成長? 九人目!
さてやっとのことで、当初からの目標であったエリ姉と再会を果たすことが出来た。
これで最大の障害が無くなり、心置き無く次の目標に進むことが出来る。
今の自分ならどんなことでもポジティブに考えられる気がしてきた。
もう一度姉を見る。
自分の心を鏡に映しているかの如く姉もとても嬉しそうに微笑んでいた。
「そうだ、早速友達紹介するね!」
立ち上がりエリーの手を引っ張り起こす。
そして菜緒菜奈を探すとすぐ脇でやっと起き上がろうとしていた。
「ちょうど良かった。まずはこの二人。セミロングの方が姉の菜緒。ポニテの方が妹の菜奈。二人ともCエリアの探索者だぞ。そして私達と同い年。そんで、こっちがエリーで我が姉だ」
三人の間で一気に紹介し終える。
するとエリーが立ち上がろうとしている二人に両手を差し出す。
二人はその手を躊躇いもなく握り勢いをつけて立ち上がると
「エリーさんですね? 初めまして。Cエリア所属の菜緒です。こっちが妹の菜奈です」
「菜奈……です。よろしく……です」
「はい、初めまして。妹が大変お世話になりました!」
菜緒、菜奈と出された右手を、順に両手で握手をして挨拶を交わしていく。
「あともう一人。ここには来れなかったけど名前はクレア。チョット用事があって離れてるけど暫くすれば戻ってくる」
「……クレアさんね?」
「ん? うんそう」
「…………」
「え? な、何?」
エマの目を黙ってジッと見ていたが突然ニヤケ顔となり
「もしかして……恋人?」
「ひ、ひゃぁ?な、何で⁈」
「クレアさんの時だけ顔と声が浮ついてたわよ~」
「え! ホント?」
「アハハ、動揺してるし〜♪」
「も、もう!」
「私も……恋人」
いつの間にかうさ耳モードになった菜奈が恥ずかしそうに手を挙げた。
「そ、そうなの?」
「はい」
驚きと恥じらいが一つずつ。
「な、菜奈⁉︎」しまった! という表情の菜緒
「も、もしかして菜緒さんも?」
話を振られた途端、顔を真っ赤にして俯き何かをブツブツと呟き出す。
「エマったら紹介するならもっとちゃんとした場所と雰囲気作ってあげないと失礼でしょ。でも知らなかった。妹がそっち系だったなんて」
「ちちちちちょっと待て! ち、違うって!」
全力否定をすると菜奈は涙目で可愛らしく、菜緒はギロリと微量のドスオーラを纏いながらエマを睨みつけてきた。
「ひっ!」
冷や汗を流しながら怯むエマ。
「……修羅場だな、っと」
「あらあらノアちゃんたら、そんな呑気にしててもいいのかな〜」
「……ふっ、あんな年増には負けねー、ぜ」
離れた場所から不穏な会話が追い打ちをかけてくる。
「あはは、まあ何世紀も前の昔と違って今では同性婚も出来るし、同性間でも問題なく子孫は残せるからね。義務さえ果たせば法律上は何も問題ないし、私的には本人達が幸せなら反対はしないわよ〜? でもね~この歳でおばさんにはなりたくはないかな~」
火に油を注ぐ様な発言をエリーがした事で、その場にいた四人がピクリと反応を示す。
「エリーちゃん? 今、何と?」
「……姉公認ということ、かい?」
「なら何も問題無し?」
ラーナ・ノア・菜緒の三人の目付きが変わり、目を血走らせジリジリとエマに近寄って行く。
「ち、ちょっと君達! 目付きが可笑しいぞ〜? 菜緒まで一体どうしたの?」
後退るエマ。
「みんな……今はダメ」
にじり寄る三人の前に菜奈が両手を広げ進み出て来た。
「今はクレアが……いない。抜け駆けは……卑怯」
その言葉で皆我に帰る。
「そ、そうね〜確かに卑怯よね〜」
「……菜奈っ子の言う通り。今は休戦、だな」
「私とした事が……了解」
「で、誰が本命なの〜? エマ?」
消えかけた火にまたまた油を注ぐエリー。揶揄うようにポツリと呟いた。
その言葉で四人の視線が一斉にエマへと向けられた。
