馬の耳に念仏、唱える者は苦悩を抱く
村一つの壊滅。
妖刀一本の仕業にしては、あまりにも大き過ぎる被害。
村人約八〇名が全員妖に変えられ、斬らざるを得ない状況だった。でなければ、周囲の村々を襲い、より多くの人が犠牲になっていただろう。
だからといって、彼らを殺していいという意味ではないが――
「どうしたぁ! もう、ぎゃふんと言う奴は、いねぇぇのかぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「自分で全部討ち取っておいて数えてないのか、あの馬鹿は」
「佐天様……少し、よろしいでしょうか」
神妙な面持ちの部下に連れられて来たのは、半壊した村の倉庫だった。
越冬するために蓄えていたのだろう食糧が散らばって足の踏み場を奪っている中、奥へと進んでそれを見つける。
「なんだ、これは……」
「隠れ
子供が作ったのかと思うくらいに小さく、がさつに作られた祭壇らしきものの上に一冊、日記と思わしき書物が一つ。
みすぼらしいそれは、一見すると確かに部下が言った通り、隠れ
日記か、異国から書いた聖書の写しだと思っていたが。
「帳簿か。ここ数週間のこの村の収益に関する記載のようだが」
「金額をご覧ください。百人にも満たない、農業を生業とする者達の小さな村です。ですが、ここに記されている金額は余りにも……」
「なるほど」
国の関所の管理を担う官僚の給金と同じだけの大金が動いている。
米俵を売るにしても、この村の規模では年に一回あるかないかほどの大金が、ここ数か月の間続いている記述がされていた。
それもそれだけの大金の流れが、まるで隠されているかのようにこんな倉庫の奥のみすぼらしい祭壇の上にあったとなると。
「調べてみる必要があるか」
「妖倒隊に調査させますか」
「いや、待て。奴らも今は幕府の警官だ。事態を公にしないためにも、確証が得られるまで俺達で調査しよう。すぐに本部へこの案件を持って行く。これも持っていけ」
「わかりました!」
後日、これが妖刀使いを束ねる巨大組織へと繋がる手掛かりへと繋がり、佐天らはとある旅館に宿泊という名目で待機していた。
旅館は三階建てで、二階より上を宿泊用の部屋、一階を居酒屋にしていたのだが、例の帳簿にあった取引相手らしき人物が居酒屋部分に出入りしているという情報を聞きつけ、その調査に出向いたのであった。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――」
ぐでんぐでんに酔っていびきをかいて寝る驚天の鼻を摘まむ。暫くしてから離すといびきが止まり、そのまま大口を開けて眠り続けた。
「まったく、寝ているときもうるさいなこの馬鹿は……」
「酒樽一つ開けるなんて、落語の中だけの話だと思ってましたよ」
「まったくです。驚天先輩には毎度驚かされてばかりですね」
「……おど、ろき」
彼らはここ最近、共に仕事をするようになった後輩だ。
驚天も一まとめに佐天組などと呼ばれているが、実際に彼らがついてきているのは佐天でなく驚天の方であることを、佐天自身が一番わかっていた。
「俺は下戸なもんで、驚天さんの飲みっぷり見てたらもう自分が酔いそうでした」
ひつじという名前から「夜眠れないときに数えると出るぞ」などと弄られることが多いが、冗談も通じて人当たりのいい好青年である。
「そう言いつつ蔵臼先輩はお肉ばっかりで、自分は見てるだけで胃もたれしそうでしたがね」
元侠客の男と言うと身構えられるが、そもそも侠客とは悪人を差した意味ではない。彼もまた本来の意味通り、自ら髪を赤く染めたりして異風を楽しむ
「飲み、過ぎ……食べ、過ぎ……どちらに、して、も……目に、毒……」
妖刀絡みの事件にて人柱にされそうになっていたところを救い出されたが、自ら団内に身を置いている稀有な少女だ。事件で受けた精神的苦痛のせいか、言葉の途中でどもってしまう。
以上、一人だけでも充分に強い個性の持ち主三名。彼らが佐天龍之介という凡人について来ていないことは、考えるまでもなく明らかだった。
一人は単純に、天才の強さに憧れた。
一人は自分以上の傾奇者として、面白いと惹かれた。
一人は自信が持てない自分と正反対の、自信に満ち満ちた姿に羨望を抱いた。
強い個性の持ち主はより強い個性に惹かれる。「類は友を呼ぶ」とはまさにこのこと。自分はただ、そのより強い個性の持ち主を常識という手綱で操れるというだけ。
(いけないな……最近すぐこんな後ろ向きな考え方を……)
「佐天さん、お疲れですか?」
「あ、あぁ、そうだな。少し疲れているのかもしれない」
「今晩の見張りは俺と冷水でやりますから、佐天さんはどうぞ休んでくださいよ。なぁ?」
「うん。先輩、どうか後輩の我儘と思って甘えてください」
