神使の怒り 4-1




放課後の河川敷では海治がライトの襟首に手を掛け、顔を近付けて睨んでいた。


「なんであんな動画、勝手に流したんだよ。俺らに何の相談も無く!刑事さんからも連絡くれって言われてただろ!」


海治が腹を立てて思いきり襟を引っ張ると、隣で見ていたガンがおろおろしながら間に入ろうとする。


「海治、落ち着けよ。な?」


しかし、海治の怒りはとどまることを知らない。


「ガンは腹立たないのかよ!俺たち3人で動画投稿するためにあのアカウント使ってきたんだろ?何の相談も無く勝手に一人で編集して、なんの報告もなしに更新するなんて……」


「そりゃ腹も立つよ?3人でやろうって決めてたし…でも、俺たちは動物虐待してる犯人を探してて、その手がかりが出たんだから更新するのは仕方ないかと思うけど……」


こちらはライトの行いをそこまで非難しない姿勢を見せたが、次に海治が放った言葉で、少しだけ気持ちが揺らぐことになる。


「動画の中のあの猫、見つけたときはまだ生きてただろうが!なんですぐに助けてやらなかったんだよ!動画撮ってる場合じゃなかっただろ!?瀕死だったんだろ!?」


海治にそう言われたライトは、俯き気味に小さくため息を吐き答えた。


「何をしても死んでたよ」


「だとしてもできることはあったよな!?警察に電話するとか、病院に電話するとか!再生数稼ぐために撮ったのか?もしかしてあそこに死にかけた猫がいるって分かってて、部屋からカメラ構えて出て行ったのか?」


その言葉には多少疑いを抱きつつあったガンも堪忍ならなかったのかもしれない。


ガンは海治を突き飛ばして、地面に倒れた海治を鬼の形相で見下ろした。


「海治、いい加減にしろ!ライトがそんなことするわけないだろうが!友達疑うのかよ!お前最低だぞ!」


しかし、ライトはガンの肩に手をおき、力なく笑った。


「ガン、いいよ。相談しなかった俺が悪いんだ。…ごめんな、海治」


ライトはそれだけ言うと、海治たちに背を向けて、振り返ることなく河川敷を歩きだした。


落ち込んだ様子のライトを見て、ガンは更に海治を罵る。


「海治…あれは言い過ぎだよ。ライトだって傷ついてるのに追い打ちをかけるようにあんなこと言うなんて…見損なった」


その後、ガンもライトを追いかけるように去って行った。








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