「え、エリ姉‼︎」
「冗談よ。でもあんまり手広くヤリ過ぎると背後から刺されるかもね〜。だから早めに誰か一人に決めた方がいいんじゃないのかな?」
まっ頑張れや、といった感じでエマの肩をポンポンと軽く叩く。
「もう! だから違うって!」
「あはは」
和やかな雰囲気に落ち着いたところで、ラーナが宇宙服を着た四人に向き直る。
「それじゃあ〜四人とも先ずは着替えてらっしゃいな〜」
「「「了解」」」
「エマちゃん、ついでにここでの「しきたり」を教えてあげてね〜」
「……お、そうか! あいよ!」
「しきたりって何?」
菜緒が小声で耳打ちしてきた。
「大した事じゃない。エリ姉やラーたんを見て」
菜奈にも聞こえるように答えると二人は同時にエリー達を見る。
するとエリーは笑顔で、ラーナは何故か不思議なポージングを二人に披露した。
「……?」
首を傾げる菜緒。
「……服?」
菜奈が呟く。
「正解! ここでは制服着用きんしー! なんよ」
「ほ、ホント⁈」
まんまる目で驚く。
「うん。DエリアもそうだけどBエリアここでは制服着てると白い目で見られるから注意せよ♪」
「…………」
「持ってきてるよね? もしかして持ってきてない? 無いなら作りに行く?」
「え? 一応持ってきてる」
「菜奈は?」
「ある……でもみんなとお揃いが……欲しい」
「お揃い?」
「これ」
空間モニターが現れBエリアメンバー用に作った「チャイナ服」が表示された。
いやいやこれはリンラン以外にとっては普段着では無いと思うが……
「……ウチのメンバー用に作ったのスッカリ忘れてた。なら二人の分、後で作りに行こ!」
「うん!」
「ラーたんとエリ姉の分も作ってあるからね!」
「あら~ありがとう~」
「分かった。後で見ておくね」
しかし菜奈ちゃんたら相変わらず情報仕入れに抜け目がないこと。
Bエリアウチのメンバーの分は後でそれぞれの部屋にでも送っとくかね。
しかしチャイナ服か……
この二人に着せたら嘸さぞかし似合うというかインパクトがありそうだな~
…………そうだ! ついでに……
「あっ、悪代官の顔付きになってる」
菜緒が顔をツンツンしてきた。
「え? そーおー?」
何でバレたんだ?
取り敢えずその場は笑って誤魔化す。
菜緒達を客室へと案内する為、ラーナとエリーとは一時別行動とした。
客室では僅かな間、休憩を兼ねて艦から送られてあった私服へと着替えて貰う。
エマも着替える為、久しぶりに自分の部屋へと戻る。
その際にノアは用事があるから別行動すると言われた。
着替え終え、まだ時間に余裕があったので、待ち合わせの場所として決めておいた定番の「ドカッチェ」へと一人向かう。
今なら一人で紅茶を楽しむ事が出来そうだ。
「ドカッチェ」が近付いてくると、テラス席でシェリーとシャーリーが仲良く雑談をしているのが目に入った。
そう街中で見かける姉妹が楽しいショッピングの合間の休憩をしているような、どこにでもあるシーンだ。
彼女達は見掛けた者には不快感などは一切与えず、逆に和やかな気持ちにさせてくれる光景を繰り広げていた。
エマも余りにも自然に感じたのでチラリとしか見なかったのだが、ふと何やら違和感を感じたので歩く速度を抑え仲良く会話をしている二人を横目で見ると……
なんとあのシェリーが笑・顔・で・妹と会話をしていたのだ!
その驚愕の事実を目撃して全ての動きがフリースしてしまう。
あのシェリーが……あの笑顔?
いや、失礼。シェリーの笑顔は今まで何度も見ている。
ただ性格からくるのかどうしても上品さを伴った笑顔になる様で、今のように親しい友人との打ち解けた軽い笑顔をしているところなんか見たことも無い。
さらに考えてみたら、二人が一緒にいる時は筋トレや走り込みをしている姿しか見かけたことが無かったような?
