おやすみなさい



「サトル……。明日は、晴れるかな?」




「きっと晴れるよ」




「晴れたら、どこに行く?」




「ナツの行きたいとこ、どこでもいいよ」




「どこでも?」




「うん」




「海でもいい?」




「いいよ」




「泳いでもいい?」




「泳ぐのは、ダメだよ」




「どうしてダメなの?」




「その体が、錆びてしまうからだよ」




「錆びる? 私は、人間じゃないの?」




「うん。人間ではないよ」




「私は、何?」




「君は、僕が作ったアンドロイドだよ」




「どうして、サトルは私を作ったの?」




「…………」




「どうして、私を作ったの?」




「誰かを愛するって気持ち……。もう一度だけ、思い出したかったから」





「思い出した?」




「思い出したよ……」




「どうして泣いてるの?」




「さぁ……。どうしてかな」




「サトルが泣いていると私も悲しい。だから、泣かないで」




「悲しい?」




「うん。悲しい」




「…………」




「どうしたの?」




「なんでもないよ。……少し疲れたから、休むよ」




「分かった」




「寝るまで僕の手を握っててくれない?」




「うん。これで良い?」




「ありがとう」




「サトルの手……。温かい」




「ナツの手も温かいよ」




「おやすみなさい」




「おやすみ」

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