転生【アンドロイド⑤】

赤い飛行船に映し出されるニュースの映像。聞きたくないのに、耳に無断で侵入してくる。




今日も雨が、降っていた。僕は、雨に打たれながら、それでも飛行船を見上げていた。




「はぁ……最悪」




地球はあと3日で無くなるらしい。




爆発するのかな?




だったら、一瞬で死ねるから恐くない。




あと3日………。短い人生だったけど、やり残したことはない。と言うより、やりたいことを最後まで見つけることが出来なかった。






僕って、何だったんだろ。






家に帰ると相棒のロボットが、何かを作っていた。




「それは、何?」




「タイムマシン。過去や未来に行くんだ」




「ふ~ん。よくそんなモノが、作れるね。君は、やっぱり凄いな」




「サトル君は、過去と未来。どっちに行きたい?」




「……未来は、残酷で暗いから。過去に行きたいな」




「過去に行って、何をするの?」




「母さんに会って……。話がしたい」




「分かった。完成したら、サトル君を過去に連れていってあげるね」




「ありがとう」






でも本当はーーーー






過去に行くより、君との『今』を大事にしたい。だからさ、だから……。






「トランプやらない? タイムマシン作りは、また後でさ」




「うん。分かった。……やっぱり、サトル君はサトル君だね。だから私は、君が大好きなんだよ」




「!?」



一瞬、このロボットが髪の長い女の子に見えた。




幻覚?



幻聴?



………疲れてるのかな。




「どうしたの?」



「なんでもない」




小さなテーブルの上で、僕とロボットは、トランプをして遊んだ。時間を忘れて。




…………………。



……………。



…………。






「君さぁ、悲しいぐらいゲーム弱いね。タイムマシン作れるくらい頭が良いのに。なんでかな~。これじゃあ、勝負にならないよ」




「次! 次! 次! じゃあ、次、もし私が勝ったらーー」






あれ?




あの時、君は何て言ったんだっけ。




どうしても思い出せない。




大事なことだったはずなのに。






3日は、あっという間に過ぎた。今日は、記念すべき地球最後の日。世界中で今、暴動や戦争が起きている。僕のような下の住人が、何とか助かろうと上を目指して登り始めた。




今さら、ジタバタしても仕方ないのに……。




僕だって、死ぬのは恐いよ?



でも今は、一人じゃないから大丈夫。






「サトル君。何かしたいことある?」




「君と一緒に旅をしたい」




「うん。分かった。じゃあ、一緒に行こう」





ガタガタガタガタ。




地球の悲しい叫びが聞こえる。『悲しい』と感じたのは、これが初めて。




僕は相棒のロボットと手を繋いで、外に出た。雨が止み、久しぶりに太陽を見ることが出来た。焦げ臭い風が、僕の前をピューピュー通り過ぎていく。




それでも気分は良かった。




「恐い?」




「恐くない。さぁ、行こう! 」




友達と手を繋いで歩き出す。






『母さん。僕ね、大事な友達ができたんだよ 』




『そう、良かったわね。今度、ママにも紹介してね 』




僕は、旅を続けながら金と知識を蓄え、そして遂にーーーーー





彼女を創った。

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