第59話 全方位攻撃! 解析不可能! 待避?
足早に扇形室内の後方にある主任席と、その前方の班長席の間の空きスペースまで行くと、席の正面壁面に設置された弧の形をした巨大モニターにて警報の原因を探る。
すると丁度前面のモニターのど真ん中に、一目で探索艦と分かる「白くて丸い球体」が一つ、鮮明に映っていた。
注釈アイコンには「所属不明艦」との表示との表示。距離は十光秒(約三百万km)ほど。
「あれ探索艦、ですよね?」
首を傾げる菜緒。菜緒の知る限りあの形状で「艦」が付く乗り物は探索艦のみ。なのであの艦は「味方」だと認識したので警戒度は低かった。ただしこの時点までは。
ここで後方にある転移装置から慌ただしい足音が続々と聞こえてくる。
真っ先に本日当番の班長が。その後に非番の班長達が続くとあっという間に席が埋まる。警報を聞きつけた班長が自分の役割を果たそうとやって来たのだ。
菜緒は視界を動かさず揃っているのを感覚にて把握する。
タイミング悪く? 菜緒らよりも遅れてしまった彼女らは決してサボっていた訳ではない。
探索部の規定により夜間や探索任務のない休日の基地指令室は、AIが予め指定されたタスクの範囲内にて代行しているからで、古代のように誰かしらが司令室に常駐し見張るといった行為が必要がないからだ。
(当たり前だがその範囲には警戒や監視も含まれている)
ただし特筆すべき点が一つ。
AIが行っている
AIにはどんな「想定外」にも対応出来るようにと様々な設定がなされているが、それでも百%には届かない。
では何が足りないのか? それは人の「直感」に当たる部分。こればかりはしょうがない。
この「直感」がないと「冒険を避け合理的な判断」を下すといった「片寄った発想」になってしまう。
この状態を野球のピッチャーで例えるなら、一打逆転の場面で相性最悪のバッターと勝負するか、次のカモと勝負するかの場面。
AIならば「直感」が働かない為に、確率がより高い後者を選択してしまうだろう。
「選択」によっては前者を選ぶ事もありえるが、それは天秤の上に「人命」が乗っていない場合のみ。
この発想は「あくまでも
なので今回のように基地がAIの管理下に置かれている時に、エリアマスターをサポートしている立場にいる班長達でも「判断しかねる事態」に遭遇した場合、AIは自衛を除き勝手に判断を下さずに「最終判断は人に仰ぐ」ようにプログラムされてあるのだ。
ほかの理由に平和なご時世に「想定外を想定」が起こるとは菜緒も含めて誰も思っていなかった。そして現在進行中の「想定外な事態」を知らなかった為に「想定外を想定内に」等といった発想には至れなかった、という部分もあるが……
「何で識別信号出さないの?」
知らないが故の発言。さらに探索艦だという前提での発言。なので身元を明かさず血黙しているのは明らかな規則違反。そして菜緒にとって初めての異常な事態。
原因を探ろうと先程から口を閉ざしたままのサラをチラ見する。だが寸前のサラとの違いは見つけられない。
そんなサラに違和感を感じつつ、立場上班長が揃っているか、今度は目視で確認してゆく。
──よし、全員揃っている。
何も知らない菜緒とは異なり、先程から不明艦の映像を凝視しているサラ。忙しない雰囲気の指令室内でサラの周囲の時だけが止まったままだ。
丁度その時モニターが切り替わり基地と不明艦の中間、約五光秒(百五十万km)の距離に「調査艦」が一艦、艦先をこちら側に向けて
「あら? 何で調査艦がここに? それに……数が……増えてません?」
壁面モニターの注釈には「調査艦」との文字。なので「調査部の調査艦」なのは確定。だからこその違和感。
調査艦は任務の性質上、探索部と活動区域が重なることは有り得ない。正確には
