忘れえぬ記憶だけじゃない

僕たちの船は竜巻に飲み込まれて、気がついた頃には僕は昔の世界に飛ばされていた…。

そしてそこに居たのは…


「俺は暁ケイスケ、歳は20歳だ。」


ハタチの頃のお父さんだった…


「アンタ、どこから来たんだ?変わった髪色だな!ちょっと羨ましいかも。」

「えーっと…なんというか…?」


ここでもし「未来から来たキミの息子です」なんて言ったら…僕が図書館で見たタイムスリップものの漫画じゃ『未来のことを喋りすぎると歴史が変わる』なんて言われてるもんなぁ…

本当のことを言ったら僕が消えちゃうかも…?


「うーーん…と、遠いところかな…?」

「うんと遠いところ…?外国か?」


歴史がどうとかはよくわからないけど、この時代の歴史をめちゃくちゃにしちゃダメだよね…


「…まあいっか。あんた、名前は?」


あっ…どうしよ、ここって普通にヨウって言わないほうがいいのかな…?

いやでも違う名前でずっと呼ばれるのも慣れないし…


「んーーー…ヨウ…だよ。」

「そうか、よろしくな?」


ウソの名前を言おうと思ったけど…やっぱやめよ。

たぶんこれくらいなら歴史は大丈夫なはず。


「うん、よろしく!ケイスケさん。」

「ははは、さん付けなんてしなくていいぞ!なんなら呼び捨てでも!」

「えっと…よろしく、ケイスケ!」


わー違和感がすごい、自分のお父さんを呼び捨てにするって…

…そうだ!ツクヤは…?たしか一緒に飛ばされたからもしかしたら一緒にここに来てるかも…



「ん?どうしたキョロキョロして。」

「えと…友達を探してるんだ、もしかしたら一緒に来てるかもしれないから。」

「そうか…よし、俺も一緒に探すよ。」


ツクヤ…どこかで怪我してないといいけど…

というかそもそもここにいるのかな…?


〜森〜


「居ないか?」

「うん…」

「そうか…ん?」



「おーい!」



2人でツクヤを探していた時、どこかナミちーに似たコウモリの子が森の奥から飛んできた。


「おっ、テン公じゃないか。」

「またその呼び方か!?

あたいはテングコウモリだ!」

「そんなに嫌かぁ?略してる感じが呼びやすいかと思ったんだけどなぁ」


僕も時々フレンズさんを略す時あるかもしれない、いやがられてないかな…?


「って!そんな事は今どうでも良いんだよ、ナミちーが向こうで倒れてる人を見つけたんだ!」

「まさか!」

「ああ、そのまさかかもな!」

「へ?」


テン公…じゃなかった、テングコウモリさんに案内されて森の中を進んでいった。

(僕もあの呼び方いいと思うんだけどなぁ、やっぱり親子?)


「連れてきたよ!」

「ああよかったわ、おかえり〜」


ナミちーがいる…でもあれは僕たちの知ってるナミちーじゃないんだよね…?


…そしてその横に寝ているのはツクヤだった。


「ああ、よかった!」

「この人がヨウの友達か?」

「うん!」


しばらくして、ツクヤは目を開けて起き上がった。


「う…うぅ…ここは…どこだ?」


ツクヤはこの時代のナミちーと目が合い、ナミちーによろよろと歩み寄った。


「ナミちー…?

怪我はないか…?」

「ひゃっ…!?ちょ、ちょっと?」


ナミちーはかなり焦って慌てていた。


「この子は僕たちの知ってるナミちーとは違う子だよ!」

「…?どういう事だ…ん?うわぁ!?」


僕はツクヤの手を引っ張って茂みの中に一旦入っていった。


「おい!?どこ行くんだ?」

「えーっと、友達と大事な話!」


なんとなく誤魔化してツクヤに色々と相談してみることにした。


「ヨウ、どうしたんだ?」

「うーーんどこから説明したことか…

まずここは過去の世界です。」

「????」


ツクヤですら訳がわからないという表情をしてしまう、それが今の状況なんだね…


「で…あそこにいる男の人は僕のお父さんです、20歳の頃の…」

「おじさん…!?」


めっちゃびっくりしてる、そりゃそうか…。


「こういう時って僕がお父さんの息子だということはバレちゃいけない気がするんだよね…。」

「なるほど、タイムスリップもののあるあるだな…。」


こっそりひっそりと、これからどうするのかを静かに話した。


「だけど…全部全部隠しておくのも無理がないか?

