「桃」

「家畜、来い」

「はい?」


 不機嫌そうに思いっきり襖を開けた彼女に呼ばれてついていけば、そこにあったのは桃の大樹だった。


「連れてきた、感謝せよ」


 彼女が言った途端、ぱきりと細枝が折れ彼女に降った。とっさに弾こうと腕が枝に触れた瞬間、枝が消え腕からふんわり甘い匂いがした。


「え?」

「なっ! 香りをくれてやるとは聞いとらんぞ! これは妾のもの!」


 何か前に桃を褒めたのが桃の琴線に触れたらしい。

 彼女独占欲強いのにな。

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