のん兵衛、村に帰る


時は元禄十年

のん兵衛が出稼ぎを終えて生まれ育った村へと帰郷すると

自宅の居間でおっとうとおっかあが死んでいるのを発見しました

のん兵衛は叫びました

「おっかあ!」

変わり果てた姿にのん兵衛は涙を堪えることが出来ませんでした

でも哀しんでばかりもいられません

お腹の虫は早速、鳴り始めたのです

「ぐー」

のん兵衛はペヤングを食べようと思いました

「おっとうとおっかあの死体処理は後回しにするか………」

戸棚を勢いよく開けました

「がらっ」

でもペヤングが有りませんでした

何故ならまだ開発されていなかったからです

「………」

のん兵衛は思いました

「ペヤングすら無いのかこの星は」

歴史にうんざりした瞬間でした

仕方なくラ王を食べることにしました

タイガーの電気ポットからお湯をぞぶぞぶと注ぎ

その待ち時間に二人の両親の死体と共に不思議な時を過ごしました

のん兵衛は窓から外を見ました

雪が降っていませんでした

そしてまた室内を見ました

(両親が死んでいるな)

そう思いました

再び外の景色を見ることにしました

雑草が生えていました

(あいつらの正式名称は何と言うのだろう?)

だが一瞬で興味を失いました

どうでもいいということに気付いたのです

(まだ死んでいるのか………)

居間へと視線を戻すとのん兵衛は思いました

死ぬのをやめないつもりなのだこいつらは


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