1-66.66話「新たなる出発(しゅっぱつ)」
ついに第三部も終わりを迎え、長きにわたるサントーレの戦いに終止符が打たれる。
本編でもシナリオでも触れられてなかったが、48話の毒魔黙示録予言篇1の1、「その日より18の柱崩るる後さだめは終わり」がまさにこの回、66話である。
今回は手元にシナリオがあるが、本編に描かれなかった部分が大量にある。それでは見ていこう。
66話「新たなる出発(しゅっぱつ)」 1981年1月4日
脚本 :山本優
演出 :渡部英雄
作画監督 :松井栄
(『ジ・アニメ』81年1月号、『アニメージュ』81年3月号では杜福安)
あらすじ
ついに決戦の時は来た。襲い来るマドクターに対して、サントーレ軍も出撃し、ダイゴとバックも毒魔殿から戻ってきた。そして、花巻博士は京太郎の意識と引き替えにイクストロン砲を起動した。対話室のサオリは、イクストロン砲5発分が自分の命だと京太郎に聞かされ、涙を止めることが出来ない。そのサオリの眼前で、水槽が白く光った。1発目のイクストロン砲が発射されたのだ。
2門の砲塔から発射された赤いビームが一つに合わさり、毒魔殿に直進する。突如、毒魔殿が地響きを上げて揺れ出した。慌てて柱に捕まるエリアスたち。毒魔殿はそのままコマのように回転すると、イクストロン砲を避けた。2発目も回避に成功すると、エリアスもイクストロン砲をサントーレに発射する。コントロールルームの砲座で待機していたチョコマたち少年隊が迎撃するが、何発かは基地に命中した。
戦闘はなおも続く。ピーチィ、アニタは砲台で迎撃、バックは右の守りを固め、バリーは第二作戦へと移行した。
ダイゴは出撃前に対話室へ飛び込んだ。「オヤジの命は後何発だ」と尋ねるダイゴに、サオリは「3発」と答える。その時、またもイクストロン砲が発射された。今度は毒魔殿のイクストロン砲を破壊するが、毒魔殿にはまたも躱される。ついにサオリの緊張の糸が切れた。床に倒れたサオリを抱きかかえるダイゴ。京太郎は「今はサオリを案じているときではない」とダイゴを諭し、「後2発で私は毒魔と戦う。お前は、マドクターを一兵たりとも基地に入れるな。ゆけ!」と命ずる。ダイゴはクリントに後を任せると対話室を飛び出した。
ダイゴはゴーディアンを見上げると、「たのむぞ! おれとお前の最後の戦いになるかもしれん」と呼びかけ、出撃する。
サントーレでは白兵戦が始まっていた。ジェロニモやダルフたちは空挺ホバーで手榴弾を空から投げつけ、合流したゴーディアンもフットミサイルやシャインシェルドで戦艦を貫く。
アノー号の甲板でも市民たちが銃を持って戦っていた。ロゼやジェロニモ、レッド・ノーズの姿がある。だが、レッド・ノーズの側にホバーからの攻撃が命中し、レッド・ノーズは雪原に墜落する。呆然とするロゼとジェロニモ。しかし、攻撃はさらに続く。ジェロニモとロゼは「死ぬんじゃないぞ」「死ぬときはあんたと一緒さ」と互いに呼びかけながら戦う。
一方ゴーディアンは、二体の戦艦が変形した闘獣士に苦しめられていた。デューク・スクリューのビームも通用しない。分離した頭部の牙状の部分が延び、体を縛られてしまう。闘獣士は刀で身動きできないゴーディアンを斬ろうとするが、一体の攻撃は身を躱され、二体目の攻撃では本体は斬れずに鎖だけ斬れてしまう。自由になったゴーディアンは必殺白光剣で二体を斬り捨てる。
その直後、4・5発目のイクストロン砲が連射された。逃げ場のない毒魔殿に2発のイクストロン砲が命中し、毒魔殿は崩壊していく。と同時に、内部から毒魔大帝統本体のある円盤が飛び立った。円盤は炎に包まれるヴィクトールタウンを残して飛び去っていく。そして、エネルギーの尽きたイクストロン砲が崩れ落ちた。
