第25話 CAT、突入する。
SATが全滅した。
現場周辺に警戒線を張り、警戒をしていた警察官達はこの事態に動揺する。
いつ、凶悪な犯人が警戒線を破り、突破を試みるか解らないからだ。
機動隊も警戒線の強化の為に各地に派遣される。銃対策班はMP5短機関銃を構え、警戒線の中を睨んでいた。
「はははっ・・・人間がノコノコと出てきて・・・なんのつもりだったんだか」
シューティングスターは殺害したSAT隊長の首にナイフを突き立てる。そして、その首を切り始めた。すでに死んでいる為に血が噴き出す事は無かったが、皮膚が裂かれ、肉が断たれ、血が溢れ出す。やがて、刃は骨に当たり、ゴリゴリとその骨を砕くように切断する。
胴体から取り外された頭を彼女は左手に掴み、笑いながら歩き出す。
「一帯の監視カメラは全て沈黙しているんだな?」
「ネットワークが完全に破壊されています」
「そんな脆弱なセキュリティじゃないぞ?」
「痕跡から・・・軍用の攻撃プログラムが走った形跡がありますね。ロシアがかつて、多く使っていた奴。またはそのベースになった中国の改造って感じですかね」
「軍用って・・・機密だろ?」
「あちらのはとっくの昔に世界中に出回ってますよ。ハッカーなら当たり前のように使ってます。ただ、プログラムにバグが多くて、壊す以外に扱いが難しいようですけど」
「壊す以外か。今回は適切な使い方だな」
「しかし、ネットワーク系とは言え、それなりに対策は施されていたはずですけど、どうやって、侵入して、セキュリティプログラムより早く、破壊したんでしょうね?」
「さぁな。スパコンでも使ったんだろ?」
「スパコンですか・・・」
警視庁のサイバー課は依頼を請けて、現場周辺の監視カメラネットワークをチェックしていたが、それらは全て、破壊されており、ネットワークを再構築するには機材の交換も必要となり、不可能だと判断した。
本来はドローンなどが飛ばされ、犯人の発見に活用されるはずだったが、現場には強烈な電波妨害があり、無線での通信は不可能となっていた。警視庁はすぐに政府に掛け合い、監視用の人工衛星を活用する事になったが、本来、他国を監視する目的なので、簡単では無かった。
タマ達は現場に到着した。
バスから降りた彼女達は次々と装備運搬車から装備を受け取る。
「作戦はサーチ&デストロイになる。敵の位置は不明だ。相手はSATを全滅させた殺人鬼だ。まずは殺す事を意識しろ。逮捕なんて、考えるな」
クロはそう叫ぶ。だが、警察官として、逮捕を前提にした訓練を行っていた隊員達にはそれが困難な事である事は誰もが解っていた。
「ポチ、大丈夫かにゃ?」
タマはポチを見た。
「殺す事ですか?私は元自衛官ですよ。海外派遣もしています。むしろ・・・得意な方ですよ」
ポチはニヤリと不敵に笑う。タマはそれを見て、背筋が凍る思いをする。
「そうかにゃ。まぁ、どっちにしろ・・・やるしかないにゃ。あいつは化け物にゃ。あの時、自分を殺さなかった事を後悔させてやるにゃ」
タマはMP5短機関銃に弾倉を突っ込み、いつになく真剣な表情を見せる。
CATは全6チームを6方向から突入させた。これは一方から追い込んだ時に相手が逃げ出し、脆弱な警戒線を突破するのを防ぐ為だ。同様にCATとSATの狙撃チームが警戒線の外にある8カ所から狙っている。
タマのチームはクロをリーダーにタマ、ポチ、エレナ、リサである。エレナはペルシャ猫の遺伝子を持ち、フワフワの白い髪を持っている。おっとりしているように見えて、かなり好戦的で、ベネリM3散弾銃を持ち、先頭に立つ。リサは三毛猫の遺伝子を持ち、髪の毛が白に茶と黒の斑があった。彼女は大人しいが、冷静沈着で殿を務める。
「新しいチームになって、間が無いが・・・ベストを尽くせ。特に新人のエレナとリサは慌てるなよ。チームワークを乱せば、全滅しか無いからな」
クロに言われて、全員が返事をする。
CATの精鋭部隊は緊張しながら突入をした。
「新しい生贄か・・・」
監視カメラの映像がシューティングスターの脳の中で展開される。彼女の脳に増設された電脳ユニットは彼女の脳と同化し、手足のように自由に電脳世界を操り、様々なネットワークさえも侵入、破壊、乗っ取りが可能だった。すでにこの街のセキュリティネットワークは外部との接続を遮断し、彼女だけの物となっている。
「CAT・・・あぁ、この間の猫達か・・・こいつは・・・楽しめそうだな」
シューティングスターはSATの隊長の頭を小脇に抱えながら、楽しそうにビルの中を歩き出す。
CAT Eチームは店舗を一つづつ、確認しながら、進んでいた。
「サーモグラフィにも反応はありません」
すでに潰れて、シャッターが閉まっていた店舗から出てきた隊員は疲れ気味の表情であった。いつ、敵と遭遇するか解らないのは高い緊張感を強いられ、疲労度は増すばかりであった。
「よし・・・次に行くぞ。これで5件目だ」
建物の様々がある。スラム街とは言え、多くの人々が普段は生活をしているのだ。店や住居の中には幾らでも隠れる場所はある。隊員達は目視以外にもサーモグラフィなどのセンサーも使って、捜索をしていた。
彼等が次の建物へと向かう為に路地を歩き出した時、そこに何かが投げつけられた。咄嗟に気付いた隊員達は即座に身構え、それを躱した。だが、それは地面に落ちた瞬間、爆発した。
一瞬にして、二人の隊員が爆発の直撃を受けて、吹き飛んだ。
「爆弾!敵だぁ!」
班長のタマキは叫ぶ。彼女自身も爆弾の破片を受けたが、敵が何処かを探った。
「班長!上ですぅ!」
隊員の1人が叫んだ。タマキが上を見た時、賃貸マンションの三階の窓にそれは居た。黒い縞模様の刺青の入った女。彼女はその高さを物ともせず、飛んだ。
隊員が慌てて、短機関銃を構えるがそれよりも早く、彼女は地面に降りたち、左手に握った大型ナイフで隊員の銃と左腕を一撃で切断した。
ぎゃあああああ!
腕を切られた隊員が叫ぶと共に女は右手に持った大型回転式拳銃を撃った。それは別の隊員の顔面を砕いた。
「なっ!」
タマキは一瞬の事に動揺した。構えた銃の狙いが定まる前に撃った。フルオートで発射された銃弾はシューティングスターの顔の横を飛び去る。それを見切っていたシューティングスターはニヤニヤしながら、タマキに飛び掛かる。
次の瞬間、タマキの首筋から刃が刺し込まれ、心臓を貫いた。
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