お邪魔虫

私は、冷凍コチコチ固めた三人の死体(サトル、アンナ、ナツ様)の前で紅茶を飲みながら、暇をもて余していた。



「はぁ~。なかなか上手くいかないなぁ」



あの異世界での『獣化』。想像以上にタチが悪い。



完治するのは、無理?



でも、ゾンビになるよりはマシだよなぁ。




私は、異世界の時間をもう少し進めーーーー。


さらに、それぞれのキャラ『設定』を変えてみる。





ナツ様。




今も異世界で旅を続けている彼女。安らかなその白い顔に癒されつつ、私は息を吐く為に外に出た。





「こんな所があったんですね、先生」



邪魔者が、夜の闇から姿を現した。



「はぁ………。今は、先生でも何でもないよ。元教え子ちゃん。いったい何しに来たの?」



「そんなの決まっているじゃないですか。王様に命令されたんですよ。ナツ様を連れ戻せってね」



「跡取り息子が亡くなって、急に今まで放置プレイしていた不倫相手の子を求めるなんて……。相変わらず、傲慢な王ね。ナツ様は、王のオモチャにはさせない。絶対に思い通りにはさせない。だから、さぁ……早く帰りなさい」



「……………」



そうは言ったけど、相手は一歩もその場を動こうとしない。この男の口が、小さく動いている。


小石が、集まり。あっという間に巨石兵ゴーレムになった。その岩で出来た太い腕が、私の動きを封じる。



「どうですか? 魔法学院を首席で卒業した僕の実力は」



「まぁまぁ……かな」



「じゃあ、これならどうです?」



地面から、無数の赤い蟻がわき出てきた。それらが、私を取り囲む。



「先生……。お願いです。ナツ様を渡して下さい」



「嫌」



「アナタを殺したくないんです」



「ふ~ん」



「じゃあ、仕方ないですね。アナタのこと、好きだったのに………。本当、残念です」



「私は、嫌いだけどね。そもそもアナタは、魔法使いとしては一流だけど、男としては青過ぎるのよ」



「僕の情けです。せめて、最後に何か言うことありますか?」



ゴーレムが、大きく口を開き、私を丸飲みにしようとしている。



「今、指が全く動かせないから、あれなんだけど。この辺に生えてる雑草さぁ、キレイじゃない? 紫の花が小さくて」



「……………」



「ちなみに、この雑草ね。私のオリジナルなの」



「……オリジナル?」



「うん。もしね、私達の邪魔をするバカ者が現れたら、毒を撒き散らすように仕込んであるの」



「!?」



「もう遅いよ。一度吸い込んだら、助からない。アナタは、もうすぐ自分が誰であるかも忘れる。そして、ただ私の命令を聞く奴隷に成り下がる」




「こんっ、の…糞!!!!」




………………………。


………………。


…………。




「そろそろ家に帰りなさい。あっ! もし、アナタに仲間がいたら皆殺しにして。この場所を知っている者もね。そして、最後に自分の心臓を握り潰して死になさい」




「はい………。先生……さようなら」





「さようなら~。今度は、地獄で会いましょうね~」


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