薔薇と骸

作者 みなべ ゆうり

気高さも、醜さも合わせて背負って、それでも人は生きていく。

  • ★★★ Excellent!!!

とても良かった…。

長い物語を読み終えた直後の、素直な感想がそれでした。

文章が読みやすくかつ濃厚で良かった。
登場人物たちがしっかりと地に足をつけながら魅力的に描かれていて良かった。
物語がどんどん膨らみ、かつ伏線もがっつり回収していく様に心を踊らされ良かった。
「キリが良さそうだし、ここらで一旦読むの休憩しようかな…」と思いかけた矢先にまた「ええっ!?」という展開が現れ、時間を忘れさせてぐいぐい読ませてくれるのが良かった。
とにかくメインの二人が良すぎて、良すぎて…うん、良かったんだ……(感嘆)

とにかくたくさんの「良かった」で溢れている本作ですが。
具体的にどういう話かを紹介しますと、
『わけあって男の子として生きているお姫様が、呪われたイケメン騎士と共に、本来の自分を取り戻していく物語』です。

長年、城の中に閉じ込められて生活していた彼女が旅することになった世界は、どことなく不穏な空気を漂わせつつ、濃い世界観をもって描かれていきます。
神族の末裔のみが扱える祈術、異形で奇怪な魔物たち、そして死体を被る妖精たち。
読み進めていく中で、背筋がぞわぞわとした感覚に襲われることもしばしば。さすがのダークファンタジー。

ただ、それだけで終わらせないからこその本作で、魅力的な登場人物たちのやり取りは時にくすっとさせられるし、人物同士の関係性にはニヤニヤさせられたり、唸らされたり……なにより主人公たるエメーリエちゃんとイケメン騎士(呪われてる)ルシアンとのやり取りは、回を重ねるごとに床をダンダンと叩きたくなること必至です。

しかし健気で優しいエメーリエが、自分の足で歩き、たどり着いた世界の姿と、己の真実は残酷で――。

その残酷さの中で、それでも前を向こうとする彼女の姿と答えに、胸をつかまれます。
彼女を支える登場人物たちと共に、ぜひ彼女の旅を見守ってあげてください。
そして、この物語のたくさんの「良さ」にひたってください。

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