第34話中華料理店の床はヌルヌルする

『姫野あかり』最近転校してきたクラスメイトである

そして俺が初めて会った時に

一昔前のラブコメを繰り広げたやつでもある


何より今横で『姫野あかり』とやり取りを

している『桜井暖人』と同じく今の現象の鍵

になっている存在かも知れない。

しかし相変わらずのツンデレ(死語)だなおい

作品として見るぶんにはいいが現実で

こんな態度をとられるとイラッとくるものがある


それにしてもこんな偶然があるものなのか?

これも所謂ご都合主義というやつか

そうなってくると

やはり『桜井暖人』が主人公

そして『姫野あかり』がヒロイン

という事になるのか

他の女子達に感じたあの悪寒や『桜井暖人』

の『姫野あかり』に対する態度からやはり

まだ推測の域を出ないがほぼ間違いないと

思っている。

そこら辺も話さないとなぁ

取り敢えず仲裁?に入るとするかね


「あー確か姫野さんだよね?」


「そうだけどあんた誰よ」


それが客に対する態度かよ

それにまだ転校してきて日が浅いとはいえ

覚えられてなかったとは

というか名前はともかく何度か会ってるから

顔ぐらい覚えててもいいと思います。


「あー同じクラスの○○だ」


「ふーん制服で同じ学校とは思っていたけど同じクラスだったのね」


「それで姫野さんはここでバイト?」


「いや、うち中華料理店なのよ」

「元々はこっちに住んでたんだけど親の都合で引っ越しちゃて」

「それで父が前から店を開きたいって言っててようやく目処がたったからこっちに戻って来て店を開いたって訳」


「へぇーそうなんだ」


「だから私は手伝いって訳」


この情報は役に立つのかな?

でも一つ気になるのが元々はこっちに住んでいたという点だ

もしかしたらそれも関係しているかも


「まぁいいわ取り敢えず席に案内するわ」


『姫野あかり』が席へと案内するとき

ある意味お約束というやつが発生しました。


「きゃ!」


「あぶない!」


ここで少し補足しておくと中華料理店の店は滑りやすい、何故なら厨房の油が飛ぶのもあるが、靴も一因のようで店員さんが厨房から出てきて、料理を運ぶ。中を歩いた靴で、外も歩く。結果、油が広がってしまう

なので定期的に床をキレイにしないとどうなるかこうなる


閑話休題


今の構図をみてみよう


『姫野あかり』が『桜井暖人』の胸の中で

縮こまれている。

なんでそうなったんだよ

なにこれ


「おい、大丈夫か」


そこで『姫野あかり』がハッと気づいて

『桜井暖人』から離れる


「なに抱きついてるのよ!」


「なんで怒られるんだよ」

「お前が転びそうになったから助けてやったんだろうが」


「あ、その、ありがとう」


もう一回言おうなにこれ


ようやく席に座り一息付く

しかし俺達以外、客がいないので静かでいいのだが店側からしたらどうなんだ?

ちょうど忙しくなる時間帯だと思うが

まぁ聞くのも野暮か


「それで何にするのよ」


「おいまだメニュー見てないんだよ」


「早く決めなさいよね!」


「なんでそんな上からなんだよ」


あれ?俺空気じゃね?

席に座って一言も喋ってないよ


「ここのオススメはなんだ?」


「そうね最近出来たからあんまり強くは言えないけどチンジャオロースがよく注文されるわね」


「ならそれにするか」

「○○もそれでいいか?」


「あ、あぁそれでいいよ」


「了解っと」

「じゃあ少し待っててね」


そうして彼女は厨房の方にいった

そして10分後


「はい!当店自慢のチンジャオロースよ!」


おぉ!!これは見ただけでも美味しそうだ

他のメニューも気になる所だ


「それじゃあいただきます」

「いただきます」


「味わって食べなさいよね!」


お前のキャラが掴めんわ


その後言うだけは合ってチンジャオロースは

とても美味しかった

これは行き着けになりそうだな

俺達は残さずペロリと平らげた。

そして今日は奢りという事で支払いは

『桜井暖人』持ち


「いや、凄く美味しかったよ」

「これは行き着けになりそうだな」


どうやら『桜井暖人』も気に入ったようだ


「あ、当たり前よ!」

「また来なさいよね!」


「はいはい」


「はいは一回!」


「はーい」


そんな子芝居を見ながら俺は別の意味でお腹が一杯になりそうだ

そしてようやく店を出た


「今日はありがとうな」


「いや、お礼だしね」

「それにいい店も見つけたし」


そんな事を話ながら俺達は帰っていった


またなーという『桜井暖人』と別れて

足立さんに色々話さないといけないことが

あると思うと気が重くなった


つーか『姫野あかり』は終始、主に

『桜井暖人』としか喋ってなかったけど

俺ってそんなに存在感ないの?

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