1-59.59話「竜馬暗殺」

 今回はタイトル通り、オカモト竜馬の退場回である。その生きざまは最後まで人々に感銘を残し、サントーレ同盟成立の礎となる。

 今回はシナリオを参考に見ていこう。


59話「竜馬暗殺」 1980年11月16日


 脚本     :山本優

 演出     :伏見和

 作画監督   :丸井忠


あらすじ


 今や廃墟となったジョージタウン(47話参照)。オカモト竜馬はこの街のディスコ跡で待ち合わせをしていた。腹ごしらえに干物を焼いていると、チョコマがやってきた。トランジスタ・ビデオを持っている。竜馬はそれとビデオカセットを交換すると、サオリたちに渡すよう頼む。チョコマはサントーレに帰らないのかと竜馬に尋ねるが、竜馬はここでマドクターと密談するのだと話す。驚くチョコマに竜馬は「天が守ってるきに」と胸を叩いた。

 チョコマと入れ違いにやってきたのはマドクター兵の一団だった。先頭の三人は素顔を見せている。マドクター青年将校のガウス、テウス、メウスだ。リーダー格のガウスと竜馬が向かい合う。

 竜馬はチョコマが持ってたきた氷原での大虐殺シーンが収められたビデオを見せ、命を守るために手を握ろうと持ちかける。その時、上部で何かが動くのを察知した竜馬は窓を壊す。現れたのは野良猫で竜馬はほっと息をつく。

 しかし、野良猫とは別にマドクター兵のスパイ13号が聞き耳を立てていたのだ。早速暗号通信をヴィクトールタウンに送るが、その通信は近くまで来ていたアノー号でもキャッチされていた。アノー号はヴィクトールタウンの横を通ってサントーレに行かねばならず、どうすれば突破できるかバリーたちは悩んでいた。そこにサオリからの通信が入る。

 毒魔殿では、通信をキャッチした兵の報告を受けたサクシダーが、サントーレ同盟阻止の失敗の責を負い、自らジョージタウンに向かうとバラスに宣言する。毒魔大帝統はアノー号を奪い取るため、それぞれの作戦を速やかに行うよう命ずる。

 アノー号では、サオリからの通信に一同が驚いていた。ビデオテープには、ガウスと同盟を結び、照明弾を合図に内部からマドクターをかき乱してもらうという作戦を語る竜馬が映っていた。バリーは竜馬の指示どおり、明け方前に上がる照明弾を待って、アノー号の進撃を始めることにした。しかし、ダイゴは胸騒ぎを覚えていた。後押しするように、ピーチィーが謎の暗号通信を思い出す。ダイゴはクリントと共に、プロテッサーでジョージ・タウンへ向かった。

 ジョージタウンでは、竜馬とガウスたちの交渉が続いていた。竜馬は「陽はまた昇る」を合言葉にサントーレへ向かうようガウスたちと話を付ける。乾杯をしようと酒を探しに立ち上がったところに、銃撃音が響いた。スパイに先導されたサクシダーたちが襲撃してきたのだ。

 竜馬は地下室に続く蓋を上げると、ガウスたちを抜け道へ逃がそうとする。ためらうガウスに竜馬は、「おいはこの同盟が成功すれば本望じゃ。じゃが、おんしらにはこれからすぐにしてもらわねばならんことがあるきに」と急かす。意をくんだガウスは地下に消える。竜馬は蓋を閉めるとマドクター兵の足止めを続けるが、ついに力尽きて撃たれてしまう。

 ようやくジョージタウンにたどり着いたプロテッサーは、サクシダーたちの部隊を発見するが、逃げ足の速いサクシダーは取り逃がしてしまう。地下に入ると、虫の息の竜馬が横たわっていた。プロテッサーのまま抱き上げるダイゴに竜馬は、「でっかい龍が、天に昇っていくのが見える」と言い、「合言葉『陽はまた昇る』と言ってサントーレに来るマドクターは迎えてやってくれ」と言い残して事切れた。

 アノー号で待っていたバリーたちは照明弾が上がるのを見る。ガウスたちの合図だ。作戦はまんまと成功し、バラスたちの目の前でアノー号はマドクターラインを突破していった。そこに、竜馬の遺骸を抱えたプロテッサーが飛び乗った。竜馬の遺骸を下ろすと、ダイゴは戦闘の続く空を見つめた。


解 説


 今回で竜馬が退場。皆に惜しまれる死だった。そして、ダイゴたちは竜馬やマルテの残した課題と向き合っていくことになる。

 演出の伏見和と作画監督の丸井忠はゴーディアンにはこの回のみの参加。ネットで調べてみても参加作品の情報がほとんどない。ただ丸井忠は原画として他の回に参加している。重要回ということでいつものローテとは別に依頼したのだろうか。ジェロニモ16世の服がチョッキだけに戻っているのもそのせいかもしれない。

 シナリオではジョージタウンは自家発電が生きている設定になっているので明かりがあるが、本編では無視されている。

 今回はシナリオにマドクターラインの状況図が付いている。ジョージタウンはサントーレ西側の崖地帯の向こうにあることが分かる。

 竜馬の台詞、シナリオでは「おんしら」となっているところが「おまんら」に本編では直されている。これはどの時点で直したのか気になる。

 ガウスの声優は黒部鉄だろうか。

 前回の亀裂からアノー号をどうやって引き上げたのかは語られていない。

 今回はバーの密談シーンでは水滴音、夜間のシーンで虫の鳴き声がする。ゴーディアンではあまり見られない音の使い方だ。

 今回のマドクター前線はトウマドック(32話準拠)が指揮を執っている。サントーレ隊の突破部隊もいつものホバークラフトではなくホバーカーなのが本気を伺わせる。

 今回はシナリオが「60話につづく」となっており、実質前後編である。次回予告からも気合の入りようが窺える。


「俺は竜馬に何て言ったらいいんだ。あいつが生命を賭けて助けてくれたマドクターラインの突破寸前、いま一歩のところで敵に渡ってしまった。しかも、竜馬を信じてやってきたマドクターの一部の人間は、サントーレの市民たちの憎しみを買った。今は、今はそんなことをしてる場合じゃねぇ! 次回、闘士ゴーディアン『暁の誓い』また会おうな」(ダイゴ)


今回の名言


「(ジョージタウンも)生命を粗末にするアホばかりが集まる街になってしまったぜよ」(竜馬)シナリオのみ


「おいが天から授かった命はこれまでじゃ」(竜馬)


こぼれ話


 ちなみに坂本龍馬の命日は11月15日。偶然とはいえ放送日とは一日違いだ。

 安原義人は同時期に収録していた『宇宙大帝ゴッドシグマ』11月19日放送回では演じるジュリィの妹を亡くしており、親友と妹を失うという激動の一週間だった。


 『アニメージュ』vol.30(80年12月号)の放送予定欄では、山本優が73話まで放送が延長したことを報告し、「われわれスタッフもますますガンバラネバ!!」と結んでいる。

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