お月さまと盗人

作者 織姫

少年と少女が目指す先、そして照らしているもの。

  • ★★★ Excellent!!!

作品全体が纏っている淡い雰囲気に惹きつけられました。

この作品の最大の特徴は描写力にあると思います。
この作品、物語の中で起こっている出来事が目の前で浮かびます。それだけでも、凄いんですがもっと凄い事があります。
その情景に全て、薄い霧がかかっているんです。ぼんやり霞んでる世界を、登場人物たちは、動き回っています。

最初は何故だろう、と思いました。表現や構成など全てにおいて儚い感じはしました。でも、それ以上の何かがあるんです。
正体がわからないまま読み進めましたが、ラストシーンでその謎は解けました。
世界が世界に侵食していたんです。
“物語”にすぎない世界がそれを超えて、読み手である私の“想像”に侵食していたんです。
ネタバレに関することなので、詳しくは言えませんが、薄い霧のような儚さを想像世界にさえ、及ぼす力があったのです。

その証拠に、最後の1話は薄い霧がとれて鮮明な世界が見えました。
最後の締めの言葉で、私ははっとしました。

少年が照らしていたもの。
少女が照らしているもの。

その違いが、想像の違いにはっきりと出たんだと思いました。

読んで損はしません。
是非、少年が照らしていたもの、少女が照らしているものを見に行きませんか?

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