再会と儀式の間
第96話
それから先は忙しすぎて記憶にすら残っていなかった
クロードが言うには、ひどい有様だったという
「…ようこそ。よくここまで来られましたね。」
出迎えてくれたのは死んだはずのアナスタシアである
「…えっ?アナ…?どうして」
「ここは貴女の記憶の世界。現実で私が死んでも記憶には残っている。」
「アナ…」
「大変よく頑張りましたね。姉でありながら貴女を守ってあげられなくてごめんなさい」
「私は…ちゃんと…アナスタシアになれていましたか?」
「えぇ…立派になりました」
「お前がアナスタシア…なのか?ティナにどうしてアナスタシアになれって言ったんだ?」
「そういうあなたはユノ王子ですね。お久しぶりです。その答えは、今の彼女を見ていたのならわかるでしょう?」
「”強力な後ろ盾を失ったティナが心の支えになるものが必要だった”か?」
「そうです。本当であれば私なしで生きていられるのならあんなことは言いませんでした…ですが…後を追いそうな彼女を見ていると言わずには居られなかったのです。申し訳ございません」
「…アナが悪いわけじゃないよ…」
「もう…泣き虫なところは治っていないのですね…。仕方がないですね。そうそう光の巫女と影の巫女は元々血の繋がった姉妹だったのです」
「じゃ俺たちも実は繋がっている?」
「えぇ、薄いとはいえ、血の繋がりはあるのです。ですが我々の額には元々角があります、それは何故か?それは影の巫女が光の巫女を龍の攻撃を庇いその身に呪いを受けたからなのです」
「そんなことがあったのですね」
「俺たちは鬼とか人間とかどうでもいい儀式のためにここに来たそれはお前もわかっているな」
「えぇ、それを承知の上で聞きますが…貴方はちゃんとティナを愛してあげられますか?」
「あぁ!俺はティナが好きだ。これから先何を敵に回しても守ると誓う」
「そこまで言うとは…もう私が言う事は何もありません…この先の石碑に神器を納め祈りなさい」
「行くぞ、ティナ」
「…はいっ」
「元気でね…私の可愛いティナ」
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