見ていると、王様は軽く咳払いして。
「もし選ばれなかったら、ここに来させることも無かったのだがな」
謁見の場で私が入ってきた途端、右の手のひらが熱くなったのだそうだ。
それでも、渡すかどうかの決定権はその時々の国王にある。学園内の噂が本当かどうか、謁見の場で試したと言うことだった。
バカには、渡せないと……。
王様からの依頼は、『学園に在籍している間の王太子殿下と第二王子の安全確保』ただ、それだけ。「簡単なお仕事だよ」と王様は言う。
私は、依頼を受ける条件に、王様に3つのお願いをした。
そして、王様との話し合いの後、部屋の外で待っていた父と一緒に帰途についた。
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