自滅へ


気まぐれな猿が

傘をさし

その半分以上はずぶ濡れで

ひょいひょいと

歩いていた

「おれの身内だよ」

知人に紹介した

「へえ、随分と毛深い人なんだね」

知人はどうやら猿という生き物を見たことがないようだった

「うん、ていうか猿だよねあれ」

おれは言った

友人は「あ、そっか」と言って

なるほどねえ、と感心していた

おれの心に罪悪感が芽生え始めた

結局、自滅である


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る