薔薇と骸

作者 みなべ ゆうり

歌うのは祈り

  • ★★★ Excellent!!!

樹海に閉ざされた王国ヴィラシア。物心ついた頃から王子として男装を強制された王女エメーリエは、十七歳の誕生日を来月に控えたある日、外の世界に放り出されてしまいます。

絶対絶命のピンチに、エメーリエの祈りに応えてくれたのは、妖精に呪われた騎士でした。
彼の手を取った時、世界の運命を巻き込むエメーリエの物語の幕が上がります。

無駄の無い洗練された文章で描かれる人物描写が素晴らしく、読み進めていくうちに自然とそれぞれの性格がわかってきます。
愛も憎も生々しく登場人物達が生き生きとしています。ファンタジーだからと外見や口調などに頼らず、内面を描くことで個性を出す作者さんの確かな腕前を感じました。

また、作中に登場するエメーリエの“祈術”がとても詩的で美しいです。まるで神父が聖書の一節を読み上げるような神々しさがあり、想像力を刺激されます。

箱庭の中の平和に漂う不穏な影、理想的でありながらどこか歪んでいる家族、国や人の思惑に翻弄されながらも健気に頑張るエメーリエの秘密。助けてくれた騎士もなんだかあやしい……?
そんな濃厚で少しダークなファンタジーがお好きな方に、是非オススメしたい物語です。

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