おじさんの性格上、彼なら見捨てはしないだろうけど他の人が素性のわからない者をどうするか…」

「じゃあどうしよう…?」

「まず後の時代から来たということだけは話すべきだと思う。」


そっか…信じてくれるかな…?

いや、お父さんなら信じてくれる…かも?


「おーい!君たち!?

どうしたんだよ?」


あっお父さんが呼んでる、そろそろ出なきゃ。


「へへ…ちょっと2人で話してたんだ。」

「そうか〜、急に茂みに飛び込むからびっくりしたぞ?

…で、アンタがヨウの友達なんだな!」

「俺はツクヤ、よろしく。」


後のことは打ち合わせ通りに、だね。


「まず言わなきゃいけない事がある。

俺たち2人は、この時代より後の時代から来た。いわゆる未来人だ。」

「はっ…?」


お父さんもびっくりした顔をしてる。

そりゃそうなんだけどね…


「船に乗っている時におかしな竜巻に巻き込まれて…そのまま船に仲間2人を取り残して俺たちはここに来てしまったというわけだ。

信じられないかもしれないけど…。」

「いや、俺は信じる!」


あっさり信じてくれた、さすが…!


「いや何、動物が人間の女の子になる物質が存在するんだ。

タイムスリップしてくる奴なんて今更なんもおかしくないと思うんだ俺。」


いやーそれ言っちゃったら終わりな気がするけど確かにそうかもしれない…。


「そんならアンタら、どこも寝る場所もないし食料もないんじゃねぇか?」

「ああ…荷物も船に残されてるからな。」


確かに…僕もカードも首飾りも置いてきちゃってたもん。


「よし、とりあえずこういうイレギュラーな事態は探検隊に報告して、それからのことは俺がなんとかするよ。

タイムスリップしたアンタらを保護する、それが今回の依頼だな。」


依頼?

あっ、なんか思い出しそう…そうか。

お父さんはなんでも屋と言ってパークの困りごとを解決していたんだっけ…


「で、あたい達はどうする?」

「帰っていいんじゃないかしら。」

「ゴメンゴメン、彼のことありがとうな?

あとは俺がなんとかする。」


お父さんが2人にお礼を言うと、2人はバサバサと飛び去っていった。


「ナミちー…」


ツクヤは僕たちの時代のナミちーのことを思い出して寂しそうな顔をしていた。

するとお父さんがちょっと茶化し気味にツクヤにきいた。


「なんだツクヤ、恋人か?」

「はっ…??いや違う、そんなんじゃ…」


単に気になっただけかもしれないけど…お父さんどストレートすぎるよ!

あれ、でもツクヤとナミちーってそうなんじゃないの?


「それでも大事な存在なのには変わらないんじゃねーか?大事にしろよ?」

「はい…。」


あらら。完全に縮こまっちゃった、顔赤くなっちゃってるし。

でも僕もスナネコの事も心配だ…ラーも海に落ちてないか…


「よし、スタッフカーを呼ぼう。

一つスタッフ権限で使用許可を貰ってあるものがある。」


お父さんは携帯の画面を動かして電話をした。


「もしもし?ああ隊長、一台貸してくれないか?

未来から来た人を2人保護してる。え?何を言ってるって?…説明は後でするから頼むよ!」


なんか…大丈夫?


「姿を写せばいいんじゃないか?」

「ん?ああその手があったか。

ほら隊長、これがその未来人だ。」

「やっほー?」


僕はにこにこして手を振ってみたけど、画面の向こうの隊長さんはちょっと戸惑ってた。

でもどうも許可を出してくれたみたいで、しばらく待つように言ってた。


「ふーー…これでも俺、いちおうスタッフなんだがなぁ。」



スタッフカーが着くまでの間、色々と話をした。


「ヨウ、お前のその上着…俺も同じの持ってんだよな!

いま洗濯しちゃってるけど…。」


そういってお父さんは、僕の服をイケてる服だって褒めてくれた。

この服はお父さんがくれたもの…すごーく大切なものだもん!


「そういえば2人とも…」


急だったけど何かを思いついたようにお父さんは話題を変えた。

どうしたの?


「未来の世界ってどうなってるんだ?

