薔薇と骸

作者 みなべ ゆうり

58

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★★★ Excellent!!!

良い。とても良い。

これに尽きる物語です。何のネタバレも前情報もなしに読んでいただきたい、重厚で心打たれるダークファンタジーがここにあります。


訳あって男装している姫君、エメーリエ。彼女の優しさと誠実な心が物語の重いテーマを暴きながら乗り越えていく姿。

彼女を支え真実へ導くこととなる、呪われた騎士ルシアン。彼の掴み所が無いようでいて、柔らかく包む温かさ。

このふたりがいい!もう、いい!



脇を固めるロイ殿下の輝く個性。妖精たちに隠された信実。ひと癖もふた癖もありそうなお兄様がた。

魅力的なキャラクターと、色鮮やかにイメージできる世界を旅して、この世界の一員になった気分でどっぷりと堪能しました。

物語の核が重いので、書こうと思えばどこまでもずっしり重く書けるであろう物語を、キャラクターたちの軽快な会話が重苦しさを中和してくれます。各話の引きも見事で、やめられない止まらない。導かれるように読みきれます。

どっぷり浸れるファンタジー。時間を忘れてご堪能ください。

★★★ Excellent!!!

とても良かった…。

長い物語を読み終えた直後の、素直な感想がそれでした。

文章が読みやすくかつ濃厚で良かった。
登場人物たちがしっかりと地に足をつけながら魅力的に描かれていて良かった。
物語がどんどん膨らみ、かつ伏線もがっつり回収していく様に心を踊らされ良かった。
「キリが良さそうだし、ここらで一旦読むの休憩しようかな…」と思いかけた矢先にまた「ええっ!?」という展開が現れ、時間を忘れさせてぐいぐい読ませてくれるのが良かった。
とにかくメインの二人が良すぎて、良すぎて…うん、良かったんだ……(感嘆)

とにかくたくさんの「良かった」で溢れている本作ですが。
具体的にどういう話かを紹介しますと、
『わけあって男の子として生きているお姫様が、呪われたイケメン騎士と共に、本来の自分を取り戻していく物語』です。

長年、城の中に閉じ込められて生活していた彼女が旅することになった世界は、どことなく不穏な空気を漂わせつつ、濃い世界観をもって描かれていきます。
神族の末裔のみが扱える祈術、異形で奇怪な魔物たち、そして死体を被る妖精たち。
読み進めていく中で、背筋がぞわぞわとした感覚に襲われることもしばしば。さすがのダークファンタジー。

ただ、それだけで終わらせないからこその本作で、魅力的な登場人物たちのやり取りは時にくすっとさせられるし、人物同士の関係性にはニヤニヤさせられたり、唸らされたり……なにより主人公たるエメーリエちゃんとイケメン騎士(呪われてる)ルシアンとのやり取りは、回を重ねるごとに床をダンダンと叩きたくなること必至です。

しかし健気で優しいエメーリエが、自分の足で歩き、たどり着いた世界の姿と、己の真実は残酷で――。

その残酷さの中で、それでも前を向こうとする彼女の姿と答えに、胸をつかまれます。
彼女を支える登場人物たちと共に、ぜひ彼女の旅を見守ってあげてください… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

男装の姫エメーリエは、自身の秘密を知らぬまま十七回目の誕生日を迎える。そんな折、城を抜け出した彼女が出会ったのはルシアンと名乗る一人の青年だった。
狂った妖精、ルシアンにかけられた呪い、そして自身の出生にまつわる秘密――全てが暴かれた時、エメーリエは何を想い、何を選択するのか?

今、全力で推したい恋愛ファンタジーです。
ルシアンとエメーリエの恋の行方もさることながら、その背景でうごめく陰謀が程よくストーリーに影を落としているのです。さりとて、話が暗すぎることもなく、時にはくすっと笑いながらサクサク読めてしまう。この技量の高さ、脱帽です。

そもそも、タイトルからしてお洒落なのですよ、この作品!
『薔薇と骸』って、単純な漢字二つなのに、受ける印象が艶やかでどこか退廃的。勿論、この雰囲気はそのまま作品内で堪能できるのですから、もうこれは読まないわけにはいかない。

加えて、終盤の伏線回収も完璧で、「次はどうなるんだろう…?」とこちらをワクワクさせてくれる。次の話を読むのが本当に楽しみな作品というのは、こういうことを言うのだなぁと、毎回勉強になる思いで読ませて頂いております。

物語もいよいよ佳境。
作り込まれた恋愛ファンタジーお好きな方は、是非お読みください!絶対に後悔はしませんよ!

★★★ Excellent!!!


神族の血筋をその身に宿す王族が統治する国、ヴィラシア。存在を隠匿され、王子として過ごすことを強いられた王女、エメーリエは何者かに城外に連れ出され、樹海に迷い込んでしまう。

一人、樹海を彷徨うエメーリエが妖精に呪われた青年、ルシアンに助けられた事により、物語の歯車が動き出す。

自身と国に隠された謎。

神族、魔物、妖精、──そして、薔薇姫とは


秘匿された王女と呪われた青年が辿り着く結末は如何に。

ぜひ、その目で見届けてください。

★★★ Excellent!!!

樹海に閉ざされた王国ヴィラシア。物心ついた頃から王子として男装を強制された王女エメーリエは、十七歳の誕生日を来月に控えたある日、外の世界に放り出されてしまいます。

絶対絶命のピンチに、エメーリエの祈りに応えてくれたのは、妖精に呪われた騎士でした。
彼の手を取った時、世界の運命を巻き込むエメーリエの物語の幕が上がります。

無駄の無い洗練された文章で描かれる人物描写が素晴らしく、読み進めていくうちに自然とそれぞれの性格がわかってきます。
愛も憎も生々しく登場人物達が生き生きとしています。ファンタジーだからと外見や口調などに頼らず、内面を描くことで個性を出す作者さんの確かな腕前を感じました。

また、作中に登場するエメーリエの“祈術”がとても詩的で美しいです。まるで神父が聖書の一節を読み上げるような神々しさがあり、想像力を刺激されます。

箱庭の中の平和に漂う不穏な影、理想的でありながらどこか歪んでいる家族、国や人の思惑に翻弄されながらも健気に頑張るエメーリエの秘密。助けてくれた騎士もなんだかあやしい……?
そんな濃厚で少しダークなファンタジーがお好きな方に、是非オススメしたい物語です。