まあそれは単に二人のプライベートに触れる機会が無かっただけで、もしかしたらこれが普通の光景だったのかもしれない。
ましてや妹の前では常に模範たろうと凛々しい態度を貫いていた筈なのだが……一体彼女に何が起きたんだろう。
などとフリーズしたまま目をパチクリさせて見ていると、二人が不審人物に気付き声を掛けてきた。
「あ! エマさんだ! お帰りなさい!」
シャーリーは立ち上がることはせずその場で体の向きを変え、手を振りながら大声で叫ぶ。
対面で座っているシェリーは体をエマに向け笑顔で軽く頭を下げてきた。
──あの笑顔、二人とはCエリアで別れたきりだが、あの時よりも清々しく感じる
いやそんなことよりも、どどどど、どーなってんの⁈ あのシェリーに笑顔で挨拶されちゃったよ?
困惑しながらも黎明期のロボットのように、ぎこちなく片手を上げて挨拶を返す。
そのぎこちない動きを見て、クスっと笑ったシェリーが空いている席へどうぞと手招きをしてくれた。
──シェリーさんや、金髪縦ロールの上品なお嬢様スタイルのあんたがその「クス」っとした仕草は反則とちゃいまっか?
一体何を企んでるんだ? もしや私とは萌え対決で雌雄を決するということ?
招待挑戦を受けた以上、断る投げ出す訳にもいかない
思いがけない攻撃を受けたエマは注意深く席へと近付いて行くとアンドロイドウエイトレスがティーカップを運んできてくれた。
テーブルに置かれたティーカップに紅茶を注ぎ、エマへと差し出すシェリー。
「あ、ありがと」
「もうエリー殿とは?」
軽く首を傾けて笑顔で聞いてきた。
ちょ、ちょっと止めてって!
あの猛々しい武人の心意気は何処に置いてきちゃったの⁈
これでは全く太刀打ち出来ない。
完敗だ!
「さ、さっき会った」
「そうですか。それは良かった」
「あ、そうか! シェリーもエリ姉救出に行ってくれてたんだよね!」
「はい。ですがエリー殿救出の立役者は間違いなくマリです。私はあまりお役には立てていないかと」
「どんな状況だったかは分からないけど、みんなのお蔭であるのは間違いない」
「そうでしょうか?」
俯き加減のシェリー。
「なに言ってるの! 誰が何を成したなんてのは結果であって、大事なのはその行程でしょ? 誰か一人でも欠けてたら結果は違ってたかもしんない。ましてや少ない人数で各々力を合わせて救出に成功した。だから作戦に参加した全ての者がヒーローなの。私達姉妹はみんなにとっても感謝している」
「そう言って貰えると嬉しい気がします」
「ねえシェリー」
「何でしょうか?」
立ち上がりいきなりシェリーに抱き着く。
「エリ姉を助け出してくれてありがと」
「…………はい……痛っ」
腕の中で痛がり出した為、反射的に身を離し様子を伺うと胸のあたりを抑え身を屈め出した。
「ど、どしたの? ゴメン、そんなに痛かった?」
「い、いや、何でもありません」
「お姉様!」
シャーリーが駆け寄り姉を支える。
「お姉様は肋骨が何本か折れてるんです」
「え? 何で? もしかして作戦中に負傷したの?」
「大したことではありません。これは己の未熟さが招いた結果です」
「ちょ、一体何があったの?」
「奴と……ロイズとの戦闘バトルで」
「あんにゃろ‼」
「エマ殿!」
突然真顔になり名を呼んできた。
「な、なに?」
「ロイズはたった一人で我らと正面から正々堂々と戦い、我を打ち破るところまでは成功したが、結果的に総合力の差で敗れ去った。これは敵として賞賛に値すると言えるでしょう。そして我もそうですが、武人として戦いが終わった今ではお互い遺恨は残ってはいないはず」
「…………」
「エマ殿にとっては訳も分からず姉を連れ去った極悪非道人に見えるかもしれませんが、あの時奴も奴なりの「信念」に基づいて行動している言っておりました。奴の中に有る「信念」、あの時ははぐらかされたが、敗れ去った今となっては正直に答えるはず。ですから奴に罰を与える前にエマ殿からそれを聞き出しては貰えませんか?」
「信念?」
「はい。どの様な「信念」なのか……我は興味があります」
「分かった。シェリーにはエリ姉を助け出して貰った返しきれない恩があるからね」
「……我には依然交わした約束さえ守って貰えれば。これしきの事は「恩」には値しません」
「それは大丈夫! シェリーの幸せのためにも必ず何とかする」
お互いしっかりと握手を交わす。
「おーここにおったんか!」
この声はマキだね。
「およ? エマやないかいな!」
と言うことはこちらはマリだね。
「およよ? その声はマリかいな?」
振り向き様、真似をしてみせる。
「エリーとはもう会えた? もしかしてまだ? ならウチが呼ぼうか?」
スルーされてしまった。
あ、あれ? 何かチョット違うよ?