やっぱ車が飛んでたりとか?」


あー…やっぱり気にする?

うーんどうしよう!


「ん、ん。(どうするツクヤ?の目)」

「ん。(任せろ。の目)」


アイコンタクトで合図を送り合い、ツクヤがなんとかしてくれることになった。


「ケイスケ…さん?」

「呼び捨てで構わないぜ!」

「ケイスケ、その辺は喋ってはいけない事になってるんだ。歴史に関わるからな…すまない。」

「なんだー…いやまあ楽しみは取っておくモンだしな!しょーがない!」


お父さんはその話をあっさり納得してくれていた…危ない危ない。

そうこうしているうちにラッキーが乗ったスタッフカーが僕らの前にやってきた。


「よし、ここからは俺が運転していくよ。

案内は頼んだぜ?」

「任せテ。」


お父さんは運転席に乗り込むとラッキーを助手席に移した。

運転もできるんだ、すごい!


「うっし…大丈夫、免許持ってるから俺。」

「めんきょ?見せて〜!」

「おう、いいぞ!」


そういってお父さんの顔がついたカードみたいなものを見せてくれた。

これが免許かぁ!


「なんだ、そんなに珍しいのか?

まさか未来じゃ全部自動運転とか?なんつって…。」

「いや、ヨウは記憶喪失から回復しているところなんだ。

どんな記憶が抜けてるかというのも皆目見当がつかないんだけど…」


うん!そーいうこと〜

それより早く行こうよ〜


「さて、目的地は探検隊拠点。安全運転で出発〜!」

「いえーい!」

「元気だな2人とも…。」


盛り上がる僕とお父さんをツクヤは『さすが親子だな』って顔で見ていた…元気です!



ツクヤはさっき、ナミちーのことを考えていた時のことを考えていた。


「…俺はナミちーに会えなくて寂しがってるのか…?」

「ん?…ツクヤがそう思うならそうじゃない?」

「そうか…。」


早く帰ってあげないとね…!


道中、ツチノコとちょっと似た見た目のフレンズさんを見かけた。


「わ、見たことないフレンズさんだ!」

「コモドドラゴンだヨ。乾燥した落葉樹林やサバンナや雨期にのみ水がある河辺林などに生息する爬虫類だネ。」

「解説サンキュー、手振ってみるか?」


手を振ってみると、コモドドラゴンさんは上品に手を振りかえしてくれた。

その後もいろいろなフレンズさんたちを見かけたよ!それから…


「建物がいっぱい…ヒトもいっぱいいる!」

「この辺はショップがたくさんあるぞ〜

暇があったら立ち寄りたいが今は先を急がないとな?」


その後もいろんなところを見ながら車は進んでいった。




〜到着〜


「はい、着いたぞ!」

「わあ…!」


綺麗な自然の中に建つ懐かしい雰囲気の建物…ここが探検隊のみんなの拠点…?

じーっと見ていると拠点の中からフレンズさんが出迎えてくれた。




大きな耳

小麦色の髪

ふさふさしっぽ




「やー、ケイスケ?隊長さんから聞いたよ。」


お母さんだ…懐かしい声…


「その人たちが噂の未来人さん?」

「えっと…こんにちは!」

「初めまして。」

「うーん…そっちの金髪の君、なんだか初めて会った気がしないね?」

「えっ…?」


お母さん…なんとなくでわかってるんじゃ…?

一方でお父さんはあたりを見渡した後、ツリーハウスを指さした。


「今日は相棒、あそこにいないのか?」

「ん?アライさんのこと?」

「いんや、俺の相棒。」

「そういうことね〜」


相棒?そんな人がいたんだね、ツクヤのお父さんのことかな?


「相棒?」

「ああ、なかなか変わってるフレンズだぞ。

名前は自分から名乗りたい、とか言ってるし。」


へー、何か理由とかあるのかな?


「…じゃあアイツどこに行ってるんだ?」

「バイトだよ〜」

「ば…バイト!?俺聞いてないんだけど??」


お父さんもこれにはびっくりしていた。

相棒さん、アルバイトしてるんだね。


「なんでも『全カフェの今年の冬の新作パンケーキを食べる為』らしいよ?」

「今夏だぞ!?アイツ、ホントに好きだよなパンケーキ!」


ははっ、かわいい理由!