それは以前にも説明したが、調査艦が調査した宙域を探索艦が探索を行うと完全な分業体制が確立されており、お互いの領分を犯すことはしない。
ましてや調査する必要のない探索部管理下の領域に事前通告も無しに来るなど。
百歩譲って用事があったと仮定する。それなら本部同士でのやり取りが基本だし、緊急を要するのであれば出現と同時に「情報連結」が真っ先に行われ事情説明がされる筈。
その調査艦が一艦、また一艦と跳躍してくる様子が映し出される。
「ちっ、こんな時に‼︎ まさかここで……不味いな……」
ここでやっとサラの表情に変化が見られた。
「アレを何とかするのが先決か。菜緒、探索艦全艦……あっ‼︎」
「主任、艦は今は……」
「動きません」と言おうとしたところ、
「そうだった‼︎ ……シャーリーとソニアは何処だ⁈」
思い出したようで慌ててシャーリー達を大声で呼ぶ。こんな混乱状態のサラは
このサラの慌てぶりから今は不測の事態だと気付き始める。
『はい? なんですか?』「あ! サラ主任!」
シャーリーの返事が。それとほぼ同時に菜緒が何かを見つけたようで声を上げた。
サラは菜緒を見るが、シャーリーとの会話を優先した。
「シャーリー、今何処だ?」
『今はお風呂に入ってます〜!』
普段と同じく元気な声。因みに風呂なのだから素っ裸。その為、音声のみの返答と判断。
「ふ、風呂だぁ⁈ 何処の風呂だ⁉︎」
『私の艦です!』
どやまいったか? といった声色。
「ちょうどいい! 今すぐ
『り、了解! ってあれ、敵なんですか?』
「そうだ全て敵だ! それとソニアは何処にいる⁈」
『隣にいます!』
流石裏表のない正直者。隠さずバラす。
『ソニアを強制排除! 大至急自艦に向かわせろ! ソニアは着いたら私に連絡‼︎』
『え? 今、裸なの……』
「急げ‼︎」
『り、了解!』『キャーーーー……』
ドックの様子は映っていないが、会話を聞いていた者たちの頭の中では「可哀そうに……」と同じ光景が見えていた。
「アルテミス!」
『はい』
「お前はこの基地を守れ!」
『その命令には……』
「?」
「ならエマを守れ‼︎」
『……理解しました。
「一光秒以内に入ったら迎撃を開始しろ!
矢継ぎ早に命令を飛ばす。
命令を受けたアルテミスは通話終了後、移動を開始した。
「菜緒、今のうちに探索者全員を艦に搭乗させておけ。職員も分散させて一緒に乗せろ!」
「は、はい! ですがサラ主任「一体」とはどういう意味ですか?」
「説明は後だ! 奴らの狙いはエマだ‼︎」
「やはり……」
予想外の返答に菜緒を見て一瞬戸惑う。
菜緒は不安そうな顔で無言で頷いた。
──今は詮索するときではないか……しかしこいつも成長したな……
などと思ったが、それを言う暇はない。
「とにかく急げ! 全滅させられるぞ!」
「了解! 全員各艦に退避」
「「「了解」」」
菜緒は全職員及び基地内で待機している全探索者に対し放送にて指示を出す。
この放送を聞いた
「それと基地の制御を一時預かる!」
「代理権限ですね? 承認します!」
今が非常事態と認識しているからか、なんの躊躇いもなく菜緒が頷く。
代理権限とは、その区域の
その条件とは、そのエリアの設定順位の最上位者の承認が必要なのと、本来の
但し代理権限が及ぶ範囲は基地機能維持・探索者・探索艦のみと限定されている。
「菜緒、すまないがお前はギリギリまで残って私をサポートしてくれ!」
「勿論です!」
二人は同時に頷くと壁面モニターに向き直った。
『シャーリー出ます!』
宇宙服に着替え終え出撃準備が整ったシャーリーがモニターに現れた。髪は濡れたままで。
