人参がいた


人参がいた

とても怖いことだと思った

だって人参が人参なのだ

これはちょっとおかしいと思った

当たり前なことなんて何処にも存在しないのだ

そのことに皆、気付いていないのだ

人参がいる

いた

それは複数だった

誰も意見しないという異常さがさらにわたしの恐怖心を助長させた

手遅れ

そいつが近付いている気配

人参がいた

わたしは命令した

「直ちにここから去れ」

だが人参はその意見に逆らった

その場をいつまでも動こうとしなかった

永遠なのか?

わたしは追い詰められ

もうじき足を踏み外すだろう

そして崖から転落するだろう

人参は笑う

わたしの着メロが鳴った

「もしもし?」

相手は人参だ


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