「わ、わた、私、も……」
「十六夜は昨日見張りだったからな、今日は休め。いざというとき、驚天先輩の次に機動力のあるおまえが追跡の頼りだ」
「そうそう、十六夜ちゃんはゆっくり休んで。ね?」
「う、うん……わ、わか、わかった……」
佐天組など名ばかりだ。
彼らはまだ若輩者だが、もう自分で考えて動くことができる。
上から一々命令を下さずとも自ら考えて提案し、意見を言い合って決めることができる。
彼らに限っては驚天のような暴走をすることもないので、握らなければいけない手綱もない。
本当に自分はただ彼らを付き従えている風に見えているだけの、形だけの隊長だ。飾りにしたってみすぼらしくて、一般人には見えているのかさえ怪しいくらいに小さく思えて仕方ない。
「ほら、佐天さんまた上の空になってますよ。どうぞお休みになってください」
「……そうだな。なら、頼れる後輩に今夜は任せるとしよう」
本当は、眠りたくなどなかった。
こういった感情に苛まれながら瞼を閉じるとすぐに夢の中に引きずり込まれ、あの日の光景を見せられる。
友が、天才が、己の兄を返り討ちにした光景を。そのとき抱いた卑劣極まりない感情を。
目を覚ますと決まって自分は汗だくで、休まぬまま登山し続けたかのように肺が苦しくて息は絶え絶え。そして必ず、誰かが心配そうに見下ろしている。
そしてこのときは珍しく、馬鹿が付くくらいに酒を飲んでいた驚天が見下ろしていた。
「ど、っ、ど、ぅす……すっ……」
どうした、と言いたいのだろう。
そもそも驚天が馬鹿でかい声で喋るのは、自身が難聴で聞き取れないからだ。
相手の言葉は読唇術で読み取れるが、自分の声となると小さくしてしまうと聞き取れず、自分でなんと発音しているのかわからないため、小声で話そうとするとどうしても詰まってしまう。
見ると、十六夜は寝息を立て、冷水が入口付近の壁にもたれかかって仮眠を取っていた。今は蔵臼が見張りをしているのだろう。
驚天は驚天なりに、同胞を気遣っているらしい。確かに馬鹿だが、人に迷惑をかけることをよしとする人間でないことは、佐天がよく知っていた。
でなければ、兄を返り討ちにしたあの日、彼は茫然自失で立ち尽くしてなどいなかった。
「なんでもない。が、心配をかけたな。最近、夢見が悪いんだ……」
「ぬぅぁっ、ぬぅぃか……ふぅわぁ、ん。ぬぁ、くぉ、と……」
「不安だらけさ。どんだけ頑張っても、気張っても――不安しかないよ」
それだけ言って、佐天は背を向け目を閉じる。だがなぜか、今度は悪夢に
不安だ。
そう、最近になって何もかもに不安になる。何もかもに不満がある。
何故あの光景を今更思い出し、何度も夢に見るのか。
あのとき湧き上がった感情が、浮かび上がった表情が、第三者の目から見せつけられる度にやめろと叫んで、起き上がると息を乱して脂汗を掻いている。
あのときの光景に、あのとき抱いた感情に、今更何を感じろというのか。
一体、自分に何をしろというのだろうか。
「佐天さん……!」
蔵臼が戻ってきた。
声は潜めていたが、慌ただしい雰囲気で十六夜も冷水も目を覚まして刀を握る。
「来ました」
「状況は」
「女将さんの言っていた通り、酒も飲まずにずっといた男を連れて店を出て行ったそうで。特徴は黒髪に赤い
「肌寒い夜だというのによくやるな……わかった。蔵臼、冷水と共に対象を追え。俺と十六夜で西から、驚天は東から街を回って挟み撃ちを狙う。蔵臼、冷水、気付かれた場合には西の方角に誘い込め」
「わかりました。いくぞ、冷水!」
「あぁ」
蔵臼と冷水の二人が飛び出していったのを見届けて、佐天も羽織を着る。
十六夜と共に店を出て、二階から飛び降りてくるだろうなと思って入り口で待っていると案の定、驚天が妖刀含めた四刀を持ってすぐ側に飛び降りてきた。
「驚天、わかっているな。今回の目的は捕縛だ。絶対に、斬るなよ」
「わかってらぁぁぁぁぁぁぁ!!! 俺に任せておけぇぇ、きょうだぁぁぁぁぁぁぁいっっ!!!」
「真夜中に大声を出すな、馬鹿! もういい、さっさと行け!」
「おぉぉぉっ! ぎゃふんと言わせてやるぜぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!」
酒を浴びるほど飲んでいたのに酒焼けしている様子もなく、まぁいつも通り馬鹿でかい大声が街に響き渡る。
まぁ、だからこそ驚天を一人で反対側に行かせたのだが。
驚天のことだ。探し回っている間も馬鹿騒ぎするに決まっている。標的もそれを聞けば、自分が追われていること、探し回られていることに気付くだろう。
ならば当然、奴を避けて反対側の西に来るはず。そこを追い打ちをかけるようにして蔵臼と冷水で迫れば、あとは挟み込むだけだ。
