婚約式と継承者

第79話

 「よく寝たなーーっておわっ!?」



目が覚めるとアナがくすぐったそうに眠っていた



そこまでは良い。問題は自ら手を回していたということだ



昨日の記憶が一切ない。


「あら…起きたのですねおはようございます…」



「あ、あぁおはよう…ってそうじゃない」


「ふぇ?」



まだ寝ぼけているのだろうか…最初に会った時には寝ぼけた表情を見せなかった



あの馬車の中では熟睡できないほど警戒していたのだ

これが本当に夢じゃないのかアナのほっぺをつねってみる


「いひゃいでふ」



「あ、夢じゃないのか」


「そういうのは自分のほっぺでやってください」

アナは少し涙目になってこちらを睨む


「あの昨日の事覚えてないか?記憶になくて」




「そうですねーお姫様抱っこしてベッドまで運んで傷の手当までしたはいいですけど」


「けど?」


「秘密です」

アナはにやっと笑ってこちらの反応を楽しんでいる


「教えろ!!」


思わずアナを押し倒してしまった


そこまでやるとアナは真面目な顔になりようやく話してくれた


「そのまま気を失ってしまいました。神に等しい光の巫女の力を使った代償です。体がつらいかもしれませんが今日を乗り切ればきっと大丈夫」



「そっか俺は何もしてないんだな」


「はい。なので早く上からどいてください。重いです」



「おっと悪い」


慌ててアナの上からどくとアナは少しせき込んでいた


「大丈夫か?」

「…大丈夫です。そろそろメイドが呼びに来るのではないですか?」




「あ、あぁ今日が婚約式の日だったもんな」

俺はアナの部屋を出た









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