1-68.68話「異状生命体の接近」

 今回から宇宙での冒険が本格的に始まる。前回姿を見せたアダムⅢも積極的にアドバイスを行い、SFアニメの雰囲気を前面に押し出している。

 タイトルの「異状」というのはあまり使われない熟語だが、人類とは異なった状態の生命体を差しているのだろう。それでは見ていこう。


68話「異状生命体の接近」 1981年1月18日


 脚本     :曽田博久

 演出     :渡部英雄

 作画監督   :松井栄


あらすじ


 アノー号は太陽系から銀河系を横断するコースで辺縁系へと向かっていた。

 未知の変光星の近くで、突如謎の発光体の発するバリヤーにアノー号の進路が阻まれた。困っている乗組員たちの前に、アダムⅢが現れた。「宇宙においてはいかなるものと出会っても、必ずファーストコンタクト体勢を取るがよい」とアドバイスする。アノー号の各種機械で探査を行ったところ、生体反応が発見された。しかしアダムⅢは後退を指示する。納得できないダイゴは食い下がり、他の乗組員も同意する。結局コンタクトは続行されることとなった。

 『アノー号において、ファーストコンタクトとは人間の頭脳なしで機械によって行われることであり、セカンドコンタクトとは、人間が直接当たることである』(伊武雅之)

 ダルフのセカンドコンタクトに相手の答えが帰ってきた。翻訳機によると、お互いに使節を一人交換したいという。アノー号からはバックと護衛のダイゴが赴くこととなった。入れ違いに光の塊がアノー号へ向かう。

 アノー号で出迎えるバリーたちの前に現れたのは、白く光る人型の生命体だった。生命体は辺りを見回し、突如乗組員のマッケイに組み付いた。人型生命体はそのまま離れようとしない。怯えるマッケイの前にアダムⅢが現れた。原因は彼が元マドクターだからだというのだ。改心したと主張するマッケイだが、生命体はただドクマ星人の血を感じて寄ってきているだけで、敵意は感じないという。それでは通信を送ってきたのは一体誰なのか。サオリは毒魔大帝統の罠かもしれないと察する。

 そのころダイゴたちは、集合体の一部に開いた穴から内部に入っていた。万一に備え、ガービンを外に残してデリンガーになっている。中心には発光体に包まれたドクマ円盤があった。突如円盤からアンカーが延び、戦闘艇とデリンガーを捕まえる。発光体は5万年前の星間戦争で亡くなったドクマ星人のなれの果てで、本能的にドクマ星人に集まる習性がある。エリアスはそれをコントロールし、マッケイのいるアノー号に攻撃を加えようというのだ。ダイゴはガービンに連絡しようとするが、空間に阻まれてうまくいかない。

 しかし、アノー号へほとんどの発光体が向かったため、ガービンの姿が現れた。ダイゴたちはガービンにアンカーを断ち切らせ脱出するが、バリアに阻まれアノー号に戻れない。ドクマ円盤はムカデ型のマドピューターを出して追撃する。マドピューターはアノー号の装甲をこじ開け、発光体を内部に侵入させる。

 アノー号医務室では、マッケイの処置が出来ずカプセルに入れて隔離していた。そこに入り込んだ人型生命体がやってきた。高圧電流を持っているためうかつに近づけない。カプセルを壊され必死に逃げるマッケイは、ハシゴで上層階に逃げるが、登り切った彼を待っていたのは別の人型生命体だった。マッケイは驚いて落下し、動かなくなった。

 マッケイの生命反応がなくなったため、発光体がアノー号から離れていく。ようやくアノー号に近づくことが出来たゴーディアンは、ガービンになって白光剣でマドピューターを倒した。

 マッケイは即死だった。自分がセカンドコンタクトを主張しなければと悔やむダイゴ。しかし、突如マッケイの体が光ると、元気なマッケイが起き上がった。発光体が身代わりになり、マッケイの命を守ったのだろうとアダムⅢは言う。ダイゴは「ドクマ星人からもらった命でも変わりはない、命は純粋なものなんだ」とマッケイに呼びかけ、マッケイも応える。ドブロフはバリーに話しかけた。

「宇宙とは恐ろしいところだ。だが何か人間の知恵では計り知れない可能性を見たような気がする。そうは思わんかね、バリー君」

「ええ、私もそう思います。第二の地球は必ず見つかるはずです。そのためには、よりいっそう強い団結が必要です」

バリーは同意した。


解 説


 アダムⅢの声、テロップには出ていないが伊武雅之の兼役である。トロス・クルスとは全く違うキャラクターだ。

 今回も作画が悪く、ガービンの顔も微妙に違っているが、人型生命体のゆるキャラなのに不気味という不思議な印象には貢献している。

 今回はチェスターの服が53話の白衣にメガネ、ポールがメカコン隊服を初めて着ている。バックも青いパイロットスーツに着替えている。

 セカンドコンタクトで地球の位置を教えているが、放送当時ボイジャーのゴールデンレコードに地図が載っていたのに倣ったのかもしれない。

 今回アノー号の搭載機が初登場。前回では「円盤」と言っていたが、普通の戦闘艇である。

 人型生命体がマッケイを見つけるシーンでモブメンバーにアレン・ダレンを確認。無事で良かった。

 マッケイの顔は12話と27話で出てきたスパイに似ている。とすると、27話のサバドの攻撃では死ななかったということになる。シナリオでも録音台本でも亡くなっているのに誰も指摘しなかったのだろうか。演出の渡部英雄は27話後のスタッフなので責められない。もしテウスやカレンが生き残ってアノー号に乗っていたら彼に出番はなかったのかもしれない。

 デリンガーへのアンカーは背中に付いたはずなのにいつの間にか胸部に。

 エリアスの頭の兜があったりなかったり安定しない。

 今回のマドピューター、「スーパーロボットマテリアル」では「ムカデ型メカ」と表記。

 久しぶりにデリンガーが活躍。分離を生かした展開も久しぶり。

 今回人型生命体の高圧電流に撃たれた隊員が一番の被害者だろう。亡くなっていたらやりきれない。

 次回予告、テロップは「次元谷の怪物モンスター」だが、安原義人は「かいぶつ」と朗読。

 そういえば、宇宙に行ってからクリントの姿を見ていない。


今回の名言


 「宇宙では悲観的になってはいけないが、楽観的なのはなおいけない」(アダムⅢ)


 「アダムⅢ、こんな乗組員を抱えてしまったあなたに同情します」(バリー)

 「艦長、それはお互い様だ。ハッハッハッ」(アダムⅢ)


こぼれ話


 『アニメージュ』vol.32(1981年2月号)では「編集部の独断と偏見による……Life Style研究 キミはどの生き方を選ぶか…」という特集があり、様々なアニメキャラのタイプ分けが行われている。ダイゴは男性編タイプA「熱血型」。「メヤコン(メカコンの誤植)に、その生きがいを求めた彼は、そのなかで自分を熱く燃やす。」という解説が付いている。

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