第3部 プロジェクトX

1-52.52話「太陽のすかし」

 いよいよ第二のビッグカタストロフが猛威を振るい始め、これまで名前のみ語られ続けてきた「太陽のすかし」がついに姿を現す。そして大滝京太郎博士が執念を持って取り組み続けてきた「プロジェクトX」が完成に向けて動き出す。

 というわけで、ここから第三部の開始である。それでは見ていこう。


52話「太陽のすかし」 1980年9月28日


 脚本     :山本優

 演出     :石田昌平

(『アニメージュ』1980年10月号では未定、12月号では石田正平。『ジ・アニメ』80年10月号では石川信夫)

 作画監督  :松井栄

(『アニメージュ』80年10月号では村中博美)


あらすじ


 活動を再開したウカペの影響で太陽風が活発化し、温暖化した地球は発生した雲で覆われた。その雲が太陽光を遮り、一転して地球は冷え始めた。このままでは地球に氷河期が到来する。ウカペの内部ではさらにイクストロンが活性化していた。

 ロゼはマドクターに追われて飛び込んだ洞窟で、謎の青年に出会う。彼を敵だと思い込みナイフで襲いかかったロゼは手刀でナイフを落とされ、捕まってしまう。そこに銃を持ったダイゴが割って入った。青年の顔を見たダイゴは驚く。以前ヘルロックで出会ったジェロニモ16世だったのだ。

 ジェロニモ一行はサントーレの方向に向かっていた。ジェロニモはダイゴに、インディアンの神話として伝わる「太陽のすかし」について説明する。「マウンティホーンの遺跡の暦によると、まもなく人類の絶滅の危機が来る。大地滅びる時太陽のすかしが美しき命を導く」というのだ。ジェロニモの言葉をダイゴは信じられない。その時、サントーレの頂に朝日がかかり、今まで見たこともない輝きが現れた。

 毒魔殿では毒魔大帝統が「太陽のすかし今我が前に現れ出でん」と興奮し、幹部たちに早速謎を解くよう命ずる。エリアスは毒魔殿からサントーレにかかる「太陽のすかし」を見つめ、サイマドック(32話準拠)に「サントーレの先を越すのだ。私に良い考えがある」と告げるのだった。

 ダイゴたちは呆然と「太陽のすかし」を見つめていた。太陽の輝きがプリズム状の空間を作り、一条の光が赤い輝きを持って延びていく。「神話にある『光ある命の母』に違いない」とジェロニモは感嘆する。さらにプリズムの頂点から光が延び、別の岩山を指し示す。ジェロニモたちはこの光の導きに沿って旅を続けてきたのだ。

 ジェロニモは対話室の京太郎と面会し、「光ある命の母」がイクストロンであることを知る。京太郎はヴィクトールタウンの地底にイクストロンを植え付けた時、奇妙な遺物のかけらを見た。京太郎はジェロニモに「共に太陽のすかしの謎を解き、イクストロンを人類のために生かすのだ」と呼びかけ、ジェロニモも同意する。

 バリーの調査で、「太陽のすかし」が指し示したのはオロンケ密林だと分かった。ジェロニモたちは調査のため早速出発するという。そこにレッド・ノーズが飛び込んできた。話を聞きつけて旅に同行したいというのだ。思わぬ再会を喜ぶジェロニモ。ところがロゼも同行したいと言い出した。驚くダイゴ。どうやらロゼはジェロニモに一目惚れしたらしいが、ジェロニモは「女を一緒に連れて行くわけにはいかん」と却下する。そこに竜馬が飛び込んできた。マドクターがオロンケに向かったというのだ。

