1-47.47話「サントーレ包囲作戦を砕け」

 今回はサントーレ周辺のタウンを巡るマドクターとの駆け引きがメインだが、山崎晴哉らしくシビアな話である。また、第2のビッグカタストロフの予兆も徐々に影響を及ぼしている。それでは見ていこう。


47話「サントーレ包囲作戦を砕け」 1980年8月24日


 脚本     :山崎晴哉

 演出     :紀裕行

(『アニメージュ』1980年9月号では渡部秀雄)

 作画監督   :杜福安


あらすじ


 『ウカペが、その軌道の先端に移るにしたがって、なぜか地球上のあちこちにかつてない干ばつが訪れた。大地はひび割れ、川や湖の水も涸れ、ついには、飲み水を巡って戦うタウンも出現した。そして人々は、その干ばつを次に訪れるビッグカタストロフの前兆ではないかと恐れだしたのである』(伊武雅之)

 幸いサントーレには水が豊富にあるが、この状況を利用してマドクターが暗躍する可能性が充分にある。竜馬は同盟を結ぶため、知己のスタータウンのクーパー市長に会いに行くことを提案した。クーパー市長はジョージタウンのジョージ市長の義兄弟であることも理由の一つだ。ダイゴはジョージの妹でクーパーの妻、リリアンの資料映像にデレ、ピーチィーににらまれながらも話に乗る。

 スタータウンに向かう途中でダイゴは銃声を聞き、竜馬を放り出して駆けつける。そこでは避難民がならず者たちに襲われていた。ダイゴはならず者に立ち向かっていた男に加勢し、ザップガンで応戦する。無事ならず者たちを退治すると、二人は固く握手した。ダイゴは竜馬が迎えに来たため別れるが、謎の男はダイゴのことが気に入った様子だ。

 むろんマドクター側も手をこまねいてはいなかった。エリアスをスタータウンに潜入させた上で、マドクターを市民に変装させて動揺をあおる作戦だ。

 クーパー市長はダイゴたちの話を聞き、ジョージ市長への親書をリリアンに持たせる。だが、リリアンは先回りしたマドクターに襲われ、親書を奪われてしまう。

 市長室で待っていたダイゴたちの所に、サントーレがマドクターに襲われているとの知らせが入る。そこにはマドクターだけではなく、他のタウンの軍隊も混じっていた。むやみに攻撃できずいらだつアンノンジーたち。

 ダイゴたちとクーパー市長はサントーレに向かっていたが、途中の砂漠で待ち伏せに遭う。ダイゴたちは伏せて助かるが、クーパーが撃たれてしまった。「クーパー市長!」と駆け寄るダイゴの声を聞き、襲撃部隊に攻撃中止命令を出した男がいた。ダイゴはその男がならず者たちに立ち向かっていた男だと気づく。彼がジョージ市長だったのだ。

 ジョージは親書を持ってきたエリアスからスタータウンがマドクターと同盟を結んだと聞き、プロジェクトXの秘密を掴んだマドクターと同盟すれば市民を守ると言われ、ここを通るサントーレ軍を待ち伏せしろと命じられたのだ。そこに生き残ったリリアンが姿を現した。リリアンの説明でジョージはマドクターに騙されたと気づいたが時既に遅く、クーパーは絶命した。泣き崩れるリリアン。

 いつしか夜は明けていた。サントーレ包囲軍はナンマドックを指揮官に攻撃を続けている。そこにクーパーの遺体を抱えたジョージと、リリアンが現れた。ジョージは攻撃を止めるよう呼びかけるが、マドクター兵に撃たれてしまう。他のタウンの軍隊はマドクターの嘘にようやく気づき、後退する。ダイゴは怒りを込めてゴーディアンで迎えうつが、ナンマドックは闘獣士サタンナイトを出撃させた。ゴーディアンはサタンナイトの三つ叉やりを得物にして頭を粉砕するが、サタンナイトは頭を失っても腰の剣で襲いかかってくる。ゴーディアンは剣を受け止めて巴投げすると、必殺白光剣で止めを刺した。

 戦いは終わったが、一度に夫と兄を失ったリリアンの悲しみに、ダイゴはどう声をかけてよいか分からなかった。


解 説


 40話以降メカロニウエスタンのイメージが薄まるゴーディアンだが、今回は前半のならず者との銃撃戦等、以前の雰囲気が漂う絵が多い。

 ダイゴと竜馬はホバークラフト二人乗りで向かうが、元々一人乗りなので無理がありすぎる。普通にホバーカーで行くという選択肢はなかったのか。

 前回と今回で、竜馬は赤フンと白フンを持っていることが判明。

 この世界にまだ幌馬車があるのにびっくり。さすがに馬ではなくホバーで引いているようだ。

 避難民たちは「ハイヒールタウン」(聞き取り)から来たという。初出のタウンだ。

 毒魔大帝統が久々に「太陽のすかし」と発する。

 クーパー市長が撃たれるシーン、直前のシーンでジョージ市長になっている痛恨のミスが。

 今回のナンマドックの声はたてかべ和也だと思われる。クーパーの声は伊武雅之、ジョージの声は黒部鉄(屋良有作)、リリアンの声は高島雅羅だろうか。

 サタンナイトは骸骨ベースの闘獣士で、あばら骨の下にブースターのような穴が開き、脚部はなく腰の部分が鞍状になり、ネズミのような尻尾でバランスを取っているという、非常に凝ったデザイン。設定画は『スタジオぬえのデザインノート』(『アニメージュ』1981年11月号付録)に掲載されている。

 今回はサーチライトや夕日のシーンなど、光をメインにした効果が多い。特にクーパーが死ぬシーン、気合の入り具合がすごい。空を飛ぶ一筋の流れ星が消えることで死を暗示しているのも趣深い。必殺白光剣の十文字切りの光が十字架にインサートするという演出も良かった。墓の前のリリアンを見つめるダイゴを見守るようにゴーディアンの横顔が見えるラストカットもいい。

 今回の作画は「村中博美 ギディオン動画」と日韓併記。


こぼれ話


 『アニメージュ』vol.30(1980年12月号)では声優サイン入りシナリオを各アニメ5冊プレゼントする企画があり、『闘士ゴーディアン』からはロゼ役の吉田理保子が47話にサインしたものが写っている。他の4冊がどの回だったのかは不明。ちなみに安原義人はモルテン役で出ていた『ニルスのふしぎな旅』にサインしている。


 『ジ・アニメ』vol.10(1980年9月号)では連載記事「PICE-UP アニメーション3 ロボット パート2 機械(メカ)への長い道」(文・亜室 黎)にて、『闘士ゴーディアン』に触れている。

『旧来の巨大ロボットもののスタイルを守っていながら、ドラマを柔軟にくり広げることで、どんどん話が広がるという、「ガンダム」とはまた別の"巨大ロボットのいる世界"のオモシロサを見せてくれる。少くとも、アムロたちがリアリティとひきかえに背負わされた孤独はここにはない。』


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