お月さまと盗人

作者 織姫

ちょっとそこまで、月の盗みに

  • ★★★ Excellent!!!

むかしむかしのお話の、随分あとの後日談。

第一話目、プロローグのように流れるおとぎ話。
第二話目、語り口も変わり、明らかな転調があります。
物語はおとぎ話のエッセンスを引き継いで、独立した形で始まるのかな? そう思いました。しかし甘かった。

なんとこのお話、繋がっています。

世界観はおとぎ話そのままに、ストーリーもしっかり繋がっているのです。なのに小説。
ファンタジーの短編小説として確立しているんです。
じゃあやっぱり一話目のはただプロローグで切り離されているんじゃんって思うかも知れないですが、違うんですよ。
おとぎ話と小説が、違和感なく同じ世界観と同じ軸で紡がれているんです。

「こんなことできるのかよ」

と、私が同じ創作家としてリアル過ぎる呟きとため息を吐いたのは、想像に難くないでしょう。

ちなみに、このことについて言及している人が、コメント欄を見ても少ないのは、それほど違和感なく紡いだからだと確信しています。

ここに完成されたワールドがあります。
でも完成されているからこそ、その先に思いを馳せる楽しさがあります。
私はこの物語の決着がついた後、物凄く妄想をしました。
このあともしかしたらああなって、こうなって、そんなことが起きるかもしれない……なんて。

無粋かな……いえいえ、これはもうこの作品を読んだ読者の特権だと思います。
作者様が創ってくれたこの世界、その続きを妄想したらとても楽しいです。なにせ私には創れない世界ですから。
さあ、あなたも楽しく妄想しましょう!

だからそのために、ちょっとそこまで、月を盗みに行きませんか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

詩一@シーチさんの他のおすすめレビュー 116