「…っと、いつまでも雑談してると隊長に叱られちゃうな。行こうか。」

「うん!」「うん。」


僕たちは話をやめて拠点の中に入っていった。

そこにはテレビやラジオ、本棚にベッドまであった。フレンズさんが歩いてたり集まって話をしてたりもしてる。


「隊長室はこっちだ。」


お父さんは隊長室のドアの前まで僕たちを連れてくると、ドアをノックした。


「俺だ、連れてきたぞ〜」

「どうぞ!入ってください!」


ドアの向こうからは聞き覚えのある声がした。


「失礼しまーす…」「こんにちは?」

「あれ?副隊長じゃないか。」


副隊長と呼ばれたそのフレンズさんはすごく見覚えがある。

そう、小さい頃から僕の先生をしてくれていたフレンズさん…ドール副隊長だ。


「隊長は?」

「それが…隊長さんさっきまで居たんですけど、突然の出動が入っちゃって…わたしが代理を任されました!」


副隊長…ドール先生は僕が小さい頃には既にベテランの副隊長だった。

昔、有り余った気力でフレンズさんたちにちからくらべを仕掛けていた小さい頃の僕の先生をしてくれていた。


…とはいえちからくらべの関係のものより鬼ごっことか隠れんぼやってた時の方が長かったかもしれない…?


「とりあえずな、イレギュラーな事態ゆえの報告だよ。

この2人は俺が借りてる家で保護するってことでいいか?」

「了解です!じゃあスタッフさんたちには探検隊で報告しておきます!」


お父さんとドール先生は何か話して、探検隊としての許可をもらっていた。


「…これからどうするんですか?」

「ん?そうだな、手頃な場所で何か食べさせてやりたいと思ってる。」

「それなら向こうのショップ周辺が良いかと!丁度移動販売のキッチンカーが出てますよ?」


キッチンカー?なんか面白そう!


「へー、そりゃ良いな?なんのだ?」

「クレープだとか?」

「そうなのか…!!」

「おおツクヤ…!?すげー食いつき…」


ツクヤがクレープに反応するのは意外だった。

…と、そんな感じで話しは終わって僕たちは探検隊拠点から出た。


「じゃあね〜?」

「隊長さんにも伝えておきます!」


スタッフカーを出す時、先生とお母さんが見送ってくれた。

…なんだか懐かしいなあ…



「フレンズさんもモノが欲しい時に働くの?」

「コインを稼ぐフレンズもいるが物々交換で手に入れるフレンズもいるぞ?」


へー…そうなんだね…


「まあフレンズに『欲しい』って言われてただ断るのは結構ムズイがな!」

「はははっ!」



「ほれ、着いた!」

「早速クレープを探…んんっ。

周囲の散策をしよう。」


食べたいんだなぁ、クレープ…

僕もだ!!


「よし!よい子たち、お兄さんがお小遣いをあげよう。」

「いいの?」「ありがとう…。」


よーし、これでキッチンカーを探しに行けるね!



〜〜


「よし、じゃあ2人でこっち…ケイスケはあっち探して!」

「はぐれないか?」


色々考えながら、お父さんからマップつきのパンフレットを借りた。


「後戻りしなければ向こうで道が一つになるからな!テーブルもあるぞ!」

「わかった、そこで合流しよう。」


ツクヤのためにも、早く見つけたいね!

それじゃあ出発!


「知らないヒトにはついていくなよ〜!」

「親か〜!」


いや全然合ってるんだよね、ほんとに親だもん。





「キッチンカー?どこにあるんだろうね〜」

「必要ならその辺の人に聞いてみるのもいいかもな?…ん?」

「どうしたの?」


ツクヤが立ち止まると、目線の先にはクレープを持って楽しそうに走っている小さい子がいた。


「あははは!きゃー!」

「なんかほっこりするね〜」

「だな…いやちょっと待て、あの子の先にっ…!!」


さらに向こうには高そうなスーツを着たおじさんとその人のお付きの人っぽい雰囲気の人が歩いていた。


「危ないっ…!」


ツクヤが走って行こうとしたけど、すでに小さい子はそのおじさんに思いっきりぶつかっていた。


「痛い〜…」

「っ!!何をする!!」


するとお付きの人がすごい怖そうな顔でその子を睨んだ。

それを止めるようにおじさんがお付きの人をなだめた。


「まあまあ。

悪いね、私のスーツが君のクレープを食べてしまったよ。次はもっとたくさんクリームが入ったものを買うといい。」


そう言ってお金を渡すと、お付きの人を手招きして連れて行き僕たちが来た道へ歩いて行った。


「…何だったんだ…?」

「いかにもお金持ちって人だったね…あっそうだ!今の子と同じ道に行けばキッチンカーのところまでいけるんじゃない?」

「なるほど…?絵面は珍妙だが」


気にしすぎだと思うなー?