「よし! 相手は全て無人艦だから遠慮せず体当たりしろ! 但し艦の正面は硬いから可能な限り側面か後方からだ! あと質量兵器はリモートモードにして艦AIに操らせろ!」
『了解‼︎ 行くぞーーーーうぉぉーーーー!』
ドックから離脱すると光速近くまで一気に加速。調査艦の群れへと向かう。
すると間もなく調査艦がいる領域から光が瞬き始め、一筋の光の尾を引いてゆく。
「で、なんだ菜緒?」
ひとまず落ち着くと菜緒に話しを戻した。
「見たことの無い艦が一艦、跳躍して来ました」
「何処だ?」
「基地を挟んだ、ちょうど反対の方向です」
「逆だと⁈」
調査艦が現れた方とは逆側に何かが現れたらしい。
モニターのどこに表示されているか首を振って探し始めるが、探し出す前に菜緒が指で場所を教えてくれた。
その艦を見ようとしたところで、さらに新たなモニターがかぶさるように現れ邪魔をされる。
そこに映っていたのは短距離を全力疾走した直後のような表情のソニアであった。
『はぁはぁサラ主任! はぁはぁソニア戻ったなの!』
余程急いできたのだろう、シャーリー同様、髪は濡れたままだった。
サラは迷う素振りも見せずにソニアとの会話を優先する。
「よしお前は伝令だ! Bエリアの基地にラーナがいるからマキとランをこちらに大至急応援に寄越すように言ってきてくれ!」
『了解なの! Dエリアは?』
「跳躍中にでも
『なの! 行ってきますなの!』
ドックを出てると漆黒円錐形へと形状変化をさせながら加速、一定の距離が開くと跳躍していった。
ソニアを見送り調査艦とは逆、基地を挟んで反対側に現れた「不明艦」を見て固まる。
不明艦は基地から約五光秒の距離で停止していた。
そして喉から絞り出すような声で呟く。
「ちっ、こんな時に何しに来たんだ⁈ 高みの見物のつもりか⁈」
言動からアレが何なのか、そしてここにいる理由を知っているようで苛ついている雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
「あ、あの艦をご存知で?」
「シャーリーとアルテミス! 調査艦とは逆方向に現れた艦には絶対に手を出すな!」
『『了解』』
両方から即答が。
シャーリーからしてみれば、とてもじゃないがそちらに構っている余裕はない。
「し、主任! あの艦は⁈」
「……あれは「整合部」の艦だ」
「せ、整合部? あれが噂の? ……なんて大きい!」
注釈によると直径は五百m。百五十mの探索艦の三倍以上で千mの基地の半分の大きさ。
遠目から見ると形状は球体。だが拡大すると完全な球体ではなかった。
表面は一辺が1mほどの六角形の平面体がお互いに結合し、それが全面を覆っており色は
整合部の艦は現れてからその場を動かずジッとしている。識別信号や各種電磁波は一切発しないで。
見とれている間にも調査艦の数が倍々と増加しており既に三万を超えていた。
星々の光の中で調査艦がいる一画だけが真っ暗。その暗闇の一画で一筋の光が移動してゆく。
この光の線はシャーリーが孤軍奮闘している証。
ただその規模は子供用の砂場に針で線を引いた程度と暗闇全体から見れば取るに足らないレベル。はっきり言って「焼け石に水」にすらなっていない。
というのもシャーリーは調査艦を確実に減らしているが、減るよりも増える方が何倍も速いのだ。
「主任! (調査艦が)こちらに向けて移動を開始しました!」
「何⁈」
菜緒の余裕にも陰りが。
面積が増してゆく「暗闇の壁」との距離が減り始めたのを
『調査艦はどうやら初めに現れた所属不明艦からの命令で動いているようです。受信したプログラムの解析不可能』
アルテミスからの報告。
「解析不可能」の言葉を聞き、確信に至ったのと同時にサラの脳裏に最悪の事態がよぎる。
