「ピアス」

 がしゃんと音を立てて彼女のピアスが落ちた。彼女のピアスは大きくて丸い形をした金だ。

 やっぱり重いんだこれ……とおずおず拾おうとすると、彼女が慌てたように掠め取った。

 どうしたのかと彼女を見れば、耳につけ直していて、分厚い側面に。


「私の名前?」

「!」

「あの、なんで私の名前が」

「ーーっ!!」


 彼女は何も言わずに立ち去っていったが、その耳も首筋も真っ赤だった。可愛いなぁと思う私の頬も赤いのを鏡だけが見ていた。

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