第31話 勝負続行!?
「ふぅ~」
ようやく落ち着いた空間でリラックス出来た気がする。
今は、穂波さんの家のお風呂で、シャワーを浴びているところだ。
俺は安心していた。穂波さんが相変わらずのポンコツっぷりを発揮してくれて。
正直、もしも穂波さんがこれで料理をうまく作っていたら、俺は戸惑いを隠せずに家を飛び出していたかもしれない。
穂波さんがポンコツっぷりを発揮してくれたおかげで、俺の意思は出て行く気はないと固まったけど、こうして穂波さんが面倒を見てくれるのは高校卒業までなんだよなぁ……そこから先、俺は一体どうなるんだ?
ふと冷静に、高校卒業した後の将来のことを考えてしまう。
穂波さんとは一時的に同居しているだけであって、恐らく俺はまた一人暮らしをする羽目になる。そしたら、またお世話になるのは……
そこで思い浮かぶのは瑠香の姿、しかもたちが悪いことに昨日のお風呂場での裸体姿。
「……」
もしもだ、もしも俺が瑠香と結婚ことになって同棲したら、あんなむふふなイベントが毎日起こるのだろうか?
なんなら、もっと凄いことまでしてくれるのでは……!?
ちょっと待て、つまり俺が婚約者だって認めれば、瑠香は何でもしてくれるってことでは!?
俺は完全に瑠香を異性として意識していた。
それどころか、よからぬ妄想が頭の中にいくつも浮かんでくる。
◇
エプロン姿で夕食を作りながら瑠香の帰りを待つ俺。妄想でも瑠香が主婦をしていないあたりが俺達らしいというかなんというか。
そして、玄関のドアがガチャリと開かれる。
「ただいま~」
「おかえり瑠香」
ドスドスと足音を立てて、瑠香がリビングに入ってくる。
「恭太ぁ~」
「おかえり」
そして、どちらからでもなく自然にするただいまのキス。
「えへへ、恭太ぁ~」
「どうした?」
「子作りしよ?」
「いいよ、だけど、ご飯食べてからっ」
「チュ~!!!!」
俺の言葉を口でふさぐ。そして、そのまま舌まで入れてくる瑠香。
我慢できなくなった俺はそのまま……
とか
一緒にソファーに座って映画を見ている途中、俺は我慢できなくなって瑠香の胸を揉みだす。
「ちょっと、恭太」
「ダメ?」
「べ、別にいいけど。私の身体は恭太だけのものだし」
「あっ、こらぁ、がっつきすぎぃ!」
◇
あぁ……! なんて俺はもったいないことをしてしまったんだ!
思わず頭を抱えてしまう。
穂波さんにこれからもお世話になりますと、なし崩し的に言っちゃったけど、やっぱり瑠香の家に居候した方がハッピーエンドを迎えたのでは!?
その前に俺、幼馴染をこんな性的な対象として見てる時点で最悪だ。というか病気だ。ダメだ病院に行こう。
こういう時何処に行けばいいんだ? 精神科? 心療内科? ブライダル? 結婚式場? ……いや、結婚式場はダメだろ!
俺がそんな幸せハッピーエンドに対する後悔の念を抱いていると、穂波さんから扉越しに声を掛けられた。
「恭太! 泊った分の洗濯はかごに入れておけばいい?」
脱衣所の方から穂波さんがそう声を掛けられ、意識を現実に戻される。
「あ、はい! 入れておいてください、後で洗濯します!」
「分かった! よいしょっと……」
俺はなんとなく穂波さんのシュルエットを目で追う。うんうん、洗濯籠に保奈美先生の家に泊っていた分の洋服を入れて偉いぞ。そして次に、腕を下から上に上げて、身に着けていた服も脱いで、うんうん部屋とかに脱ぎっぱなして放りっぱなしじゃなくてえらいぞ。うんうん、ズボンも脱いで洗濯かごに入れて……って、え?
「よし……これでいいのかな? なんかすごいピチピチ……」
穂波さんのシュルエットは、自分の身体を確認するように首を動かした後、よし! っという掛け声とともに、こちらへと近づいてきて……
ガチャ! っと俺たちを隔てていた風呂場の扉が開かれる。
「きょ、恭太……」
「なっ……!?」
恥ずかしそうにしながら風呂に入ってくる穂波さん。
そんな穂波さんの格好は、紺のスクール水着姿。だが、サイズが合っていないのか、水着の布が、ピチピチにその艶やかな穂波さんの身体に張り付き、身体ラインがまる分かりだ。肩にかかっている紐がピンっと張り、ミシミシと音が聞こえてきそうになっている。紐がパンパンに張っている原因であるその暴力的なまでにマシュマロのように柔らかそうな胸は、両乳が窮屈そうにぶつかり合い、谷間がこれでもかと強調され、今にも水着からぷるんと飛び出してきそうなド迫力だ。というか、既に横乳がはみ出ている。
まさに、ぷるんぷるんピッチピチ衣装で穂波さんが風呂へと現れたのだ。
破壊力抜群すぎる。裸よりもこっちのほうがエロいのではないかと思ってしまうほどに。
そんな姿を舐め回すように見ていた俺は、穂波さんが頬を染めて恥ずかしそうにしている姿を見てはっと我に返り、咄嗟に視線を外して声を上げた。
「なっ、何してんですか穂波さん!」
「何って、一緒にお風呂に入ろうと思って……」
「何のために!?」
「だ、だってぇまだ勝負は終わってないし……栄っちが、これ着て一緒にお風呂入れば、いちころだって言うから……」
穂波さんは身体をモジモジさせながら恥ずかしそうに答えている。その状態でモジモジされると色々目のやり場に困るのでやめて頂けますかね。
ってかこの勝負まだ終わってなかったの!? てっきり俺の中では終わっているのかと思っていた。
にしても、保奈美先生は穂波さんに一体何をさせたいわけ?
あの人の目的が分からない。
「ちなみに、その衣装は何処から?」
「これは、栄っちが使おうと思ったら、使う機会が訪れなかったからあげるって」
やっぱりあの人の所有物だったか……ってか、保奈美先生のサイズじゃ、穂波さんに合わないってどうして分からないで着ちゃうかなこの人は。
明らかに二つのボールの大きさが違うでしょうが。
でも、保奈美先生一体何のためにスクール水着なんて持っていたのだろうか?
使う機会が訪れなかったって……
やめよう、なんか非常にまずい気がしてきた。
保奈美先生が何目的で使用しようとしていたか考えるのは危険だ。
「と、とにかく! 恭太は黙って私に身体洗われなさい!」
俺が頭の中で保奈美先生に対する危険信号を察知している間に、穂波さんは俺の手元から石鹸とハンドタオルを奪い取ってしまう。
「ちょ!?」
俺は咄嗟に身体を前に向けて手で覆い隠した。
あっ、あぶねぇ……穂波さんに俺のアームストロング砲を危うくお披露目するところだったぜ。
そしたら、お嫁に行けなくなっちゃう。も、もう! 穂波ったら強引なんだから!
そんな一人芝居を頭の中でうっている間にも、穂波さんは石鹸を手早く泡立てている。
「そのまま前向いてなさい。今背中から洗ってあげるから」
「は、はい……」
こうなってしまったら、もう俺に逃げ場はない。身体だけ素直に洗ってもらって、後はご丁重に退出してもらおう。
にしても、幼馴染と担任の先生、まさか二日連続風呂に入ってくるとか……
何、最近のブームはタピオカじゃなくてお風呂なの?
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