ただこの作戦、あとで街中に謝り回らないといけなくなるのが難点なのだが――まぁそこは、この国の未来のためと思って我慢しよう。
「俺達も行くぞ、十六夜」
「は、い……」
この街の構図は街に入ったときに手に入れた案内図と、昼間の調査にて概ね把握している。
南北には川が流れていて、それを渡るための橋の上に弁慶の如く憲兵が仁王立ちしている。殺されるようなことがない限り、不審な輩をみすみす通しはしないだろう。
ならば侵入するにしろ逃げるにしろ、道は東西の二つに限られる。
そして調べた結果、東よりも西の方が逃げ道として使えそうな道が多く、廃屋や寺など、夜になれば人も寄り付かなくなる場所も多い。
できることなら取引現場を抑え込み、取引相手諸共一網打尽にしたいところなのだが――
「どこだぁぁぁぁぁぁぁっ!!! よぉぉとぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
あれだけ馬鹿が大声で叫んでいれば、取引も交渉も行われることはなかろう。
もちろん、驚天を自分と共に黙らせたままついて来させることも考えたが、後輩の少女を一人で行かせるわけにもいかないし、蔵臼と冷水の同期故の連携の良さをわざわざ崩すのも惜しかったため、致し方なかった。
それに欲を出せば、ことを仕損じる可能性が跳ね上がる。
蔵臼が見た女の口がどれだけ固いか知らないが、上手くやって顧客情報を得られれば一網打尽にすることもできると割り切り、妥協するしかない。
「どぉぉこぉぉぉだぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
にしても街の反対側にいて聞こえてくるなんて、どんだけ大声で叫んでいるのだ。
近所の住人が跳ね起き、うるせぇと文句を言っている図がこれ以上ないくらいに鮮明に浮かんでくる。何せ、もう過去に何度も経験しているからだ。
「す、ご、ごい、です、ね……」
「確かにあいつは天才だが、あんなところは見習わないでいいからな、十六夜」
「は、はい……で、で、も……見習い、た、た、い、とこ、ろろ、も、たく、さん、ある……の、で……」
見習いたい部分。
十六夜の言う部分が自分には見当たらないのは、驚天童子が鞍馬九頭一の時から知っているからこその気位のせいなのか。
身内の評価がまともにできないのと同じで、ずっと幼い頃から知っている仲だからまともに評価できないのか。
驚天から、学べるところなど――
「佐天さん!」
蔵臼が屋根上から叫ぶ。
戦闘があったようで抜き身の刀を握り、女を追うとき着ていた羽織を脱いでいた。
「現状報告!」
「女が我々に気付き、二人の妖刀使いと合流し逃走! うち一人は毒を使います! 斬られた俺の片腕が麻痺して……神経毒だと思われます!」
「わかった! 今、冷水が追ってるんだな!」
「はい! この先の道を左折して大通りに出て直進! その後三つ目の角を右折して直進してください!」
「わかった! おまえは解毒に専念しろ! 状況判断は自己責任だ、いいな!」
「はい!」
冷水が何かしら目印を用意していて、それを蔵臼が屋根上から確認して敵の逃走経路を記憶していたようだ。
できる後輩だ。驚天もこれくらい気の利いたことができる奴だったらいいのだが。
ないものねだりをしても仕方ない。
肩で風を切り、草履をすり減らして走る。時折何事だと驚く人々の側を横切って、千里疾走の駿馬の如く駆け抜ける。
次第に街の人の騒ぎ声、剣戟の中ぶつかる鉄の音が聞こえ、野次馬らが見え始めた。
「冷水!」
野次馬を掻き分け、飛び込んだ先で冷水は一対三の不利な戦いを強いられていた。
一人が毒を使うらしいとのことだったが、冷水はわざと左腕を袖から抜き、羽織の中に畳み込んで吊るすようにしていた。羽織から、血が染み出ている。
「あぁ。あ、あぁ、また、また、増え、た」
でかい。
体は細いが、とにかく背が高い。一見、七尺に迫りそうなほどの長身だ。
それでいて異様に体が細いので、夜に見ると気味が悪く見える。
何より顔に巻いている鉄臭い手拭いの奥で見開いている目玉が大きくて、睨まれているだけで呪われている気分だ。
「二人共気を付けてください! こいつの刀に斬られると、四肢の動きを鈍らされる!」
「あぁ、あぁ、そんな、そんな酷いや。よ、寄ってたかって僕を殺そうとして、弱い者虐めしちゃ、いけないんだぞ。みんな、みんな僕のことを、ば、化け物、化け物ってってて、僕だって、僕だって、ひ、ひぃ……一人の人間なんだぞおぉぉぉぉぉぉっ?!」
大声と涎を撒き散らしながら迫ってきた。
長身に見合う長い腕で、無茶苦茶に刀を振り回してくる。剣術も何もあったものじゃない。
「まったく――」
(なんで俺はこうも、馬鹿みたいに大声を出す奴にばかり会う!)
