殺人鬼に告ぐ 4-2




―札幌―






JRタワー南口の広場にハトが集まっている。


彩香はその様子をベンチに座って見つめていた。


平和の象徴が足元に近づいてくる。


「ハトには愛想がいいんだな」


その声に驚いたハトたちが飛び跳ねながら距離を取った。


聞き覚えのある声に思わず顔を上げると、そこには五十嵐が立っていた。


「ふふっ…動物には好かれるみたい」


珍しく笑顔を浮かべている彩香を見て一瞬ドキリとしたが、五十嵐はスーツの襟を正して背筋を伸ばした。


「それよりどうしたの?こんなところに呼び出して」


ベンチから立ち上がると、五十嵐に近づく。


五十嵐は火照る頬を引きつらせながら言葉を探した。


「こないだの…お礼っていうか…。飯でもどうかなって思って…」


五十嵐とは対照的に、彩香はにっこりと笑って頷いた。




ふと気が付いた。




──目の前にいるのは『予言者』だ。心を覗かれているんじゃないか?



そう思った五十嵐は思わず上着の襟を持ち上げて顔を隠した。


「おい!俺の心を覗くなよ!」


彩香はまた、「ふふっ」と笑いながら五十嵐の正面に立って顔を覗き込んだ。















<殺人鬼に告ぐ 完>




『神使の怒り』に続く……。











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