1-26.26話「決戦・ビクトールタウン」

 ヴィクトールタウンの攻防もいよいよ大詰め。これまでの話で登場したゲストキャラの再登場も今回の見せ場になっている。

 それではシナリオを参考に見ていこう。


26話「決戦・ビクトールタウン」 1980年3月30日


 脚本     :山本優

 演出     :小鹿英吉

 『アニメージュ』vol.22(80年4月号)では古川順康

作画監督   :杜福安


あらすじ


 ヴィクトールタウンは北部の3ブロックとヴィクトール・ハウスを残すのみとなっていた。アンノンジーの所へ伝令に行ったダイゴは、レッド・ノーズが長官室で骨を焼いているのを見る。空挺部隊の援護が欲しいというダイゴに、敵の狙い撃ちに逢うため出せず、近くのタウンに救援を要請したから待つようにと言うアンノンジー。その時レッド・ノーズが「今日、炎の魔王、南から来る」と予言した。もちろんダイゴたちはあきれるばかり。そこにサントーレからの呼び出しがビーコンに入った。

 一方、毒魔殿ではエリアスの制作した闘獣士ムシャロン4体が完成し、黙示録79Pのダム落とし作戦を決行するよう、毒魔大帝統の命が下った。サクシダー・エリエス・バラスの三隊がタウン北部へ住民たちを追い詰め、メカコン本部北側に集まったところを一気に叩く作戦だ。アンノンジー頼みの綱の救援隊もマドクターによって全滅し、メカコンはいよいよ進退窮まった。

 ゴーディアンとして出撃したダイゴは、タウンの外で様子をうかがっていた。京太郎は敵の主力を見極めるよう指示するが、4体のムシャロン相手ではゴーディアンが分離しても手に余る。その間にもマドクターは着々と進軍していく。援護に来た第2連隊や第15連隊の仲間たちが命に代えて脱出口を開く時間を稼ぎ、爆発工作のプロ、ブラスター・バックが道を切り開く。だが、恋人のキャシーの安否が気になっていたダルフだけは別方向に飛び出した。幸いキャシーは農場でダルフを待っており、救出に成功する。

 メカコン本部では覚悟の出撃をしようとするアンノンジーの前にロゼとチョコマがやってきた。二人は生き残った人々をサントーレに避難させるよう伝えに来たのだが、サントーレの存在を知らない皆はいぶかしむ。ゴーディアンの基地だとチョコマが説明してようやく信用するが、臨時病室にいるけが人を置いて逃げるわけにはいかないとためらうアンノンジー。

 ずっと偵察していたダイゴは、分散していたマドクターたちがメカコン本部に向かって動き出すのを見て、決戦場は本部だと悟る。ゴーディアンは本部めがけて飛び立った。

 ゴーディアンが到着したことで、アンノンジーは撤退を決意する。空挺部隊と第18連隊はゴーディアンと共にマドクターをくい止め、市民たちは第3連隊と第5連隊にガードされて脱出する。その中にはドブロフとアンナ、知事夫人メリーと娘ジュリー、元青シャツ隊のアニタなど、これまで見知った顔もある。

 メカコンを従えたゴーディアン、4体のムシャロンを押し立てるマドクター部隊。二つのにらみ合いは五分間も続いていた。ついにマドクターの進撃が始まる。ダイゴは一発で4体を仕留めるため、チャンスを伺っていた。

『ゴーディアン、お前はこのピンチを切りぬけることが出来るのか!』(伊武雅之)


解 説


 タイトル、シナリオでは「決戦・Vタウン」。登場人物欄がこれまでのゲストキャラオンパレードで、『レッドノース(#10初出)〔正しくはレッド・ノーズ〕』と1Pに渡って記されている特別仕様。

 今回から伊武雅之(伊武雅刀)のナレーションが入る。

 アレン・ダレン、やっとフルネームで呼んでもらえる。

 レッド・ノーズの台詞「宇宙マリョク不思議」はシナリオでは「宇宙マカ(摩訶)不思議」。読み間違えたのかアフレコ台本のミスかは不明。また、10話ではレッド・ノーズが「オンウィ(月)の精霊」と言う台詞、今回はシナリオでは「オンヌィ」本編では「オンタイ」とややこしいことになっている。

 黙示録シーン、サクシダーがなにやら玉を取り出して3D的に図解しているのだが、これがどういう物なのかはシナリオにも書かれていない。黙示録の力ということでいいのだろうか。シナリオによるとこのシーン、サクシダーが両掌で玉を包み込み、ダムの放出口のように開かれた指先から物体がはじけ出て、それをバラスがたたき割るというものだった。本編はこの説明を理解できなかったようだ。

 今回の父の声は北村弘一。ガービンの耳も超合金準拠で描かれている。

 ラストのゲストキャラ顔見せ、シナリオでは「銃を取るジョー」と書かれているシーンが、本編ではただのメカコン隊員になっている。登場人物欄には(#23)とあるのでアメラグ少年のジョーが出るはずなのだが、銃がまずかっただろうか。担架に横たわっているのもシナリオではポール(#23)なのだが、絵ではよく分からない。もしかしたらポールとジョーを取り違えたのかもしれない。

 今回は決戦回ということで、苦渋の決断を迫られるアンノンジー、友の死に我を忘れて飛び出そうとするバリー、キャシーを救うためあえてメカコンから離脱するダルフ等、レギュラーの今までにない表情が見られる。その中でもマイペースなレッド・ノーズは一服の清涼剤。

 マドクター側も、エリアスが単独で前線の指揮を執るのは初。総力戦であることが伝わってくる。マドクターの旗も初登場だが、毒魔殿の髑髏飾りがモチーフになっている。このモチーフはこの後も闘獣士やマドクターのメカデザインとして使われていく。河森正治は「スタジオぬえのデザインノート」(アニメージュ81年11月号付録)で「30話以降あたりからは物語のムードもつかめ、以降のデザインは比較的順調に進んだようだ」とコメントしている。

 次回予告は例によって使い回し。ゴーディアン製作陣はこのピンチを切り抜けることができるのか。


こぼれ話


 この回が朝10:00枠での最終回になる。延長分の枠が次作の『スーキャット』で埋まっていたため日曜朝7:30に移動したのだ。『アニメージュ』vol.23(80年5月号)では東京12ch広報部のコメントとして、「日曜の朝7時から昼までは、子どもの時間だと思っています。だからその範囲内での放映時間の変更は、とくに大きな理由はありません」と説明している。

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