だがあれは天才。こっちはただの馬鹿。相手にするには満足なし。
何せこちらは義経流。相手の懐に入り込み、斬り込むことを主体とした剣術。巨躯で大振りの相手など絶好の獲物。
何より、剣筋を何度見てもこれは素人だ。踏み込みも斬り込みも甘い。素人同然どころではなく、本当に今の今まで剣など握ったことのない者の動きだ。
と、普段天才を相手にしていると敵に対しても低評価になってしまうからいけない。
「“
男が踏み込んだ足の丁度つま先に来るよう、先に突く。
踏み込もうとした先に刀の刃があって咄嗟に足を引いた男は重心が崩れ、体勢が不安定になる。
刀を翻し、引いたばかりの男の草履の裏を
「あぁぁぁぁぁっっ!!! 痛いっ! 痛いっ! 痛いよぉっ!」
大声で男は泣き喚く。
刀を持ったこともなければ斬られたこともないだろう。腕を斬り落とされれば当然、体を掠められた程度でも、悲鳴を上げていたに違いない。
にしても。
「うるさい! 大の男が泣き喚くな、みっともない!」
佐天は斬り落とした男の腕から刀を取って、腕が斬られた方の男の肩を刺す。すると男は痛くないことに気付いて驚き、泣き止んだ。赤ん坊のような泣き止み方だった。
特別なことはしてないが、妙なことはした。男の持つ妖刀の特性が神経毒なら、痛みだって掻き消えるだろうと思ったまでの話だ。
『私を痛み止めに使うなど、何と不敬な――』
『ダマレ』
「おまえもな」
自分に恐れ、震える男の腰から鞘を引き抜いて妖刀を収める。
これら一挙手一投足を背を向けながらやっていたが、残る二人に襲い掛かってくる気配はない。残る二人は、これのような見掛け倒しではないようだ。
「貴方様、お名前を伺っても?」
女の方が問うてきた。
黒髪に簪、耳飾り。肩を出す形で崩して着ている着物。蔵臼の言っていた女だ。
持っているのは鉄扇か。帯刀している様子はないが、着物の中に脇差くらいは隠しているかもしれない。用心はするべきだろう。
「戦場で名を尋ねたければ、まず己の名を明かすのが礼儀だ女。伊達や酔狂でここにいるのなら、その鉄扇を置いてさっさと後ろの男に託せ。邪魔だ」
「まぁ、勇ましい人。けれど、身の程を弁えてはいないご様子」
「なんだと?」
「鞍馬九頭一――かの天才を御しているつもりで、振り回されているだけの御仁が、武人などと片腹痛い。伊達や酔狂で戦場に出ている女よりもずっと、滑稽でございます」
らしくなかった。
いや、危機感を感じたのかもしれない。
驚天の、奴の本名が女の口から出たこと。彼を御しているつもりで振り回されていると、自分でも感じていた心根の深い部分を言い当てられたこと。
何より、滑稽と言い捨てられたこと。
何もかもが、普段冷静で通している佐天を踏み込ませるには充分過ぎるほどに有効で、これ以上ない挑発文句であったが故に、罠であることを理解しながらも、佐天は跳び込むしかなかった。
そして、そんな上の空な踏み込みだから止められる。
女にではない。その女の後ろに控えて、ずっと戦いの行方を笠の下で見ていた男に。
「女、今の発言を撤回しろ」
と佐天が言うよりまえに男が言い出す。
双方の刀が刃軋りを立てる中、笠の下にある男の顔は見えなかったが、声音には充分な余裕が聞き取れた。
「この男は強い。腕っぷしは少し上手い程度だが、心、信念に関しては大したものだ。それだけその刀に蝕まれておきながら未だ自分の力で戦おうとする心は、俺達にはなかったものなのだから」
互いに相手の剣で弾かれて、後方に跳ぶ。男の被っていた笠が落ちて、佐天は見た。
「まったく大した精神力だ。妖刀に呑まれてしまえば、悩みも何もなくなってしまうものを」
男の目には、何もなかった。
盲目という話ではない。光は映しているし、こちらの姿も捉えている。
男の目には悦も期待も満足もなかった。男の目には、苦悩も煩悩も絶望もなかった。
その相貌を見た瞬間、佐天の握る刀が囁いた。
『コッケイダナ』
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