第31話物語は僕らの知らない所でも勝手に進む

あの悪寒、まるで今から世界が終わってしまうのではないかという感覚

忘れたくても忘れられないこの現象

ヤバいヤバいヤバい


前回はたまたま俺がその場に

居合わせた事で事なきを得たが今回は別だ

何処で何が起きているのか分からなくては

手の内ようがない。


「足立さんコレは」


「うん、状況は最悪だね」


足立さんを見るに彼女もこの事態が最悪な事を理解しているのだろう。

やはりコレは俺と足立さんの二人には

分かる共通の感覚なのだろう。


そんなことより今はとにかく情報が欲しい

この前の事を考えるに『桜井暖人』又は

『姫野あかり』に関する事だろう。

くそっ!

せっかく立ち直れたと思っていた直後に

これかよ!

俺はその間二人の事について何も考えずに

自分の事しか考えてなかった。

足立さんなら何か分かるかと思い聞いてみる


「足立さん何か心当たりはある?」


彼女は顎に手をやりお馴染みのポーズで思い出そうとしている。

そして少しして


「ごめんなさい」


そう申し訳なさそうに謝ってきた。


「いや、足立さんが悪い事は一つもないよ」


「むしろ俺の方が悪い」


彼女は何も悪くないというかこれは俺のせいでもあるんだろう

だが今はネガティブになっている時ではない

何かないか!

考えろ、考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ!


そこでふと気付いた

俺は『桜井暖人』の連絡先を持っていることを

正しいかはわからないが取り敢えずは

情報を手に入れなければいけない

そこからは早かった

直ぐに俺は携帯を取り出して直ぐに

『桜井暖人』へと電話をした

1コール


2コール


3コール


頼む!出てくれ!

その間にもどんどん恐怖心は増していく


4コール


『はい、もしもし?』


出た!

だがこれからどうしたら!

と思っていたら何故か急にあれだけの恐怖心が消えていく

これは一体どういう事だ?

混乱していると電話越しから


『おう○○どうしたんだよ』


「あ、あぁちょっと用事があったんだけど」


『そうなんだ、それで?』


「いや、会ってから話したい事だから今何処にいる?」


『あー今三階廊下の曲がりかどの所にいるよえーとおっと危ないなぁ』


「どうした?」


『いや、多分上級生の人だと思うけど急に走っていったからさ』

『お前が電話してくれなかったらぶつかってたよ』


「そ、そうなんだ」

「取り敢えず会って話したいから俺らの教室に来てくれない?」


『わかったよ、でも電話じゃ駄目なのか?』


「あぁ会って話した方が分かりやすいし」


『そっか取り敢えず教室に戻るけどその前に購買に行きたいからそれが終わってからでもいいか?』


「別にいいよ用事も急ぎって訳ではないし」


『んっ了解』


そう言って電話を切った

電話を切ったと同時に一気に脱力感がきて

その場に座りこむ

ふと足立さんを見ると同じ様に汗をかきながら深く呼吸をしている。

俺は足立さんを心配して

「大丈夫?」


「なんとかね、一事はどうなるかと思ったよ」


本当にヤバかった

もし少しでもタイミングが遅れていたらと

思うとゾッとする

先の電話で何となくだが詳細が解った。

きっとお決まりとばかりにその上級生とやらにぶつかって漫画よろしくラッキースケベでもかますかなんかしたんだろう。


「あの○○君結局なんだったの?」


足立さんは俺と『桜井暖人』の会話を聞いてないので状況を把握しきれてない見たいなので俺は電話での会話を説明した。


「なるほどね」


お馴染みのポーズで彼女は考えていた。

そしてポーズを辞めて此方を向いて優しい顔で


「○○君のファインプレーだよ」


「いや、ただ運が良かっただけだよ」


そう本当に運が良かった

つくづくそう思う。

すると足立さんが今度は難しい顔で


「でも不思議だね」

「なんでその様な出来事を阻止しただけであの悪寒が収まったのか」


確かにそれは思っていた

今日の事もそうだが前回の時も

本当に謎が残るばかりだ

でも取り敢えず俺は『桜井暖人』に会わなければならない


「俺は取り敢えず教室に戻るよ」


「うん、わかった」

「私も少ししたら戻るとするよ」

「それと今回や前回の様な事について色々考えなくてはならないからね」

「また集まって二人で考えていかないと」


あー頭が痛くなる


取り敢えず俺はありもしない用事をすませに

教室へと向かった。

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