3-18 『冒険王』79年12月号入手とパンスペルミア説の話

 「1-6」と「1-17」で紹介した『冒険王』79年12月号を縁あって入手した。以前の記事は国会図書館での閲覧記憶によるものだったので、改めて内容を紹介したい。

 この号は『仮面ライダースーパー1』のスーパー1、『まんが猿飛佐助』の佐助と共に『闘士ゴーディアン』からダイゴが表紙になっている。掲載位置も看板作品の『仮面ライダースーパー1』の次という好待遇である。

 表紙に紹介されている付録ケースにもダイゴが描かれている。ライダー関連の付録二つを除く「飛び出すTVヒーローアクションスコープ」「TV人気者UFO」のどちらかに載っているのだろうか。

 巻頭グラビアでも嵌入シーンのバンクを使った『最強ロボ・ゴーディアン 合体の秘密』という2ページ記事を掲載。ただしガービンの表記は「ガービィン」となっている。企画書の「ガーディン」を足して二で割ったような表記で、今回の桜多吾作コミカライズでもこの表記になっている。

 そしてコミカライズ2話。扉には

「またしてもおそいかかるマドクターの大群にダイゴ大滝のムチがしなる! 痛快なみせばがタップリ!」

というあおり文がある。

 内容は6話「ヴィクトールタウンの罠」がベース。ロゼとサオリもこの回からアニメと同じ表記になる。ただし、サオリはまだ包帯姿である。

 作中、ダイゴがコンピューターの京太郎との対話を回想するシーンがある。ここはアニメ2話のシナリオにあったが、本編ではカットされたシーンである(「1-2」参照)。

『「ゴーディアンとともに人類に残されたゆいいつの秘密を守るのだ」

「ゆいいつの秘密!?」

「それはまだいえぬ その秘密はあまりにもデッカイことだ その秘密におまえがたえきれるかどうかわかるまでおしえるわけにはいかない」』

 マドクターに押されるメカコンの救援に駆けつけたゴーディアンは、本編よりも早く耳アンテナ手裏剣(仮称)を披露する。残念ながら台詞は「ガービィンの必殺技をうけてみよ!!」のみ。

 ラストページ、マドクターの攻撃で亡くなった人たちを悼むピーチィたちの所にダイゴが戻ってくる。アンノンジーもここで初登場している。1話にいたかは未確認。ダイゴは喜ぶピーチィーにごはんのおごりを催促してあきれられるというオチ。


 これだけでは短いので、ここからは最終回放送40周年にちなんだ話をしたい。

 ゴーディアン最終回と言えば「パンスペルミア説」であるが、山本優はこの着想をどこから得たのか推測してみたい。

 パンスペルミア説自体は20世紀初頭から積極的に取り上げられていたが、ゴーディアン直近では1978年に天文学者・SF小説家のフレッド・ホイルが彗星によって地球に生命がもたらされたという説を唱えている。73話ラストでアーカーシャが地球に送る「生命体の微細な胞子のメッセージ」が彗星の形を取ったのはこの説にちなんだ可能性が高い。

 また、1981年には科学者フランシス・クリックが「意図的パンスペルミア」と呼ばれる説を唱えている。宇宙にいる他の生命体が意図的に地球に生命の種をまいたという説だ。偶然とは言えゴーディアン最終回に通ずるものがある。

 山本優は1982年に『魔境伝説アクロバンチ』の最終回でもクワスチカという神が地球に人類を誕生させたという内容を描いているので、「意図的パンスペルミア」はこちらに反映されているのかも知れない。

 それでは今回はこの辺で。

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