いつもなら真似するとしどろもどろになるんだけど……
しかも以前までとは比べ物にならないくらいの「いい表情」してる!
マリといいシェリーといい、一体どうしたの?
「どしたん? どこか調子悪いの?」
逆に心配されてしまった。
いや心配させてしまった。
以前までは相手第一自分は二の次といったところが見られて不憫に思えたけど、この僅かな間に良い方向に図太さが身に付いたみたいだわさ。
「マリ」
「何や?」
「エマはな、姉ちゃんの成長に感動しとるんよ」
「ふぇ? そんなに育ったか? あんまし変わらんと思うけど?」
自らの山脈をマジマジと眺め出す。
「ちゃう、そっちやない」
「ならこっちか?」
今度はお尻を見ようと仰け反り始めた。
「それもちゃう」
「なら脚か? ウチの脚線美に見惚れてたんかい?」
「顔や、か・お」
「顔? ウチは元から美人やし……」
「そやないて。はぁー師匠、頼む」
「だからワシはマリの師匠でマキの師匠……」
「もうええ」
「何や怒りん坊やなー。しゃーない」
マリの前に女性の顔が映った空間モニターが現れた。
「……これウチ?」
目をパチクリさせるマリ。
皆が空間モニターを覗き込むと、そこには見知らぬ女性が映し出されていた。
「……あ、間違まちごうた! それ飲み屋で引っ掛けた姉ちゃんや」
「……ハナちゃん、出来るか?」
「マキも懲りんのー。師匠に頼んだらこうなる事が分かってるくせに」
新たにモニターが現れて、師匠が出したモニターの前に割り込む。
「な、何すんの?」
邪魔されたので怒りだす師匠。
「師匠諦めて」
「ワシの邪魔ばかりしくさりおってからに。ならワシも邪魔したる!」
ハナちゃんが出したモニターに映っているマリの顔にモザイクが入る。
これでは性別どころか、人かどうかすら判別出来ない。
「ちょっ! 何さらすの! 往生際が悪いで!」
怒るハナちゃん。
「ふん!」
あらあら喧嘩始めちゃったよ……仕方ない。
「全く……エリアマスターとして命ずる。二人とも喧嘩は止めなさい!」
「「‼︎」」
ピタリと大人しくなった。
「師匠〜今のマリの顔を映し出してくれる〜?」
「へ、へいマスター! チョイとお待ちを!」
素直で宜しい。
返事と共にマリの顔が映し出された。
「……どこか変わってる? 全く分からん」
「本人は毎日見てるから分かりにくいか。師匠、一ヶ月前でいいから比較画像を出してくれる?」
「へい!」
「……何やこれ!」
一目瞭然の結果に本人が驚く。
「な? ちゃうやろ?」
「ほ、ホンマかいな?」
説明するまでもなく、明らかに表情が凛々しくなっていた。
「離れ離れになっている間、何があったの?」
「い、いやー特に変わったことは……強いて言えば姉さんの肩揉みまくって、敵をブチのめして、スミス蹴散らしたくらいやな」
「姉さんって……ローナのことか⁉︎」
「そーよ。結構上達したんちゃうかいな?」
「てゆーかあんなに怖がってたのに⁈」
「そないなことない。姉さん結構優しいよ?」
ケロッと答えた。
ちょっと前までは目すら合わせようとはしなかったのにエライ変わり様。
「あと敵って?」
「それはな……」
「調査艦です」
「「調査艦?」」
「はい。マリはローナ殿とペアを組み調査艦の基地を襲撃しておりました。その時に艦と基地の撃墜数で競り勝ったのです」
シャーリーに支えられ、痛みに若干顔を歪ませながらも笑みを浮かべて教えてくれた。
「そうなんよ! ウチが艦が三万と基地が三つ、姉さんが二万八千で基地が一つ。ウチの完勝やで!」
