神使の怒り 7-2




「お前ら全員引っかかってんじゃん。なんだかんだ言ってお前らも異常だよ」


そんな批判メッセージが数多く寄せられる中、目を疑うような文章が目に留まる。


『動物だけで満足?』


それにはライトもいささか驚いた。


「なにそれ、人殺しに興味ないかって意味?」


何通も寄せられるメッセージの中で、その人の文章を探す。


『どんな気分だった?最初に動物を殺した時』


「最初に……?」


過去を思い出そうとして首を傾げた。


最初に殺したのはいつだっただろう……。


「ああ…最初に殺したのは…昆虫だ。トンボのはねをもぎ取った。それから…カエルを瓶に入れて出られなくして殺した。その時は何も感じなかったかな。だって、たかだか虫だろ。ハエたたきでハエを殺すのは誰だってやる。ゴキブリをスリッパで叩いたりさ、別に珍しい事じゃない」


『俺もやったわ。トンボ』


『お兄ちゃんがやってた』


いくつものメッセージが届く。


「ほら、みんな通る道だ」


『次に殺したのは?』


「次は…スズメだ。野生のスズメが窓にぶつかってきて、首の骨を折ったみたいだった。首がうまく動かせなくなってて、コイツの体ん中どうなってんのかな…って思った。しばらく面倒見てやったんだけど、いつまでも回復しないからカッターで腹を開いてやった」


『野生の鳥は保護団体に連絡して救助が鉄則』


『違法』


『違法以前の問題だろ。殺したんだから』


『助けたのに殺すなよ』


『頭おかしい』


昆虫から動物に話題が移ったとたん、批判のメッセージが相次いだ。


その流れるようなメッセージを見ていると笑えてきた。


「いやー分からんでもないよ。俺も思うし。殺すなら助けんなよって。でも、あんたらが病院で手術受けられるのも、そうやって腹をさばかれた人がいたからできる事なんだよ。腹の中を理解していないと手術なんてできない。それは動物だって同じだろ?」


『お前、医者じゃないけどな』


『支離滅裂』


『警察まだか』


またメッセージを見てため息が出た。


「なんで俺、こんな事やってんだろうな。あんたらに話したってどうせ理解できない。でも…約束だしな。とりあえず俺が捕まるまでライブは続けるよ」


スマホで動画を撮影しながら、ライトは夜道を再び歩き出した。


目的地は動画を撮り始めた時に決めた。


まだ何も知らないこの画面の向こうの人たちに、自分の知っている現実を見せてやろうと思った。







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