アナスタシアとレオンの約束

第77話

「さてと、一つだけ聞かせろ。この事件を仕向けたのが俺の部下だと知っていたな?」


談話室のソファに向かい合って座って先に口を開いたのはレオンだった

「さぁ…。その時は意識ありませんでしたし。」



「あれだけの未来予測能力がありながら、未然に防ぐこともできたはずだ。」



「そうですね。」



「だったら何故」


「…私と貴方が対立したままというのも、よくはないかと思っただけよ」



「そもそもの原因を作ったのはお前が俺に婚約者としてティナを守れと言っておきながらティナを死なせその約束を破ったからだ!!」



「えっ」



アナがそんなことを言ったのか?


この反応はまずかった、驚くのを隠せずにいたことで私はさらに問い詰められる


「約束を取り付けた本人が何を驚いている?お前は誰だ?少なくともアナスタシアじゃないだろう!!」



「わ、たしは」

もう薬を使ったとしても隠す自信はなかった


目を閉じ覚悟を決めた

「…貴方の言っていた約束が本当のことだとしたらアナスタシアは約束を破ってない」

「どういうことだ?」


「…私が…ティナ=テンペスタだからよ」



「う、嘘だろ…だって…」



「私は、貴方とアナがそのような約束をしていたとは存じていませんでした。故に養子に出されレオンとなっていたことも知らなかったことです。」



「じゃあ、本当のアナスタシアはどこに?」



「ここにいないということが答えでしょうアナは私を守って死にました。」





「…何で、生きていながらアナスタシアを名乗っていた?」



「それは貴方がよくご存じでしょう。あのまま女王になっていてもティナを支持する仲間はいない。だからアナのような恐怖政治を強いることでしかあの国は保てなかった。それだけよ」



「じゃあこれから先ティナを名乗ることは」



「未来永劫ない。ティナはあの事件で死んだのよ。貴方もティナとの婚約を解消します。…約束を守れなくてごめんなさい」



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