「……何で調査艦を?」
「作戦の一環です。詳しくはローナ殿にお聞き下さい」
「それとスミスってなんのこっちゃ?」
「エリーがおったとこの警邏アンドロイドで次から次へとウジャウジャ湧いて出てきたんで、手当たり次第破壊しまくってやったんよ! なー師匠?」
「おう! みんな目の色変えてマリに告白しようと我先に迫って来とったの〜ホンマ人気者は辛いわな~」
「目の色って、サングラスしてたから色までは分からんやろに」
「そやね〜」
「「「…………」」」
聞けば聞くほど驚きの度合いが増していく。
虫すら殺せないほど優しかった性格だったあのマリが……しかもとんでもない事を自慢することなくサラッと過去形で済ましてしまう程の変わり様。
「マリ」
「ん? どないした?」
「あなたはもう立派な勇者だわ!」
「勇者とは「勇ましい者」のこと。仲間の為には己の犠牲をも厭わない心の持ち主。精神面だけでいえば我はとっくに追い越されてしまったようだ」
「え? マリがお姉様を超えた⁉ そんなに?」
尊敬の眼差しを向けるマキとエマとシャーリー。
「へへへ勇者か、いい響きちゃう?」
「流石ウチの姉ちゃんやね!」
「我が妹よ、今頃気付いたか! ウチは自慢の姉ちゃんさかい、もっと褒めてーな!」
超ドヤ顔でマキの肩を何度も叩いた。
──願いが叶って良かったな
三人の隣では妹に介護されたシェリーが痛めた胸を押さえながらも温かい目でマリの事を見つめていた。
その後シェリーを休ませる為、姉妹は姉の部屋へと帰って行く。
マリ&マキは再会を祝して和食料理店へと向かって行くと一人の時間が訪れた。
ここで二人の変わり様についてちょっとだけ考えてみた。
二人とも変われたキッカケは分からないけど、だいぶ「普通」になれてたな
これなら探索者を辞めたとしても充分普通の生活が送れそうだね
心配事が一つ減って良かったよ
そんな事を考えながら静かな一時ひとときの時間を過ごしていると、菜緒と菜奈が仲良くやって来た。
「Bエリア基地こことCエリア基地ウチって造りがホントそっくりよね~」
「お蔭で迷わずに……済む」
「そお?」
それは多分お宅の主任さんのせいだと思うぞ?
合流したところで三人は軽めの昼食を取る。
「ちょっと行きたいところがあるんだけど、行ってもいい?」
「どこへ? もしかして先にドリーに降りるの?」
「ん? ドリーに行きたい? でも先に……ロイズの所に」
ドリーに行くのは一向に構わない。それこそエリアマスター権限フルに使って地上の警備体制を分厚くすれば生身で降りて行っても問題ないだろう。
まあそこまでしなくても元々ドリーは治安は頗る良い方だし。
でもその前に会わなくちゃならない奴が居る。
一人で待っている間にロイズの状態を調べたのだが、全身打撲で命には全く別状ない状態で、数日間は身動きは出来なさそうだが会話が出来ることは確認済みだ。
その事を二人に話すと「勿論。有益そうな情報満載そうだし私達も付いて行く」との返事が返って来た。
「ラーナさんは立会うの?」
「軽く話したからいいって。ただローナが帰ってくるまでは五体満足でいさせる様にと」
「そう。あ、ラーナさんで思い出した。今晩はドリーの保養施設で帰還記念と歓迎会と作戦会議を兼ねたパーティーをするって」
「…………マジ?」
「へ? その顔、どうしたの?」
「なんかとっても嫌な予感がする……」
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