この速度だと三十分以内にここにたどり着くだろう。
現状のシャーリーとアルテミスのみの戦力であの相手をするには余りにも数が足りなすぎる。
せめてここの探索艦が動けば……
いや仮に全艦出撃出来たとしても、あそこで動かずにいる探索艦には
その証拠があの調査艦。
もし何も知らずにあの艦に近づけば探索艦も調査艦と同じく「乗っ取られる」可能性が高い。
もし「彼女の気紛れ」で乗っ取りを回避できたとしても更に増援を呼ばれるかもしれない。
なにせ調査艦の総数は今ここにいる数の十倍以上存在しており、弾数の心配はいらない。
最悪なのは数の暴利。物量で押し切られれば対抗手段がない。増援が着くまでは保たないだろう。
だが諦めるにはまだ早い。探索艦なら瞬きするよりも早く辿り着ける距離。だが調査艦では三十分は必要。
つまり三十分の猶予は残されている。
この三十分で撃退出来れば……
探索艦と調査艦の差はかなりある。差の一つは移動能力。
通常空間移動用の反重力推進装置。探索艦の装置は技術の
調査艦の反重力推進が鈍足なのは宇宙の全方位地図を作ることが主任務であり、調査艦基地↔︎予定目的空間のみの移動でこと足りるため高性能な物は必要ないし、艦の性能を上げるよりも「数」を揃えた方が効率が良いから。
さらに任務の性質上、帰還しない可能性も。
帰らない艦を回収するには多大な労力が必要だし、そんな暇なあるなら新たに建造、派遣した方が効率が良い。
その様な理由から速度が出せないのだ。
また宇宙開発初期段階では調査艦は異文化などとの遭遇を考慮し、自衛の為の武装や隠蔽迷彩など最低限の装備を施していたが、結局
まあ隠蔽されていたとしても今のアルテミスなら発見は出来る。これはノアのお陰だ。
余談だが、サラが言ったように生身の人間を乗せるような設計はされてない。なので漏れなく無人である。
──まさかここで仕掛けてくるとは……エリーの準備が済んだのか? それとも「贄」としての「価値」が変わったのか? それとも私が原因だと? いやどの理由だとしてもここは防いで
「主任! ソニアさんが戻ってきました‼︎」
菜緒がまた叫ぶ。
「なに⁈」
ソニアが映った映像が壁面モニターに現れる。
『ごめんなさいなの! 父の命令で戻って来たなの!』
ソニアが上目遣いで謝ってきた。
「馬鹿者‼︎ 応援はどうするつもりだ‼︎」
『
サラの怒鳴り声にも
「……その方が早いか。すまなかった。お前はシャーリーの援護に回ってくれ」
『了解! なの!』
光の速さでシャーリーの元へ急行した。
『『きゃぁぁぁぁーーーー‼︎』』
調査艦が移動を始めて二十分。
司令室モニターには悲痛な表情のシャーリーとソニアの
どうやら艦がかなりの衝撃を受けたようで、僅かながら口から血が滴り落ちる。
シャーリー達はいつの間にか調査艦に全方位から包囲され、逃げ道を塞がれた上で間髪を入れずの艦正面での突撃・体当たりを受けていた。
しかも最低四方向からの同時突撃。所謂
ただいかに前面部を強化してある調査艦であっても探索艦の外装は突き抜けられず、体当たりした艦は衝撃に耐えられず潰れて自壊・爆散していく。さらにその衝撃で燃料となる物質が勝手に核融合を起こし誘爆し数千万度のプラズマの塊となったところにまた別の艦がシャーリー達に寸分たがわず突撃していく。
そして突撃した艦の隙間を新たな艦が入り込み隙間を埋める、の繰り返しで休む暇を与えない。
結果、シャーリーとソニアの艦は常に衝撃と、恒星の中心部付近と同様の真っ白な超高温な光に晒され続けていたが今のところは艦自体には損害は全くなく共に健在。
搭乗員はある程度までの衝撃であれば艦の外装を構成している流体物質や
相手は何故このような攻撃方法を取っているのか?