…じゃあちょっと待ってから行こうか。



おー、あったあった!

ちょうどさっきの子が店員さんからクレープを受け取ってる。


「僕たちも行こう!

くださーい?」

「いらっしゃいませ〜!」


僕はバナナのクレープ、ツクヤはイチゴのクレープを注文した。

あとお父さんの分…チョコにしよう。


「はい、お待たせしました!」

「ありがと〜!」


美味しそうな匂い…すぐに食べたいけど合流しなきゃだし我慢!


「大丈夫か?持とうか?」

「大丈夫、行けるよ!ほら行こ!」


僕たちのやり取りで店員さんも微笑ましくなったのか、兄弟みたいって言ってくれた。


「仲良しですね、兄弟みたい!」

「ほんと?ありがとう♪」


それじゃあ合流しなくちゃ、出発!



〜〜

ホントだ、道と道が合わさって広場があるよ!


カフェテーブルって言うのかな?

白い机とイスがいっぱいある!


「あれ?お父さんいないね〜」

「おじさんの事だからどこかで人助けしてるんじゃ?」


…と話していると、ちょうどお父さんが向こうから走ってきた。


「おーい!待たせたか!?

悪いな、道を聞かれてたんだ。」


やっぱり人助けしてた、ツクヤの言う通りだ。


「クレープあったんだな?よし、食べるか!」


やった〜!ツクヤもきっと我慢してたよね、早速食べよう!


「あ、おt…ケイスケはこれね!」

「おー俺のはチョコか、チョコは俺のっ…大好物だッ!」グッド


やったね、チョコにしてよかった!

僕のはバナナ〜…バナナって黄色いしちょっと黒いから好き〜、お母さんやスナネコみたいだからかな?


「美味しい!」「美味しいな?」「うまいっ!!」


こうやって仲良く甘いものを食べるのってなんか良いなぁ〜…


「そういえばさっきね?」


思いつきで僕はさっきあった事を話してみた。


「ほー…」

「僕お金ってよくわからないんだけど、お金持ちってなんでもできるのかな〜ってそれで思ったんだ。」


僕のその言葉を聞いたお父さんはちょっと考えたあと、真面目な声で答えた。


「俺が思うには金があるのとなんでもできるのはイコールではないと思うなぁ、それに…」


お父さんが何かを続けて言おうとした時…

カフェテーブルが並ぶ広場の向こうの方で何か騒がしい声がした。


「わー!!」「怪物だ!」

「怪物…!?」


セルリアン!?と思って振り返るとそこで暴れていたのはセルリアンとはまた違った…

コウモリのような姿をした怪物だった。


「わっ!?あれって…」

「前にライブステージで似たようなものを見たことがあるな…たしか…」

「イビルズ、俺たちがそう呼んでいる化け物だ。

さしずめバットイビルズってやつか?」


お父さんがそう言いながら、イビルズの前に出ていった。

そしてどこからかラジカセ型の機械を取り出して腰に装着した。


「「あれは!!」」


…いわゆる『ベルト』だね。


「2人は下がってな、アイツも元は人間だ。

俺が戦って元に戻す。」


『デオキシ・ドライバー!』


そして腕に巻いている機械に黄色いカプセルをつけた。


『サーバル!』

「俺の進化を…見せてやる!」




『D・N・A!DNA!

D・N・A!』


「変身!!」


ベルトのスイッチを押すと、腕の機械が動き出してお父さんの腕にカプセルに入ったものが流れていくように見えた。


『サー・バル!サー・バル!

S・E・R・V・A・L!

サーバル! GO!』


「仮面フレンズ・デオキシ!

パークもお前も、必ず救ってみせる!」



サーバルさんをヒーローにしたような姿…

そしてお父さんの決意の言葉、熱さの中に正義感がある…まさにヒーローだった。



〜次回に続く〜

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