第71回『眠る』:猫好きのための安眠魔術

「眠りが浅いと」

「息苦しいというか」

「こんなのはどう?」

「どういう魔術?」

「呼吸を関知して布団がサポートするの。具体的には、猫を呼吸に合わせて持ち上げる」

「猫を」

「猫の重さを感じつつ、呼吸を妨げない」

「素敵ですね」

「素敵でしょう?」

「でも寝返りが打てない方が辛そうです」

「それは開発中ね」

「なるほど」

「呼吸だけでも楽になるわよ」

「でもねお姉さん」

「はい?」

「猫、飼えないんです」

「あら」

「マンションなので」

「じゃぁこれは? MANA猫召喚魔術」

「素敵ですね」

「素敵でしょう?」

「で、眠りが浅くて」

「猫って温かいのよ」

「改善するような」

「動物療法っていってね」

「猫だけ下さい」

「お札は要る?」

「……え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る