第75回『届く』:婚姻届<オリジナル>
あなたは万感の思いで色彩豊かな用紙を見つめる。
母に泣かれ父に投げられ。マスコミに追われ学者に纏われ。役所に呼ばれ飛行機に乗せられ。脅されすかされ演説させられ、実演し。ようやくこの一枚に辿りついた。
『婚姻届』
こんなものとあなたは言った。形が大事とあの人は言った。
「友好を示すためには、ルールに従うのが一番なんだ」
異星人が地球人理解のために作り上げた合成生命と、地球人でただの日本人でしかないあなた。
あなたたちは手を取り合う。届を区役所に提出する――。
「国際結婚の特例は認められますが、同性婚は認められません。どっちが夫なんですか」
『女性』のあなたと、『女性』と認知されたあの人は。
互いの顔を見合わせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます