3-28 36話シナリオ&『竜の子ファンクラブニュース』No,6入手

 今回久々に新資料を入手した。36話「忍び寄る巨岩戦隊」のシナリオと、ゴーディアン放送当時公式ファンクラブで頒布されていた『竜の子ファンクラブニュース』である。シナリオの内容については36話「忍び寄る巨岩戦隊」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054891515969/episodes/1177354054893820261)に追記したのでそちらを確認していただきたい。


 ここでは『竜の子ファンクラブニュース』No,6について紹介しよう。発行時期は「Sep.1979」ということで『闘士ゴーディアン』放送直前である。全16ページでカラーオフセット印刷だと思われる。内容は当時放送中のタツノコ作品の紹介や読者のお便りなど。ファンクラブが公式募集したガッチャマン二次創作の掲載やセル画の通信販売も行っていた。

 ゴーディアンの記事は『特報 '79秋の新番組スペシャル』として『科学忍者隊ガッチャマンF』特番『あしながおじさん』と共に取りあげられている。

 記事の内容は企画書の「口上」が書かれた紹介文と九里一平のキャラクターイメージボード、制作の吉田健二と九里一平への対談からなる全2P。「プロテッサー 2.5M デリンガー5M ガービン10M」と初期設定の身長で書かれたゴーディアン3体図もある。

 これまで紹介してこなかった部分ではマドクターについて『自意識を持った巨大コンピューター、マドックはその力を過信 M.M.C(メカニック・コントロール・センター)システムを狂わせ、メカの悪用によってマニアックな人類の統制を果たそうとする』とあり、企画書よりも分かりやすくなっている。もしかしたら原文はこれで、DVDの特典レプリカは文面が足りなかったのかもしれない。これも「0-2.企画書からわかること」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054891515969/episodes/1177354054891825340)に追記しておく。ちなみにM.M.Cとはメカコンを作った組織である。


 吉田健二と九里一平への対談記事では前段で背景設定の説明がある。

『「闘士 ゴーディアン」は、異常に発達、自己増殖して意思を持ったコンピューター・メカが勝手に一人立ちし、悪しき野望を抱いて人類に挑戦してくるという、現代社会の極限ともいえる現況の中で、父を失った悲しみを乗りこえて敢然と悪に立ち向かう主人公の英雄的な活躍を描いていきます』

 ここで『異常に発達、自己増殖して意思を持ったコンピューター・メカ』と語られるのはマドック(本編の毒魔大帝統)だと思われる。対談では『マドクターとは何者ですか?』という問いでもう少し掘り下げている。記事では吉田健二、九里一平どちらが答えているのかは分かりにくい。

『うん……狂ったコンピューターというよりも、もっと神秘的で得体の知れない、物理的に得体の知れない物、より動物的というのかな…を表現化したものです。(中略)彼の力は科学力というよりも魔力みたいなもので、この辺を徐々に描いていきたいね』

 狂ったコンピューター(ロボット)が敵のボスという設定はタツノコでは『新造人間キャシャーン』の前例があり、差別感を持たせたかったかもしれない。「毒魔黙示録」という預言書の存在もこの設定強化のためだろう。ただしマドクターのルーツが古代エジプトや宇宙人にまで行き着くという設定が決まっていたのかは分からない。

 ゴーディアン3体の設定についてはきっぱりと『ロボットじゃないんです』と言い切っている。『ゴーディアンはダイゴのスーツ、防具なんです』とパワードスーツ的なシステムであると説明し、バイオフィードバックシステムによってダイゴの動きに連動する様を身振り手振りで説明したりと力が入っている。また3体の使い分けについて『マドクター隊員と戦う場合は敏捷でなければならないから2.5Mのプロテッサーになり、巨大メカと戦う場合は10Mのガービィン(ガービン)になるとかね。もう合体ものとか、収納ものとか出つくしちゃったから、新しいユニークなものをやりたい』と語っている。

 ダイゴについては『冒険心旺盛に、自由にたたかわせたいです。(中略)キャラクターは自分が生んだ、いわば息子や娘みたいなものだから、大切に育てて、画面を飛び跳ねてほしいですね』と語っている。これは九里さんだろうか。

 最後に竜の子ファンクラブらしく、日曜は朝にゴーディアン、夕方にガッチャマンという編成になることについて触れている。『やはり放映時間のTVは見たいしね。ウィークエンドの夜遊びができなくなっちゃうよ(と、心配顔の九里専務でした)』と結んでいる。


 私が入手した他の『竜の子ファンクラブニュース』では残念ながらゴーディアン関連の記事はなかったが、貴重な資料であることには変わりない。僥倖に感謝したい。


 それでは今回はこの辺で。

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