毛脩之2 蜀土動乱    

安帝あんてい江陵こうりょうにて再び皇帝の座につく。

その功から驍騎將軍に。


その後毛脩之もうしゅうしは長江を下り、建康けんこうに帰還。

劉裕りゅうゆうは毛脩之を相談役に迎え、

また寧朔さくねい將軍とした。

その十日後には右衞將軍に。


何せ毛脩之と言えば

桓玄かんげんを殺した立役者であり、

しかも父親、伯父が共に

しょくの有力者である。


毛脩之を引き立てれば、

蜀の力の援助も期待できる。

そう考え、毛脩之を優遇していた。


のだが、ここで事件。

蜀の地元民、譙縱しょうじゅうが、

伯父の毛瑾もうきんを殺した。


この反逆者は、

何とでも討ち果たさねばならない。

劉裕、毛脩之を龍驤將軍とし、

急ぎで譙縱討伐に向かわせた。


この時の軍容は、

皇族の司馬榮期しばえいきを総大将に据え、

毛脩之のほか文處茂ぶんしょも時延祖じえんそらが

将軍として参加していた。


晋軍は蜀入りすると、

いわゆる内水、宕渠とうきょ水を北に進む。

そしたらなんと、ここで事件です。

総大将の司馬榮期、

部下の楊承祖ようしょうそに殺されてしまいました。

何だそのぐだぐだ。


楊承祖、鎮軍將軍、巴州刺史を自称。

これでは譙縱どころではない。

毛脩之は白帝はくてい城にまで引き返し、

いったん軍容を整えた。


楊承祖がそこに攻撃を仕掛けてくる。

が、毛脩之は防衛しきった。


撤収していく楊承祖に対し、

毛脩之は部下の嚴綱げんこうらに

兵力の再編成を命じた。

ここに馮遷ふうせん

桓玄を切ったあの人が合流。


こうして兵力を充実させた毛脩之軍、

楊承祖に逆襲し、討ち取った。


この時、文處茂が

前線の郡に待機していた。

そこで毛脩之は張季仁ちょうきじんの兵五百を派遣。

文處茂らと合流させた。


併せて江陵にいた劉道規りゅうどうきから、

原導之げんどうし率いる千の兵力が派遣される。

ここで亡き司馬榮期に代わり、

毛脩之が総大将を引き継いだ。


原導之と張季仁を合流させ、

共に成都せいとに向け進軍させた。




晉安帝反正於江陵、除驍騎將軍。下至京師、高祖以為鎮軍諮議參軍、加寧朔將軍。旬月、遷右衞將軍。既有斬玄之謀、又伯、父並在蜀土、高祖欲引為外助、故頻加榮爵。及父瑾為譙縱所殺、高祖表為龍驤將軍、配給兵力、遣令奔赴。又遣益州刺史司馬榮期及文處茂、時延祖等西討。脩之至宕渠、榮期為參軍楊承祖所殺、承祖自稱鎮軍將軍、巴州刺史。脩之退還白帝、承祖自下攻之、不拔。脩之使參軍嚴綱等收合兵眾、漢嘉太守馮遷率兵來會、討承祖斬之。時文處茂猶在巴郡、脩之遣振武將軍張季仁五百兵係處茂等。荊州刺史道規又遣奮武將軍原導之領千人、受脩之節度。脩之遣原導之與季仁俱進。


晉の安帝の江陵にて反正せるに、驍騎將軍に除せらる。下りて京師に至り、高祖は以て鎮軍諮議參軍と為し、寧朔將軍を加う。旬月にして右衞將軍に遷る。既に玄を斬らんとせるの謀有り、又た伯、父の並びに蜀土に在りたるに、高祖は引きて外の助と為さんと欲し、故に頻しば榮爵を加う。父の瑾の譙縱に殺さる所と為るに及び、高祖は表し龍驤將軍と為し、兵力を配給し、遣わせ奔赴せしめんとす。又た益州刺史の司馬榮期、及び文處茂、時延祖らを遣わせ西に討たしむ。脩之の宕渠に至れるに、榮期は參軍の楊承祖に殺さる所と為り、承祖は鎮軍將軍、巴州刺史を自稱す。脩之は退きて白帝に還じ、承祖は自ら下りて之を攻めど、拔けず。脩之は參軍の嚴綱らをして兵眾を收合せしめ、漢嘉太守の馮遷の兵を率い來て會せば、承祖を討ちて之を斬る。時に文處茂は猶お巴郡に在り、脩之は振武將軍の張季仁を遣わせ五百兵にて處茂らに係らしむ。荊州刺史の道規は又た奮武將軍の原導之に千人を領し遣わせ、脩之は節度を受く。脩之は原導之と季仁を遣りて俱に進ましむ。


(宋書48-14_寵礼)



初めて読んだ時笑っちゃうくらい初耳祭で頭フリーズしましたよね。どういうことなん……?



司馬榮期

司馬懿しばいの弟の子孫。ちなみにこの人の息子が司馬楚之しばそしで、のちに北魏ほくぎの大将軍になった。とは言えこの人自身はここで登場してここで殺されてるので正直どんなひとなのかよくわからない。


文處茂、時延祖

征蜀周りで結構名前が出てくる将軍たち。けど具体的な動きはどうしても見えづらい。


宕渠

益州の東の端。めっちゃ端。正直長江づてで成都に向かうんだったらどう考えても通過する必要もない場所だと思うのだが、うーん。

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