 既に辺りは夜になっていた。ゴーディアンでオロンケに到着したダイゴだが、謎の磁力に引き込まれ、底なし沼に落ちてしまう。

 ジェロニモ一行は愛馬でオロンケに到着した。ロゼがホバーで尾行している。一行は滝の上部にある謎の遺跡を光が照らすのを見た。遺跡の中央に石碑が祀られている。その時、突如銃声が響いた。「そこを動くな」とエリアスの声。サイマドックたちマドクターが待ち伏せていたのだ。上から見守っていたロゼは皆を救うため、ターザンよろしく飛び込み、サーチライトを破壊する。射線が外れたことでジェロニモたちも危機を脱した。

 しかし、マドクターはチョッパーアーム型メカ(『スーパーロボットマテリアル』表記による仮名)を発進させる。ロゼはメカのビームから自分をかばうジェロニモにますます惚れてしまう。だが危機一髪の状況には変わりない。その時、ジャングルから泥まみれのゴーディアンが姿を現した。ようやく底なし沼から脱出したのだ。サイマドックはメカに遺跡奪取を優先させる。ゴーディアンは石碑を奪おうとするメカのマジックハンドを白光剣を投げつけ切断。滝壺にたたき込んだメカを逆立ちからの「必殺・水中白光剣」で倒す。水中から現れたゴーディアンは、見守るエリアスとサイマドックにメカの残骸を投げつけるが、逃げられてしまう。

 ジェロニモはダイゴに石碑をサントーレに運び込み解析するよう指示する。新たな「太陽のすかし」を待って旅立つというジェロニモだが、涙を流すロゼを見て同行を許可した。喜ぶレッド・ノーズたちをダイゴも笑顔で見守った。


解 説


 というわけで、18話の顔見せ以来のジェロニモ16世再登場である。

 ロゼとレッド・ノーズはこの話からジェロニモに同行してサントーレから離れる。

 今回の演出「石田昌平」は48話からローテに入っている。他作品では「石田昌久」「石田正平」という表記もされている。「太陽のすかし」現象をアニメーションとして表現するのは大変だったろう。残念ながら1990年末に逝去されたとのこと。

 冒頭の解説シーン、雨の色が黒一直線なのが気になる。ツイッターで聞いた『ゴーディアン』制作時のエピソードで、「雨のシーンで撮影ミスが判明したが時間がなかったのでフィルムに直接針で描き込んだ」というのがあるのだが、もしかしたらこの話なのだろうか。

 毒魔大帝統も「太陽のすかし」大盤振る舞いの回。今回のサイマドックも増岡弘と思われる。

 ジェロニモの台詞に出てくる「マウンティホーンの遺跡」というのは、おそらくダイゴが修行した雪山のことだろう。

 レッド・ノーズはジェロニモのおじという設定があったが、今回は語られていない。戦闘能力の高さもようやく初披露。

 アメリカ西部に何故ジャングルがあるのかはよく分からない。一話のオアシスの大規模版だろうか。

 旅に出ていた竜馬が戻っていたのは何故か説明はない。今回は全体的に脚本が説明不足。

 水中白光剣に文句はないのだが、前の戦闘で投げつけたはずの白光剣をどこで回収したのだろう。それとも再生成したのだろうか。

 ジェロニモ一行、ラスト近くのシーンで突然男の子が増えているが、『スーパーロボットマテリアル』に掲載された設定画には最初からいるキャラクター。


今回の名言


 「おいおい、お嬢さんかと思ったらじゃじゃ馬娘か」(ジェロニモ)


 「男は女の言うことを聞いてやるもんだぜ。離してやんな」(ダイゴ)


こぼれ話


 『ジ・アニメ』vol.11(1980年10月号)の放送予定欄では、この回のあらすじで「ダイゴ」を『宇宙大帝ゴッドシグマ』の主人公「闘志也」と書き間違えるというミスを犯している。


 なお、1980年10月11日から『宇宙戦艦ヤマトIII』が始まり、ゴーディアン出演者のスケジュールにも影響を与えていく。これまで太田健二郎役でシリーズ皆勤だった安原義人だが、アフレコのスケジュールが被り『闘士ゴーディアン』を優先したため、太田役は鈴置洋孝が演じることになる。

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