地上でのマドクターとの長い戦いはひとまず終わった。サントーレの人々は、万感の思いで昇る朝日を見つめていた。
解 説
今回の作画監督、ギディオン動画制作であることを考えるとテロップの松井栄ではなくアニメ雑誌の杜福安が正解だと思う。
今回も制作が厳しかったようで、マドクター軍とサントーレ軍の戦闘シーンでかなり尺を稼いでいる。
シナリオ冒頭、緊張のあまり気を失うアンノンジーのシーンがあるが、本編ではカット。
冒頭のサオリと京太郎のシーン、後半のシーンのセルを使い回しているためダイゴがいる。同じようなミスが白兵戦シーンでも。今回も京太郎の声は北村弘一だと思われる。
エリアスに付き従う女戦士二人の名前が「テライ」「カルナ」であることがシナリオで分かるが、本編で名前は呼ばれず。
今回のナンマドックの声は増岡宏だと思われる。
シナリオではゴーディアンで出撃するダイゴまでがAパート。今回は人面岩の目から出撃するバンクは使われず、発進穴からの出撃だった。
ジェロニモは空挺ホバーで出撃したはずなのにいつのまにかアノー号の上に。
今回の闘獣士、シナリオでは前回顔見せしたスフィンクス顔の戦艦が変形するようになっていた。本編ではマドクターのドクロ顔に変わっているが、設定の変更があったのだろうか。「スーパーロボットマテリアル」では「トランスシステム型メカ」と表記。戦闘シーンの状況は多少違うが、闘獣士の剣で鎖が斬れてしまうのはシナリオ通り。この戦闘の指揮はシナリオではトウマドックが執っている。
本編では空挺ホバーに乗っているダルフだが、シナリオではバックがホバーに乗り、ダルフは毒魔殿の砲台を破壊するゲリラ攻撃の指揮を執っている。
サントーレ内部の白兵戦も本編でカットされたシーンが多い。基地に突入したナンマドックはポールたちの攻撃で死亡。そして迎撃するピーチィーの父ケーリーが撃ち殺され、ピーチィーが死体にすがりつくというシーンがある。
イクストロン砲、シナリオでは4発目で毒魔殿撃破、5発目はドクマ円盤を撃破しようとして果たせずヴィクトールタウンに命中という流れ。この時巻き添えでトウマドックが死亡している。
今回の名言 (シナリオのみ)
「おやじ! うつな~ッ! あと一発で! あと一発でおわりだぞ~ッ!」(ダイゴ)
2発一緒に発射されたため、本編では使われなかった台詞。ダイゴと京太郎の間には色々あったが、この台詞を見てしまうと切なさしか残らない。
「撃つな! あいつらはもう軍隊ではない……」(ダルフ)
ドクマ円盤を追いかけるマドクター兵たちを見て。この言い回しはバリーっぽいので、実際に使われたら「軍隊じゃない」くらいになったろうか。
「サントーレの人々に敵を倒したという実感はなかった。マドクターもまた避けられない運命のなかで死んでいった同じ人間の命であることが人々の胸をひたした」(ナレーション)
こぼれ話
本編での描写はなかったものの、どさくさで全員亡くなったマドック四将軍だが、最後までキャラが弱かった理由は幹部たちのように互いの関係性がなかったからだろう。それがもしかしたら山崎晴哉がヒドラーを再登場させたことに繋がってるのかもしれない。バルバダスの後任がヒドラーで下に四将軍だったらまた別の展開があったのだろうか。互いをもっとライバル視するシーンがあったら共同作戦とかで個性が見えたり、互いに功を焦ることで隙ができたりとかもっと面白い話が作れたのでははないかと思う。
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