婚約の目的と儀式のリスク

第57話

「アナ、今ちょっといいか?」

ユノはイアンを連れて部屋に入ってきた


「今日は来客が多いですね」


「俺達以外に誰か来たのか?」


「えぇ、レイス王子に、レオンがきましたよ」




「兄上にレオンだと?何もなかったか?」




「レイス王子は単純すぎて予想するのもやめて追い返しましたよ。レオンについてはこちらから呼んだので予定通りの仕事を頼みました」

「仕事?」


「えぇ。今回の件の首謀者を、見つけるようにと。」



「なるほどな」

「さてと。3日後の事について打ち合わせしましょう。少し待っていてください」



そういうと彼女は指笛を吹いたが音が鳴らない


「今クロードを呼びました。貴方も来なさいザク」



「お呼びでしょうか?」




数分もたたずにクロードと、ザクはほぼ同じくらいに来た



「なぁお前、もしかしなくても離れの屋敷の時」



「あの時は貴方がたの悪意のなさに驚き自分の心鬼を疑ってしまったので報告せずにいたことを謝罪いたします。」




「それで我々を招集されたということは例の件のことでしょうか」



「えぇ、クロードにはその辺の説明を任せます。ザクは、これから起きることを動揺せずに受け止めてください」



「ではまず氷の国ノースの現状についてですが。吹雪が例年よりも活発になっていて儀式が早急に必要かと思われます」


「儀式?」



「えぇ、我々鬼族の始祖である影の巫女と貴方がたの始祖である光の巫女が行っていたとされる儀式です」



「その、吹雪の原因は分かっているのか?」



「龍の目覚めが近いからよ」


ぽつりとこぼした彼女は少しうつむいた

「え?」


「今までは、生贄で何とか凌いでいたのだけれど、今は亡きアナスタシアによってそれは崩された」

それを聞いてユノたちはザクを一斉に見た


「ザクに私がティナでありアナスタシアを名乗っていることは伝えましたが、この先は伝えていませんでしたね。結論からいえば龍が目覚めることになれば世界が滅ぶ」



「そうならないための儀式なのか?。しかし、鬼と人間が協力すれば龍にも勝てるのでは?」



「龍は全部で4体います。そのうちの一体でも目覚めてしまえば他の龍の封印も解けても不思議ではありません。それに私には時間がないのです」



「時間?アナのか?」



「えぇ、龍が目覚める頃には私は死んでいるでしょうから」


「は?」







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