探索艦の強靭さは分かっている筈。
例えここにいる全艦が探索艦ひとつに的を絞って突撃したとしても外装に傷一つ付けられないことを。
つまり敵は「艦の破壊」ではなく「搭乗者の始末」に絞って攻撃している、という事になる。
艦は無事でも中にいる搭乗者は生身の人間。生体強化すらしておらず、戦闘とは無縁に育った普通の女の子。
二人に限らず探索者達は育成施設で戦闘の訓練は受けていない。ただただ上司の命令で突撃しているに過ぎない。
体もそうだが、心の方も心配。
実際二人とも先程から反撃らしい反撃はせず、四方八方に体を揺らし耐えている。
ただまだ頭部シールドは作動していない。これが作動した場合「最終手段」として二人を守るため強制的に離脱させるしかない。しかし……
「主任! このままでは……」
菜緒がサラと二人が映った、途切れ途切れのモニターを交互に見て困惑している。
今の菜緒はCエリアに配属されてから初となるイレギュラーな事態に遭遇しているにも拘らずそこそこ冷静だった。
普段、このエリアでの自分の役割は「働かない主任に代って陣頭指揮を執る」であり仕事柄、現状を分析した上で先を読み指示していくのを普段から心掛けていた。
それは今の自分ではこの状況を打破する手段がない、という部分が大きい。
──どこから情報が漏れた?
この敵は我々より数枚上手。何せ
外部との接触は
──本部が情報を? いやそれはない、と思いたい。仮に本部が情報操作していたのならBエリアで起きた出来事は、私には伝えず隠しておく方が何かと都合がよい、と思う。ならば情報を盗まれたと考える方が……それならどこで……まさかウチの主任が?
ない、とは断言できない。なにせ連絡艦が来た
──動けなくなったのは
サラを見ると歯を食い縛り、両手を握り締めて暗闇が映ったモニターを黙って見ていた。
──この人は白。
根拠は私も「同じ思い」だから。私だって動けるものなら直ぐにでも応援に駆け付けたい。
探索者でないサラの感情はもっと複雑だろう。
調査艦は出現総数が
今はシャーリー艦が操る質量兵器が細々とその数を減らしているだけだ。
しかも「暗闇の壁」は刻一刻と基地に迫ってきている。
もう目視でも充分確認出来る距離にだ。
その距離約一光秒。アルテミスが行動を始める距離。
正直、もう打つ手がない。
このままでは危惧した「量」で押し切られ蹂躙されるのも時間の問題。
ソニアが手配した応援は今頃Bエリア基地に到着した頃。マキ達が駆けつけるまでまだ三十分はある。
──ここでもしエマが連れていかれたら主導権があちらに奪われてしまう。そうなったら皆の思いが無に帰す。さらに「友人」の望みさえも潰えてしまう……
最後の砦であるアルテミスが攻撃に移る為、質量兵器を自艦周囲に放出。自らも白色円錐形になり攻撃態勢に入った。
その姿を見てサラは無念そうに静かに目を瞑ってから菜緒に話し掛ける。
「……調査艦には無数のアンドロイドが乗り込んでいる。アルテミスが突破された場合、それらが基地に乗り込んでくるだろう。無駄な抵抗かもしれないが基地内のアンドロイドとロボットで時間稼ぎをさせる」
「は……はい」
「その時はお前は自艦に待避しろ。下手に動かず艦の中でジッとしていれば安全だ」
「しゅ、主任は⁈」
「私はここに残る」
「な、何を言っている、いやダメです! い、嫌です!」
とその時、新たなモニターが現れ女性の声が聞こえてきた。
『サラ主任、その様な事態にはなりません、いえさせません! ところでシャーリーなんですの? その醜態は!』
透き通った力強い女性の声が指令室内に響き渡る。
「「?」」『!』
サラと菜緒がその声に反応、同時にモニターを見ると白色卵型の探索艦が映っていた。
どうやら何者かがアルテミスと敵群の中間地点(0.5光秒)に跳躍してきたようだ。
俯いたまま衝撃に耐えていたシャーリーが、電波状態が悪い途切れ途切れの「声」を聞いた瞬間、カッと目を開く。
司令室のモニターに映っている探索艦に注釈アイコンが立つ。それによると……
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