第27話折れた心の行方

なんとか家に帰宅した時にはすでに時計の針は21時を指していた。

どれだけさまよってたんだよ俺は

取り敢えずシャワーだけを浴びて汗を流して自室に戻る。

ベッドに横になり色々考える

明日学校どうしようか

足立さんになんて言おう

このままでいいのか

色んな事が頭の中でごちゃごちゃと騒ぎ出す

あーこれが本当に漫画の主人公なら

こんなちっぽけな逆境なんか跳ね返すんだろ

というよりこんな事で心が折れたりせず

なんとかするんだろうな。


「小さいなぁ」


改めて自分の存在の小ささに思わず笑って

しまいそうになる。

当たり前かここは現実で向こうは漫画

ノンフィクションとフィクション

比べるまでもない

でも今はどっちなんだろう

ふとそんなことが頭を過る

実際にあり得ない事がここ最近立て続けに

起きている。

もしかしたらと思うと同時にもういいかと

思考を放棄した。

そうだ、もう知った事かこれで俺が何も

しなくても誰が俺を責めるっていうんだ。

別に俺のせいじゃないしな

足立さんは怒るかな、それとも呆れるか

まぁいいや

そんな事を思いながら瞼を閉じる。



そして次の日俺は学校を休んだ。


急に休んだ事で親が主にお袋が心配していたが体調が悪いとだけ伝えて仕事に行ってもらった。

友達からも心配のメールが来たが大丈夫と

だけメールを返した。

以外にも足立さんからはメールが来なかった

のを俺は何故か安堵した

まぁ昨日の今日だ、足立さんも思う所があるんだろう。

もうどうでもいいや

俺は考えるのを止めた

そして久しぶりに自分だけの時間を過ごした

少し心が軽くなった気がした。


そして俺は次の日も学校を休んだ。

流石に親も心配になったみたいで病院に行くことを進めたがそれをやんわりと断り

親をなんとか説得して明日には行けると言って部屋に籠った。

その間も友達からのメールが来たが俺は返信しなかった、いやできなかった。

俺ってこんなに弱かったんだなと思いつつ

明日こそは学校に行かないと思いながらも

なにもする気分になれなかったのでベッドに

横になり寝ることにした。

寝ている時は何も考えなくていいから楽だな

なんて下らない事を考えながら瞼を閉じた。

次の日、俺は親に心配されながらもなんとか学校に足を向けた。

正直まだ心の整理ができてないがこれ以上

親に迷惑はかけられないのでなんとか学校に行った。

二日ぶりの学校は俺がいなくても何時も日常を繰り広げていた。

当たり前か

いざ教室の前に着くと怖くなった

でもここまで着て帰る訳にいかず

ちっぽけな勇気を振り出して扉を開ける。

そして自分の席へと一直線に向かい座るとと友達たちが大丈夫かなど心配してくれた。

もちろんその中には『桜井暖人』もいるが

気にせずに心配かけて悪かったもう大丈夫と伝えた。

そう大丈夫だ、そう自分に言い聞かせる様

ただ足立さんの席を見るのは怖くそちらを向くことはできなかった。

でも足立さんには俺はもう無理と言うこと伝えなければならないと思い何時もの場所に

放課後とメールを送る。

そして了解と短い文章で返信がきた。

こんなにも放課後が来るのが遅く感じたのは

初めてだ。

その間もなるべく足立さんの方には顔をむけれなかった。


放課後、重い足をなんとか旧校舎へと行き

何時ものあの大きな木に向かうにつれて

この大きな木が初めて怖く感じた。

そこにはすでに足立さんがいてやはり何時ものように空を眺めていた。

そしてこちらに気がつきこちらを向くと俺は今の心境を言おうとしたら足立さんが先に声をかけた。


「もういいよ」


その短い言葉を聞いて俺は足元が崩れていく感覚に陥った。





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