鉈 ~No,ten~

とうとう、妻を殺してしまった。


最初は些細な口喧嘩だったが、徐々に感情がたかぶってゆき、ついに爆発した俺はなたで妻の脳天を叩き割ってしまったのだ。


後悔しても仕方がない。とにかく妻の死体を隠さねばならない。

そうだ、裏山にある池に沈めてしまおう。


小屋を出て山に登り、担いでいた妻の死体を池に放り込んだ。


すると。ぱあっと池が輝いて、水面みなもから美しい女神が姿を現したではないか。

その両手には、世にもおぞましいものを抱えている。


「あなたが落としたのは、金の死体ですか? 銀の死体ですか?」


俺はなたで女神の脳天を叩き割った。

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